元代表監督、協会会長、選手らが連行!李鉄事件 まとめ(随時更新中)

 日本や世界中がカタールワールドカップに沸く中、中国では元代表レジェンド&前代表監督が連行されるという不祥事が発生。
 事件の性質や、お国柄公的機関が具体的な情報を中々開示しないこともあり、SNSやネット上の関係者リーク情報がメインとなるが、大まかな経緯を纏め中(随時更新)


◆概要、経緯

・第一報

11月12日 前中国代表監督の李鉄(LiTie)が関連部門に連行されたとの第一報。当時協会のコーチ育成プログラム関連の会議に出席中にだった模様。

中国版SNS微博(Weibo)より

李鉄は1977年遼寧省生まれ、現役時代日韓W杯出場など代表92キャップ。大会後イングランドに渡りエバートン、シェフィールドUでプレイ。帰国後2011年に古巣遼寧で引退。指導者の道を進み、広州恒大A代表でアシスタントコーチ。河北華夏(現河北FC)を1部昇格させ、武漢卓爾(現武漢長江)を躍進させたことが評価され、2019年リッピ退任後代表監督就任。2021年アジア最終予選を指揮も年内いっぱいで退任していた。

・当局の声明

原因について様々な憶測が流れる中、
11月26日 湖北省規律検査委員会及び湖北省観察委員会オフィシャルサイトで李鉄に関し「厳重な違法行為に関連(涉嫌厳重違法)」で捜査中と発表。

湖北省規律検査委員会及び湖北省観察委員会オフィシャルサイトより

湖北省は武漢が所属する省。その関連当局が公式声明を出したことで、李鉄の武漢監督時代に何らか違法行為があり、それが原因で連行された可能性が極めた高くなった。
(*武漢は李鉄監督当時武漢卓爾、その後チーム名変更で現武漢長江、面倒なので以下武漢に表現統一)

・スタッフ、選手も連座

本件に連座し複数のスタッフや選手も連行された模様。
(12月15日時点)公式情報はないが、複数の情報から連行されたことが確実なのは下記

・現役選手

張鷺(Zhang Lu) 1987年生まれ、深圳所属。2019アジアカップメンバー入り、代表キャップは無いが長く代表の第3GKに選出された実力者。遼寧出身で李鉄と同郷の後輩&引退間際のチームメイトであった。
11月30日に福建省晋江(注:防疫上の理由で深圳はホームゲームを中立地で開催)で連行された模様。まあ元々素行が怪しい選手ではあったが・・

https://twitter.com/guojiadui/status/1265202493333487616


コーチ いずれも李鉄と同世代、長く李鉄のアシスタントをしていた。

鄭斌(Zheng Bin) 1977年生まれ。代表36キャップ、李鉄と同年齢で長い付き合い。引退後河北→武漢→中国代表でずっと李鉄のアシスタントコーチを務めていた右腕。武漢出身でキャリア大半を武漢で過ごす。鄭は海南省海口で食事中に連行された模様。

左が李鉄、右が鄭斌

忻峰(Xin Feng) 1978年生まれ。現役時代はDFで代表3キャップ。彼も李鉄と同世代で、引退後武漢や代表で李鉄のアシスタントコーチを務め主に財政面を見ていたらしい。鄭斌と同日に連行されたよう。

右が忻峰

高堯(Gao Yao)1978年生まれ。現役時代は山東一筋で代表6キャップ。日韓W杯メンバー入り(出番なし、なぜ彼がメンバー入りしたか未だに不思議がられているが)。引退後2015年河北で李鉄のスタッフ入り。19年昆山FC監督。
筆者個人的に05年初ACL観戦だった横浜FM戦(@三ツ沢)で決勝点決めたのが印象に。

左が高堯

他にも武漢卓爾の董事長(会長に相当)田旭東(Tian Xudong)、及び財務マネージャー。武漢市サッカー協会幹部だった付翔(Fu Xiang)が連行または捜査を受けた。

◆なぜ連行されたのか?

前述の通り、具体的な原因、罪状に関してオフィシャル情報は出ていない(12/15時点)
以降は主にネット上の関係者コメントや証言、推測が元となる。

・契約違反?

噂されているのは
二重契約。武漢監督を去り代表監督就任後も武漢と契約が続いた。その後コロナや不動産不況に伴う景気悪化で財政難に陥った武漢側が湖北省当局に李鉄を告訴した。(前述、武漢のクラブ幹部が捜査受けたのはそれが理由) 因みに武漢時代李鉄の年俸は3000万元(約6億円)と言われている。

・選手起用で袖の下があった?

・武漢監督時代にある選手の年俸を200万元→600万元にアップし、うち300万元を李鉄の会社が懐に入れていた疑惑

・武漢生抜き、李鉄代表監督時代にA代表初選出されW杯予選出場した明天(Ming Tian)。今季武漢の主将としてフル稼働していりゅうたが、李鉄拘留後1度もベンチメンバーすら入っていない。彼同様2019年E-1選手権で代表初選出された武漢の劉雲(Liu Yun)李行(Li Hang)も11月中旬を最後にメンバー入りもなし。もっとも後2人は年齢やコンディションの原因で今季の出番は少なかったが、12/14の天津戦(0-3)は1軍に新型コロナ陽性者続出のためリザーブの選手を大量に補充した。この試合でも3人はメンバー外。
要は「李鉄に金を渡して代表入りしたんじゃね?」との疑われている。
(2/1追記)→口述の通り明天は怪我。劉雲も年始にSNSを更新しているため、この2人については少なくともシロの模様。

・昨年のアジア最終予選序盤で、目玉だったブラジル出身選手の起用に消極的だった。中国メディアのインタビューに艾克森(エウケソン)が「なぜか同時に2名以上起用しなかった」との発言が注目された。戦術面の理由でなく、李鉄自身が経営するエージェント会社と契約する選手を優先起用したのでは?との疑い。
(注:ただし日本戦では後半途中からアラン、アロイジオが投入されブラジル出身3人同時起用されてるし、全員FWで前線ポジション的に全員先発するのは非現実的ではある)
https://www.sohu.com/a/611232733_121419510
実際第1戦~第3戦豪州(0-3)日本(0-1)ベトナム(3-2)でエウケソンが先発、アラン、アロイジオは途中出場で出番少なく。第4戦サウジ(2-3)で後者2名が途中出場で大活躍し「なぜもっと起用しないんだ?」と批判された。


現役時代稼いだ李鉄は、引退後指導者だけでなく自身の名義で多くの会社を経営し稼いでいた。地元遼寧省瀋陽の李鉄名義の銀行口座は預金1億元(約20億円)以上。イギリスやアメリカにも不動産を所有している。これが全て自身の力で正当に稼いだものなら良いのだが・・

因みに李鉄の夫人は英国留学歴あり(エバートン時代に知り合った・・?)、現在はアメリカで子供たちと生活しているが、本件を受けて離婚を要求。

、、そもそも2021年の代表監督退任時も成績不振は表向きの理由で(誰が監督でもダメだったでしょう)、代表活動時に自身の関連するスポンサーの宣伝行為&選手にも強要したのが原因と噂された。

・八百長?

疑われているのは2019年武漢VS天津天海(前天津権健、その後解散)の2試合。現役選手で唯一連行された張鷺は当時天津キャプテン、李鉄の同郷の後輩であり引退間際のチームメイトであり、彼の連行は八百長疑惑に関する事情聴取とみられている。
天津天海は元々天津権健の名でヴィツェル、アレシャンドレパトら擁してACLにも出場したが、権健グループの不祥事&破綻後は財政難に陥りその後解散。試合当時は天津市体育局に移管されていたが財政難で給与未払が発生していた。


◆筆者の雑感

 李鉄を日本で例えれば年代&プレイスタイル&英国経験から稲本潤一が近い。前代表監督ならば西野朗。そんなレジェンドの連行&拘留は大きな衝撃。かつ前述の通り多くの証言や状況証拠、関連当局の声明もあり「クロ」なのは間違いないようだ。

 八百長や袖の下はあくまで推測のレベルで、ブラジル帰化組を重用しなかったのも個人的には賛成である。(ただ張鷺の連行、明天ら武漢の代表経験者の現状を見るとあながち推測でもなさそうな・・)
ただ少なくとも、契約問題などの経済的違法行為があったことは確実とみられ、有罪が確定すれば10年以上の懲役になる見込み。李鉄に限らず連座で多くの関係者もサッカー界追放の公算が高い。

 本件、多くの中国人ファンは衝撃を受けた一方で「またか・・」と思っただろう。中国サッカー界で八百長に限らずこうした不祥事は日本で考えられないほど多い。代表的なのは、2003年の上海申花優勝剥奪、元代表3名含め多くの逮捕者が出た。

https://www.soccer-king.jp/news/world/world_other/20130219/95334.html

 サッカー界に限らず中国社会全体が厳罰を以て対処して減少していると思われたが、一方でコロナ渦や不動産関連不況に伴い中国では多くのクラブが解散または財政規模を縮小した。給与未払や遅延は多すぎて把握できない。
https://www.sankei.com/article/20220126-JOIKYUBJW5M3FLSTG2E35Q3K7Y/

李鉄ほどの名声も富もある人物がこんなことになるのは極めて残念。また懸念されるのは連座。前述のコーチ、選手、関係者に限らないだろう。SNS上ではもっと大物の選手やコーチ、しいては中国サッカー協会幹部の関与の可能性も示唆されている。

 もちろん犯罪行為や八百長行為などを容認してはならない。ただ一方で社会情勢や親会社の都合に振り回されるクラブや、選手スタッフたちの事情も考慮せねばならない。清廉潔白を訴えるのは簡単だが、自身や家族を養わねばならない彼らが、長く給与未払や経済的困窮に陥った場合に、何らかの手段で金策に走ってしまうのを全く否定することも酷だと感じる。
 根底にあるのは不安定なリーグやクラブの運営。取締りも重要だが協会も政府関連部門も、根本の不安定な状況をまず解決して欲しい。でなければ第2の李鉄はじきに出てくるだろう。

(12/27更新)
12/27、中超第33節終え、1試合残して降格3チームが決定。
広州FC、武漢長江、河北FC。奇しくもいずれも李鉄がかつて監督またはアシスタントコーチとして在籍したチームばかり。まあ遠因となったチームの財政難に李鉄の影響はそれほど大きくないとはいえ、前述「原告」の武漢長江にとって李鉄事件の影響は小さくなかっただろう。

(1/11更新)
11月以降消息不明だったDF明天がSNSを更新
「@武漢長江オフィシャル 田旭東 李勤(共にクラブ幹部)
3年間騙し続け、3年間待たせた。他人を尊重し、自分も尊重して欲しい。人の行いを天は見ている。
@閻志(武漢長江の親会社CEO)10年もいた、出会いも別れも綺麗な形で」

→対する武漢長江オフィシャルの返答
「1.クラブはコーチ陣と選手の給与と社会保障費の支払いを準備してる。但し某コーチ(注:李鉄のこと)と彼に関連した選手、外国人選手、チームの規律に違反した選手は除く。
 2.2022年シーズンのリーグ戦で、明天は各種理由で出場拒否した、これはクラブのルールに違反する。
 3.明天とクラブの契約には厳重な問題がある・」

このやり取りから
・少なくとも明天は現時点では拘留されていない&過去に捜査受けてたとしても有罪にはなっていない。
・武漢長江の給与未払いは公然の事実で、それを理由に明天は11月以降出場拒否していた(他の理由もあるかもしれないが)
 武漢長江については明天に限らず過去に別の選手もSNSで告発しているので、彼に限ったことではない。クラブの給与未払いは公然の事実
・一方で明天の契約には李鉄が関わっており、疑わしい部分があった
(明天は理解していない?ごまかしている?)
*追記 明天、劉雲、李行ともに2023年は他クラブに加入し選手として活動できているため、本件に関しては無実であることが判明。

◆その後

まあ外国人選手への未払い分は諦めてる旨の記述もあり、武漢長江の来季の存続はかなり厳しいだろう。。
(1/18更新)→予想通りクラブは解散しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6af34200efdacb0ae2416a20f0d80c96f4991536

(2/14更新)
中国サッカー協会の陳戌源主席が捜査を受けていることが判明。
かつて国有企業のSIPGグループで上海海港のトップだった人物で、共産党員でもある重鎮。ついに協会トップまで手が伸びた。
共産党系メディアの人民日報が報じ、また湖北省の関連部門のオフィシャルが公告を出しており、李鉄案件の関連であることは確実。

(5月14日更新)
5月13日、山東泰山の韓国代表MFソンジュノ、FW郭田雨が収賄に関連した疑いで拘束され、遼寧省公安局の捜査を受けていることが判明。
山東ではMF金敬道が開幕前に八百長に関連したとして連行され、郝偉監督も第2節以降姿を見せておらず(アシスタントコーチが代行)監督も八百長または収賄案件に関連して捜査を受けている可能性が高い。

5月16日、中国外交部(外務省)の公式会見で韓国人1名拘束の事実に言及
国際問題になりかねない

・23年8月、ついに起訴された

https://news.yahoo.co.jp/articles/1530e020d83912153058862fcfaa6ec9565546b0

24年1月12日、CCTV(中国国営放送)系列のドキュメンタリーで、拘留後初めて李鉄、陳戊源らが公に姿を現した。
インタビューでは李、陳ら以外に田旭東、鄭斌、黎斐らのインタビューからいくつか判明した事実

・代表監督就任時に、前所属の武漢から6000万元(約12億円)を受取り、贈賄費用に使用。見返りに武漢所属の4選手を代表初招集した(19年E-1選手権)
当時武漢社長だった田旭東は「代表に4人招集されているのを見て真っ青になった。彼らはとても代表レベルでないとわかっている」と
・河北監督時代に中超昇格決定した最終戦(2-0深圳宇恒)で、1400万元の賄賂で買収。うち600万元を当時深圳主将だった黎斐が受け取った。。
どれも噂はあった話、火のない所に煙は立たぬ

https://news.yahoo.co.jp/articles/3cdcf6af3adf58d881d0b7e40eca854fdbdcdafd




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