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在宅介護の実際・・・⑨

皆さん♪ こんにちは 「#医療系事務職員応援隊」の長幸美です。
在宅介護の実際・・・9回目になりますが、今回父のグループホームの入居が決まりました。かなり急なことです。私としては、在宅看取りを行いたいと思っていましたので、少々残念なのですが・・・

前回、本当に在宅で過ごすことが父にとって幸せなのか・・・ということを書いたのですが、約60年連れ添った夫婦も破綻するのはこんなものか・・・という結末です。

父と母は、駆け落ち同然で結婚しました。若い二人、将来このように認知症介護をしないといけないことなど考えもしなかったでしょう。
もともと8人兄弟の下から二番目三男坊の父と、3人兄妹の一番下の母が一緒になったのはもう60年も前のことです。当時は珍しく恋愛結婚だったと聞いています。父はとても物知りで、映画好きで、営業マンだったこともあり、外面はよく、母もそんな父にひかれたのだと思います。
しかし、お互いにわがままな一面もあり、両親はともに気が短く、思い通りいかなければちゃぶ台返しも・・・
大人になり、私も自分の生活が大変だったこともあり、そんなことをすっかり忘れていましたが・・・このところ両親の言動により、幼いころのうれしくない・楽しくない思い出もよみがえってきています。

母は昔教師をしていたせいもあるのでしょうか、自分自身の中で「こう」と思い込んだら、決して譲らない強さを持っています。思う通りにならないことに腹を立て、手を挙げることも多々ありました。また、誰かを責めていないと気が済まないところもあります。そのくせ外面は良いのでいい顔をして家の中で爆発させることもしばしば・・・
父の認知症がすすみ、思い通りにいかない毎日に、こんなはずじゃなかった・・・という思いがあるのでしょう。娘である私にだけではなく、父にあたるようになりました。
「あんたと一緒になるんじゃなかった」
「こんなことになるならあんたの所に来るんじゃなかった」
この言葉を聞き、毎日責められる父を見ていて、これが本当に在宅介護だろうか? 本当にこれが幸せなことだろうか?・・・
この思いが募ってきました。
父は忘れん坊さんですが、感情は残っています。
反発することもあれば、怒りを態度に示すこともあります。なにせけんかっ早い人でしたから、モノを投げるなんてお手の物です。

母が望んだ在宅介護。
私たち姉妹も、家で看ることに違和感はなく、職場の理解もありました。コロナ禍だったこともありますが、家庭を最優先にして、テレワーク中心の勤務にも、理解を示してくれただけではなく、社長は「テレワークの仕組みが、間に合ってよかった」とまで言ってくださいました。
在宅での介護を行うに一番良い環境を考え、介護サービスも選び(これは仕事で得られた知識を存分に使いました)、サポートをしてきたのですが、母は思い通りにいかないと、反乱を起こす始末・・・
妹とも相談し、母の意向を尊重して、施設を探すことになりました。
苦渋の決断です。
幸い我が家と妹の家とのちょうど中間地点にあるグループホームに空きがあり、8月から入居することになりました。

父はどう感じているんだろう・・・
今、何を望んでいるんだろう・・・
これが本当に父のために良いことなのだろうか・・・?

父が認知症を発症したのは、約8~10年ほど前のことになります。
私が転職する直前に、良性のめまいに倒れ、それ以後、少しずつ、確実に認知症は進行してきています。この1年、私のことも「ムスメ」と認識していることはないようです。
父は厳しい人で、それでも母を尊重し、大事にしている人でした。
その父ができないことを母になじられ、情けないと責められている様子は見るに忍びなく・・・私はパパッ子ではなかったけれど、父が好きにはなれなかったけれど、なんとも言い難いもやもやしたものを感じます。
妹はパパッ子だったので、なおさらその思いは強いのではないかと思います。

認知症で家庭崩壊するような有様を聴いたことがありますし、テレビでも放送されていました。逆に、認知症になっても幸せに暮らしている方の様子が放送されることもあります。良い面・悪い面併せ持っているのがヒト・・・
その状態には変わりがないのではないか、と思っています。

認知症は本当に厄介なものです。
老化現象で、いずれ私も、皆さんも多かれ少なかれ同様に衰えを感じていくと思います。「わすれんぼうさん」「おこりんぼうさん」と笑える間はまだよいのかもしれません。
認知症を「人生の黄昏の時」とたとえた方がいらっしゃいました。
その時にパートナーを支えることができるのか?
どのような状態になっても、相手をマルっと受け入れていくことができるのか?本当に考えさせられています。

これから何年この状態が続くかわからないけれど、父の余生が穏やかに、生を全うできるように願いたいと思います。

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