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くしゃ303.まらず

物販を入れた大きなキャリーバッグを引きずって、ギターを担いで移動する。

知らない街の人の流れは大きな波。自分がとてもちっぽけな存在に感じる。
この感覚を忘れたくないと思う。

在来線に乗り、岡山から大阪へ。
およそ2時間半の道のりを列車を乗り継ぎゆく。

とあるメッセージが届く。

「学校からいなくなってしまう方に『君の追い風』で思い出ビデオをつくりました」。

送られてきたリンクにアクセスすると誰かを想う気持ちで溢れた動画が流れた。その後ろに自分の歌が流れている。

車窓を流れていく岡山の景色に目を移す。
これからも歌い続けようと思えた。
うまく言葉にならないし、言葉にしなくていいと思った。
自分の歌がいま、追い風になって帰ってきた。

https://twitter.com/ydon79/status/1637716501624135681?s=46&t=DWXZVzQd11AX4zICtLupTQ

一度乗り換えた後で、アナウンスが流れた。
「この後進行方向左側に菜の花畑が現れます。短い時間ではありますがぜひお楽しみください」
そして現れるビビッドな一面のイエロー。

イヤフォンで塞ぎ込んでいたら見えなかっただろう。
最近親の仇のように語られがちな花粉も、もちろん私たちにもたらしてくれる良い面もあることを忘れないようにしたい。

特別大きな菜の花畑でもなかった。
でも、そこには人を思い遣る気持ちがあったし、少し車内も沸いた。日常が突然ジャングルクルーズになるのってとってもハッピーだと思う。そんな人間になりたい。

ほくほくした気持ちで大阪に到着。

行きたかったカフェに一度寄って、嬉しい出会いがあったんだけど、それはまた今度詳しく語る日を待ちたい。

今夜のライブ会場は淡路にあるカフェバーアトリ。
今までも2回ほど出演しているお店。

ソールドアウト。
お客さんは7人。
“めっちゃ伝えられる”距離である。

お相手には菅野創一朗。2021年の名古屋ぶり2回目の共演。
演者の立ち位置も限られる店内で、お客さんをサンドイッチするスタイルで演奏することになった。

菅野創一朗。この向かいで小野は歌った。

生音で、間近で演奏するのは気恥ずかしさもあるけど、お客さんと話しながら、和気あいあいといった様子でライブは進んでいった。

いいなあとなったらみんなで「ああ〜」とか「いえ〜い」とか控えめに言いながら、拍手を送り合った。
小さいけれどおおきな幸福の時間。

アンコール。
この日、上に書いた高校生からもらった嬉しいメッセージのこと、岡山で即興をしたこと、そんな話がMCでもあって、そしたらお客さんから「今日は即興しないんですか?」と言われた。

まあ、たしかに(笑)あれだけ語ってやらない道理はない。
「高校生へのアンサーソングを」
と声が上がり、
「ふたりで」
ふたりでやることになり、
「もう一声」
ということで
「酒」
お題に追加された。

未成年と酒て(笑)

ふたりともはじめてのデュオ即興。
弾き語りバトル?
そうちゃんがギターを弾き始めそれに合わせるように自分も弾いていく。
逆に歌は自分から。言葉じゃないやりとりで作り上げられていく感じが楽しい。
歌えば、それに反応する形で曲は進行していく。
さながらふたりで物語を作ってるみたいな。

何が起こるかわからないその空気のヒリヒリ感とふたりの間、それからそれをとりまくお客さんとの間に流れるやわらかい時間もまた即興ならでは。
大盛り上がりで終演。

そのあともお客さんと話しつつ、飲みながらの楽しい夜になりました。
アトリありがとう。

そうちゃんと店長ジョンジョン。

これにて今回の遠征、ライブすべて終了。

気が、抜けて、、いくぅ〜、、、。スヤァ

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