恋愛ワードを入力してください～Search WWW という長いタイトルの韓ドラがいい

日々、新しい作品情報が行き交う韓国ドラマ。気になった作品を気が向いた時に見るようにしている私は、世の中のスピードには全然追いつけておりません…。だいぶズレたタイミングだと思うが、この‘恋愛ワードを入力してください～Search WWW’というドラマについて良いなと思ったことを書いてみます。

■タイトル問題
검색어를 입력하세요 WWWという原題をGoogle翻訳すると‘検索語を入力してください www’ になる。あれ？なんで検索ワードを恋愛ワードにしちゃったんですかね？もちろん恋愛もドラマで描かれてるけど、全話見て私が感じたのは、どっちかというとこれは働く女性の生き方が軸の作品なのでは？ということ。一体なぜこんなタイトルに？これだけは理解に苦しみます…

■急上昇ワードをとりまく世界
ネットリテラシーの高い韓国らしく‘急上昇ワード’‘ストリートビューのモザイク’‘ネットで拡散されるデマ’などにまつわるトラブル、スキャンダルが物語を進展させる。世界中の多くの人が毒されているインターネットの裏側をちょっとオーバー気味に描いているさじ加減がなかなかいい。実際はもっと複雑で、闇が深いのでしょうが、ネットに疎い人でもついていけるレベルに仕立ててる感じ。‘急上昇ワード’は誰のもの？インターネットの公共性、公平性って？ていう社会的な問いが作品のベースにあるところが個性的でいいなと思った。

■３人のヒロイン
２０〜３０代の青春を捧げてきた職場（ポータルサイト最大手企業）を突然解雇され、ライバル会社に転職。No.1を奪取すべくあらゆる手を尽くすタミ(38)ーイム・スジョン 。
親の都合で財閥の息子と政略結婚させられ仮面夫婦を続けながら、財閥系の最大手ポータルサイトの代表理事として働くガギョン(39)ーチョン・ヘジン。お嬢様育ちだが実家の没落、姑からの仕事上の圧力を経験し、誰も信用できなくなり、同僚だったタミにまで冷徹な態度をとってしまう。
元柔道部で正義感が強く、まっすぐな性格の持ち主。マンガから飛び出てきたような純粋さゆえ、時に面倒くさくもあるスカーレット(37)ーイ・ダヒ。
３人それぞれの恋愛模様も見どころだが、仕事でトラブルが起きた時の対処法が三者三様なところも面白かった。
そして、３０代のバリキャリが主演ということで、とにかく美しく撮ることが意識されている。衣装もメイクも映像も全部美しくが徹底されていてすごいなーと思った。

■全然順調じゃない時に行く場所
私自身、仕事に忙殺されてた２０代の頃、仕事で地方に行った時、携帯の電波が消えて誰とも連絡が取れない状況を嬉しいと感じた経験がある。今思えばかなりの末期症状ですけど…このドラマにも、電波のない場所がでてくる。何故かソウルのど真ん中なのに携帯が繋がらないその場所は、主人公ペ・タミが心配事や不安があるときに来る場所。あらゆる修羅場を乗り越えタフに見えるタミの内面を垣間見ることができる重要な場所だ。タミの自宅のシーンもそうだが、働く女性のオンとオフ、表と裏みたいなのがリアルに描かれているところもこの作品の魅力だと思う。

■家族が絡まないドラマもいい
韓ドラによく出てくる、親、兄弟、子供の描写が今作にはほとんどない。財閥に嫁いだガギョンの両親、姑は多く出てくるが、財閥家の人間模様はかなりコンパクトに描かれている。主人公タミの恋人となるパク・モゴンは養子としてオーストラリアの家庭に引き取られたというエピソードも出てくるが、他の登場人物の家族描写は皆無で、スッキリしてて、ドラマとしては見やすい印象だった。

■劇中劇「義母は一体なぜ？」
逆に家族のドロドロ劇は、ドラマの中に出てくるドラマ「義母は一体なぜ？」で大いに描かれている。スカーレットが夢中になって観ているドラマで、いわゆるマクチャンドラマらしい。クズ男役を演じる無名俳優ソル・ジファンーイ・ジェウクがとにかく最高なのだ。音楽とカメラワーク、ワカメだけで、ドラマフリークを魅了してしまう、この制作チームを心から尊敬しますっ！

■脚本、セリフ
２作目「二十五 二十一」のほうが世に知られている脚本家クォン・ドウン（권도은）さんのデビュー作である本作。印象的なセリフが随所にありました。例えば、ep3 で…
メールの既読スルーを問い詰めるパク・モゴンに対してタミが言ったセリフ…

タミ：返信する暇も気持ちもなかった。
私は３８歳よ。３８歳は終わりが見える道を進まない。
それなりの経験があって、なるようになれと開き直れないの。
始める前に諦めて。諦めると損しない。
情熱をかけるべき対象は愛じゃなくて生き残ることよ。
カッコ悪いよね 。これが私の年齢の実情なの。

10歳年下のパク・モゴンが今エピソードの最後にどんな言葉を返したかは、ドラマで確認して頂ければと。もう４年前の作品ですが、色褪せた印象はないのでぜひ。

原題：검색어를 입력하세요 WWW
脚本クォン・ドウン
監督チョン・ジヒョン　クォン・ヨンイル
OA時期 2019.6月 - 7月
放送 tvN
話数 16話
配信 2023現在 Netflix、U-Next、Abemaなどで観られるようです。

Abema --- https://abema.app/oisp