皆さん、こんにちは。別名YCUとも、ヨコイチとも、横浜市大ともいう横浜市立大学で教員をやっています有馬貴之です。今回、自分の研究室のブログをnoteに開設しました。私も含め、研究室に所属する学生や院生などのスタッフたちが日々の勉強や活動などについて、お話しします。(当分は私が書きますが)

ブログ初回の今回は、『観光学を簡素に「総ざらい」vol.1』と題して、観光学という学問を紹介してみたいと思います。私は自らの専門学問領域を、観光学もしくは地理学、またそれらを合わせた観光地理学と公言しています。「観光って勉強するものなの?」「は?遊びが勉強なんて羨ましいなあ」なんて思われたそこのあなた、、、正解です。そんな一見真面目でない学問が観光学なのです!

観光学の教科書が多くある理由

「観光の教科書なんてあるのか?」と思われる方もいらっしゃるのですが、「観光の教科書」はなくても「観光学の教科書」はあるんです。しかも、たくさん。ざっと、私の本棚から取り出しただけでもこんなにあります。

いっぱいありますよね。ここに載せてない古いものも合わせるともっとあるんです。こんなにあったら、実際どれを選んだら良いか、なんてわかりませんよね。

観光学という学問は、日本では立教大学や東洋大学などで研究が進みましたが、本格的に社会に認知されるようになったのは2000年代になって、多くの大学に観光系学部や学科が作られてからだと思います。2000年代は、小泉首相による「観光立国宣言」がなされ、「観光立国推進基本法」も成立、「観光庁」ができる等、国も「観光」に力を入れ始めた時ですので、それに呼応した大学が、ある意味「学生集め」のためでもありますが、観光学を学ぶカリキュラムを作っていきました。そして、多くの大学がここぞとばかりに、観光学の教科書を発行したのです。

観光学に共通軸はあるのか?

観光学といっても、その捉え方は実はさまざまです。それは個々の教科書の中身を読み比べると如実にわかるのですが、地域振興のための学問的な位置付けのものや、旅行会社やホテル等での実務の学問と位置付けているものなどがあります。どれが正しくて、どれが間違っているということはないのですが、研究者や学識者の中でも、まだまだ「観光学」という共通の軸を見出すのには時間がかかりそうです。(まあ、共通軸を見出すこと自体、不毛なのかもしれませんが。)

ただ、これらの教科書、ちゃんと並べて読み比べてみると、全くバラバラのことが書かれているわけではなく、どの教科書も必ず触れている内容、またはかなりの頻度で出てくる内容というのがあります。本学の研究室(=ゼミともいいます)では、学生にそれぞれの教科書を担当してもらい、毎回一つのテーマを取り上げ、自分の教科書で書かれていることを基にした発表と議論をしてもらっています。次回はそのゼミの内容を基に、観光学の各テーマについてお話ししたいと思います。


記事は無料でご覧いただけます。気に入っていただけましたらサポートいただけたら幸いです。学生の教育費(教材費、旅費等)として使用いたします。