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本を耳で聴いてみた。

昨年秋〜有料会員になり、仕事の資料本など、移動中に聞くようになったオーディブル。買って読まない本が部屋を占領するのと、サブスクで毎月搾取されるけど気楽に音で聞くのと、どっちが自分にあっているのか探るべく、いろいろ本を聴いてみた。

コンビニ人間 著者: 村田 沙耶香 ナレーター: 大久保 佳代子
第155回(2016)芥川賞受賞作
大久保さんのイントネーションが気になり、最初はあまり本の内容に入り込めなかったが、慣れると独特な雰囲気が面白くなってくる。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う作品とのことだが、全体的に若干古いと感じてしまった…。

阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし 著者: 阿佐ヶ谷姉妹 
ナレーター: 村椿 玲子
エッセイはいくつかチャレンジしたが、音で聴くのは抵抗感があるものも意外と多く、途中離脱を繰り返していた。この本は江里子さんと美穂さんが交互にエピソードを書いていて音で聴いても構成がわかりやすい。それぞれ視点がちょっとずつ違うこと、お互いや自分自身をかなり客観的に見つめていること、暮らしを楽しんでいる様子などが感じられて面白かった。

おいしいごはんが食べられますように 著者: 高瀬 隼子
ナレーター: 椎名 ライカ
これは単行本を買って読んだ後に音声でも聴いた。最後まで読んで‘恐ろしい’という気持ちが湧いてくる強烈な印象を残した本だったので、音で聴いても同じ印象を抱くのかもう一度聴いてしまった。印象は変わらず、余韻がすごくて最後の章をもう一度聴いた。

年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活 著者: 小林 美希
ナレーター: 谷合律子
日本国民の現状というには、取材対象に若干の偏りや特殊性があるように思われる構成だった。が、音で聴くと、様々な工夫というか、辛抱を重ね、リスクを負いながら生活を維持している人々の声が突き刺さってくる…全く他人事ではなく、いつ私も路頭に迷う時がくるだろうかと暗い気持ちになる。見た目には普通の街を歩く人々の多くは、一応暮らしは成立させているが、心の内側にブラック企業への不信、政治不信、借金など、鬱々としたものを抱えて生きているのだろうということを改めて実感させられる本だった。

朝日新聞政治部 著者: 鮫島 浩 ナレーター: 丸山 純路
最近の新聞、TVのニュースが面白くない理由がわかる本だった。マスメディアは今後どうなっていくのかな?ということについても考えさせられる。大企業の体質、どうやってスクープは生まれるのか…鮫島さん自身の視点で分かりやすく書かれていて聴き応えがあった。ドラマ化熱望。

ボタニカ 著者:朝井 まかて ナレーター: 森田 了介
これは耳で聴いてよかった!と感じた一作。ナレーターの森田さんは高知出身で、牧野富太郎の高知弁のセリフがとても自然に聴こえてくるし、その他の登場人物もやりすぎない程度に声色を変えてキャラづくりをしていて聴きやすい。本のシーン展開もドラマチックで、変態だけど人間味があって憎めない富太郎さんの魅力を存分に味わえる本当に素敵な作品でした。

火花 著者: 又吉 直樹 ナレーター: 堤 真一
第153回芥川賞(2015)受賞作
芸能人ナレーションもいくつかあるのですね。堤さん劇場といった感じで、独特の世界観を一段上に押し上げてくれている印象でした!

N/A 著者: 年森 瑛 ナレーター: 三木 美
女子高通いだった自分にとって、高校生の頃感じていた窮屈さや違和感を思い出させてくれた作品。そこまでストイックではなかったけど、なんであんなに痩せたいとか、他人にどう見られるかを気にしていたんだろう…と思ってしまった。小説だけどリアルで、あまり見たり聴いたりしたくない言葉も多く出てくるので、サーッと耳を通り過ぎていってくれるこのシステムだからこそ完走できた気がする。

とんこつQ&A 著者: 今村 夏子 ナレーター: 筒井 かんな
4つの短編集。どれもすごい話だった。喪黒福造は出てこないけど「笑ゥせぇるすまん」みたいな、驚く展開があって本当にすごい。わりと身近なところで、こんなことが起きているのかもしれない…と思わされる作品群。私はこの作品、世界観、大好きです。

嫌いなら呼ぶなよ 著者: 綿矢 りさ ナレーター: 小室 まゆ美
タイトルを見てずっと気になってた本。今作も短編集で、コロナ禍に感じた違和感(なかなか口に出して言えない)を随所に盛り込んでいるだけでなく、コロナ以外にも、最近身近な人やSNSで言ったら大問題になってしまいそうなセリフが多々登場し、フィクションという世界をうまく利用してるなと感じた。ただ私自身は下ネタとか、赤裸々なセリフや描写にちょっとついていけず、、正直お腹いっぱいでした。。

以上、この半年くらいで全部聴ききった作品一覧でした。少ないといえば少ないのかもしれないが、自分の生活リズムからすると多い方な気がする。案外音で聴いても印象に残るもので、ナレーターのチカラも加わり魅力が増す作品もある。本自体が手元に残らないので、こうして今後もリスト化していこうかなと思う。読みたい本すべてがAudibleにあるわけでもないので、普通の読書と平行してあと半年くらい耳読書を続けてみます。正直、料金がもう少し安くなると気持ち的にだいぶ続ける気になるんですが…動画配信のどれかを辞めるとか?リアルにサブスクについて考えなきゃいけないなとも感じる。月額料金を思うと簡単にオススメできるアプリではないけど、一度サンプルを聴いてみるだけでも試してみて欲しい。


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