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337.み



シャワーヘッドを手元で止められるタイプのものに変えた。今まで「いいよ」「いいよ」とあらゆる場所で聞いてきて、「えーみんなが言うなんて逆に怪しいナァ」と懐疑的になってしまうタイプなので、ずいぶん揉んでの決断となった。

ネット通販で安価かつ良さそうなものを吟味して購入。すぐに届いて使うと「確かに!これは」とつい唸る。自分はシャワー中に水が欲しくなってついついお湯と水をブレンドし最終的にはほぼ水になってしまうんだけど、この手元で止めるスイッチがあればいつでも絶妙なブレンド具合で出したり止めたりできる。これは革命だ。シャワーの種類も3種類選べる。

だがしかし、でかい。
でかすぎる。
我が家の浴室には合わなかったようで、そのヘッドの重さで落ちてしまい、ガシャーンと大きな音が鳴ってびっくりする。
でかすぎるシャワーヘッド(美人すぎる歯科助手、的な)。
あと3種類のシャワーも、結局1種類しか使わない。ミストはもう顔に届く時にはほぼ水飛沫だし、もうひとつは車でも洗うんかというくらいに強いストレート。

まあ、買ってしまったものは仕方ない。周囲とうまく付き合っていくのが人生なのではないでしょうか。

それから数ヶ月が経ち、シャワーヘッドは何度も落ちたせいでボロボロになり、水漏れしてしまっている。しかし生活には慣れがくるもので、シャワーヘッドの適切な置き場を見つけ、うまく付き合っていた。しかし別れはいつも突然訪れる。

一瞬の油断だった。シャワーヘッドが落ちやすいところに設置してしまったのだろう。夜中、ガシャーンという音がした。「あ、シャワーヘッドか」ともう冷静である。夜の海辺で遠雷を聞くような感じで、私は目を瞑った。

その夜、夢を見た。
あたり一面はシロツメクサが咲いている。私たちはキャハハウフフと走り回っていた。追いかけてくるシャワーヘッドに、「コラー!キャハハ」とシロツメクサを詰んで投げる。「待てよー!ハハ」とシャワーヘッド。お昼には朝早起きして作ったサンドイッチを一緒に食べて、食後にはコーヒーを飲み、シロツメクサの香りの中で寝っ転がった。花冠を作っている時、その一瞬はまるで永遠のようで、そしていつまでも続けばいいと思った。

突然地面が割れ、私たちの間に亀裂が走り、手を伸ばすシャワーヘッド。私も手を伸ばすがその指先はあと一寸、届かない。花冠は暗い谷底へ落ちていった。亀裂は広がり続け、シャワーヘッドの名前を呼ぶ声もかすれ、もはや姿も見えない。

そこで目が覚めた。
部屋の窓を開け、今日の風を入れる。いい天気だ。風が心地よい。
浴室を覗くと、シャワーヘッドが落ちて、粉々になっていた。
「シャワーヘッド・・・!」
あわてて拾い、あつめてくっつけてみるも、完全に接続部分が折れ、割れ、まごうことなき破損。

シャワーヘッドのなくなった浴室はなんだか恥ずかしい感じだ。
頭の重さを失い、ちょこんとかかっているシャワーホースの先端がなんだか愛しい。どんな感じになるのかと試しに水を出したら、思った通りホースって感じの重めのストレート。

実家の外のホースとおんなじ。

昔使ってたシャワーヘッドがあったと思ったけど、見当たらず。
浮気に嫉妬して出ていっちゃったみたい。

マッチングアプリで新しい出会いを探して即「イイネ」。
マッチングした子が今日到着します。
昨日はホースで水浴び。
なんか、童心に返った感じで、もう一日延長しよかなって感じです!

梅雨がきますな

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