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“好き”で出来たコミュニティ最強説

ウェス・アンダーソン関連の本を探していたら…

たまたま図書館で『Accidentally Wes Anderson』という本を見つけた。ロケ地を紹介した本なのかと思ったら、そうではない…。ウェス・アンダーソン監督の映画に出てきそうな場所を撮影し投稿するInstagramコミュニティによる、カタログなのだそう。ワリー・コーヴァルという、ブルックリン在住の人が妻や犬のデクスターの力を借りながら、日々、コンテンツを収集・公開しているという。2020年に書籍が発売され、日本語版も同年に発売。インスタのフォロワーは今や170万人、2022年、韓国・ソウルで行われた展覧会は25万人を動員したそうで、一過性の流行に留まらず、輪が広がっていくばかり。東京でも今年展覧会が行われるそうで…勢い止まらない実情を知る。

映画っぽい世界を旅したい

ワリー・コーヴァルがなぜこのSNSコミュニティをスタートさせたのか。それは、個人的な『旅に行きたい場所リスト』をつくることから始まったそうだ。彼らが面白いなと思うのは、ウェス・アンダーソンの映画のロケ地を旅することを目的とするのではなくて、ウェス・アンダーソンの映画のロケ地っぽいところが世界中にあると気づいたこと。“ここって、○○ぽいよね”と投げかけることは、見る側の想像力をかきたてるし、リアルな世界も悪くないなという気分にさせてくれる。何ともクリエイティブなコミュニティを構築してるのだ。本が完成した後、ウェス・アンダーソン本人に序文を書いてもらい、本人お墨付きの本を発売するに至ったのは、本当にスゴイことだと思う。
※以下の記事に詳細アリ

肯定的なファンコミュニティから広がるもの

本のタイトルにもある“Accidentally(偶然に)”という力の抜けた感じが良いのかもしれないが、今はファンが世の中を動かす時代なのかな?と思ったりする。K-Popや韓国の俳優ファンが、広告を出したり、フードトラックやコーヒーカー(커피차)を出したりして、それをアイドルや俳優本人たちがSNSで公開する様子を見ていると、肯定的なコミュニティがパワーを持つと、メディアにもなりうるということをつくづく感じる。リテラシーをきちんと持ってさえいれば、意図的に(deliberately)モノを売ろうとする企業よりも、ずっと好印象だ。これはやはり、最強だ。この展示が韓国で沢山の人を集めたというのも、ファン文化が根付いた土地だからこそなのかもしれない。そして日本はどうだろうか?ニューヨークの人ほどクリエイティブで柔軟な発想を持っているだろうか?ソウルの人ほどファン心理への造詣が深いだろうか?日本というより、自分自身の凝り固まった考え方をまず反省‥。Accidentally(偶然に)、そして意図的に(deliberately)、いろいろなものに出会う心がけを持つことからはじめようと思う。


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