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台風一過・・・診療所の台風の目は療担?・・・

こんにちは!
#医療系事務職員応援隊の長幸美です。
台風11号、皆様のところは大丈夫でしたか?
我が家がある福岡市東区は6日未明から雨風共に強くなり、ハラハラしておりましたが、大きな被害もなく通り過ぎていきました。
皆様のところは、どうだったでしょうか?
南の海にはすでに12号が誕生し、沖縄地域では長雨の被害も深刻になってきていると、お聞きしています。来週にかけて、まだまだ警戒が必要な時期が続きそうですね。

さて、今週はいろいろと忙しい一週間でした。
今年は4月に診療報酬改定がありましたが、9月末までの経過措置や10月からはまた療養担当規則の改定等、2024年の制度改革に向けて大きく揺れ動いてきています。5日に告示が出て、療養担当規則の改正により、医療のDXが大きく動こうとしています。
これまで、「変わる変わるといっても、まあ周りの状況を見ながら考えよう・・・」というゆるりとした判断をされていた医療機関も、療養担当規則で縛られてくると、実行しなければ最悪なことを言えば「療養担当規則違反」となり、保険医療機関の取り消しもありうるという事態になります。しっかりと状況を把握して対応していかなければなりません。

そもそも、療養担当規則とは何なのか?ご存じない方も多いかもしれません。少しだけ説明すると・・・

皆さんが医療機関に保険証を持っていくと、保険証の負担割合に応じて一部負担金を支払えば、日本全国どこにいても同じような治療が受けられます。しかし、この保険証を持っていったら・・・というところがミソなのですが、病院やクリニックを開業したい!と思ったら、だれでも開業できるか・・・医師免許を持っていたらだれでも保険証を利用した診療が提供できるかというと、そうではありません。

医療機関には、医療法により、届出を出して「診療所」を開業することができます。ベッドがある病院・診療所や医療法人は、許可申請を行い、許可を受けてからでないと病院や診療所を開業することはできません。(現在は地域により開業するためには地域医療構想推進会議で承認を得るということも必要ですが。)
さらに、各地にある地方厚生局に「保険医療機関の申請」を行ない、保険医療機関番号を受けなければ、保険証を利用した診療をおこなえない仕組みになっているのです。
医療機関に行くと、「私どもの医療機関は保険医療機関の指定を受けています」という内容の掲示を見られた方もあると思います。これはこのルールに則り、保険医療機関の申請を行って「保険診療ができますよ」ということを告知するための掲示です。
そしてそして・・・医師も、大学の過程を修了し、医師の国家試験を受けて合格し、医師免許を受けてから、「保険診療を行いたい!」ということを申し出て地方厚生局に登録をして初めて、保険診療を行ってよい・・・というお墨付きが得られます。医療機関の先生方がさりげなく、当たり前のように診療をされていますが、長い時間をかけ、難しい試験に合格し、さらに登録をして初めて、皆さんの診療を行うことができているのですね。

さて、話を戻しましょう。
はじめにお話をした「療養担当規則」というのは、簡単に言うと、この保険医療機関と保険医が守らなければならない規則です。
正式名称を「保険医療機関及び保険医療養担当規則」といいます。
私たちは略して、「療担」や「療養担当規則」といいますが、保険医療機関の指定及び保険医の指定を受けたものが守らなければならない基本的なルールとなっています。
皆さん病院や診療所を受診した時に、一部負担金を払いますね?その時に領収書と診療明細書を受け取ると思います。これは療養担当規則の中に、「一部負担金を受け取ること」「領収書と診療明細書を渡すこと」が決められているからです。
このほかにも、「医師は診療をしないで処方箋や診断書を交付してはならない」ことなど、細かなルールが記載されています。同じお薬がほしいなと思っても、診察が必要なのは、患者さんの状態変化が無いかどうか「診察をして必要な時に薬を処方する」ということが決められているからなのです。

そして今回10月の改定において、来年・・・つまり令和5年4月から、マイナ保険証・・・つまりマイナンバーカードにより保険証の確認や特定健診・処方内容等を確認して診療を行うことが義務化されることになり、医療DXの推進のための取り組みとして評価されることになりました。マイナンバーカードを利用して受診するほうが医療費が少し安くなる仕組みができたのです。
この保険証については、ゆくゆくは保険証の発行に料金がかかる仕組みができようとしていますし、先生方が取得できる情報も、特定健診や処方内容だけではなく、その方がかかっている医療機関名、手術内容なども、情報として閲覧できる仕組みが整えられてきています。また、来年1月からは「電子処方箋」の仕組みもリリースしたいという意向もあるようで、昨日はアマゾンから調剤薬局から受け取るお薬の配送についても新聞記事が出ていましたね。医療機関の取り巻く事情が大きく変わってきています。
この電子処方箋や薬の配送については医療機関よりも、調剤薬局や薬剤師さんがハラハラされているかもしれませんが・・・

台風一過の片づけをしながら、こんなことを考える週末・・・
患者の立場の皆さんは、医療機関を受診されるときに、少し気にしてみてください。そして医療機関に働く皆さん、医療を取り巻く情勢は、ものすごい速さで変化しています。「これはどういうことだろう?」「関係があるかな?」と思うことは、ぜひ調べてみましょう!

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