【ネタバレ注意】映画「累」の感想

ずっと気になっていた「累」を観ました。

一言でいうと、人間らしさが詰め込まれた作品だと思います。


主要人物について


・淵累

幼少期、親が女優ということでいじめられていた。

最初から顔に傷があるわけではなく、クラスメイトが屋上から誤って落ちてしまった際についたもの。

ずっといじめられており、顔の傷のせいもあって、性格は卑屈にならざるをえなかった。

叔母?からも疎まれており、居場所はどこにもないと思っていた。

そんな中、母親の十三回忌に来ていた羽生田と出会い、丹沢ニナの代役をすることに。

母親の血を引いているのか、芝居の才能を見せつける累。

その才能と内に秘めた奥深さでオーディションも突破する。

私の居場所は芝居にあったのだと涙する累だが、徐々にニナの顔に執着するように。

(累はニナの顔だけではなく、環境にも執着していたと思います。ニナの母親は優しく、料理を持ってきてくれたり、病気がちだったニナを気遣ってくれていた場面もありました。)

順調にニナとして仕事をこなしていき、母親が演じたサロメの役をすることに。

しばらくニナの代わりをしていた累は顔を返したくなくなったのか、ニナに睡眠薬を盛る。

(サロメの役のプレッシャーからと言っているが、執着心とストレスの両方だと思います。)

ずっとお世話しながら眠っているニナの顔を借りて仕事に行く累。

遂に本番の日がやってきて、ニナとして芝居をする累だったが、観客として見に来たニナを発見。

出番のない隙に屋上でニナと話します。

タイムリミットである十二時間になり、顔をリセットしようとする累だったが、ニナが自分の顔に傷をつけようとし、もみくちゃに。

その際、ガラスが割れて二人とも下に落ちてしまう。

かろうじて無傷だった累は意識を失っているニナにキスし、勝手に顔を借りて舞台へ戻る。

無事にサロメをやり遂げ映画は終わる。


累について思うのは、ただ可哀想だということです…。

幼少期いじめられたことも、親が原因のようだし(原作は読んでいません)、その後の人生が暗くなったのも傷のせいで、性格が卑屈になったり暗くなったりおどおどするのも仕方ないよなぁ…と。

確かに口紅を使って主役だったクラスメイトの子と入れ替わったのは良くないですけどね…。

ニナの代わりをしていた時だって、母親が同様にしていたと知っていたとしても、ニナにこき使われたりしていたわけなので、最初から累が全部悪い!とは言い切れません。

ニナの顔への執着心が異常だと作中で描かれていたように感じたのですが、人の顔と入れ替えることができる口紅と、傷のある顔を持っていたら当然だと思います…。

累がニナの代わりになりたかったからというよりも、羽生田さんに利用されていた印象の方が大きいです…。

母親と同じように罪を犯してまで舞台に立ったのかもしれないけど、累には本当に同情しました。;;


・丹沢ニナ

口紅と累のことを知っている羽生田さんにそそのかされていた(?)

顔は可愛いけど演技力がなく、あまり表に出られずにいたところ、累のことを知り自分の代役にすることにした。

発作が起きたら長期間眠ってしまう持病を持っていることもあり、累を自分の代わりに仕立てていった。

ニナは烏合さんのことが気になっており、オーディションから距離を縮めていた累に嫉妬。

烏合さんにホテルに誘われた累を置いて、ニナ自ら烏合さんの元へと向かったが、烏合さんは顔ではなく累の中身に惹かれていたため上手くいかなかった。

その後発作が起き、五か月もの期間眠ってしまっていたところ、累に烏合さんを寝取られてしまう。

また仕事が順調にいっており、自分の母親とも円満にコミュニケーションをとる累を見て絶望する。

累がサロメの役をする際、累に睡眠薬を盛られてしまうが、途中から意識を取り戻し、寝たふりをし続ける。

サロメ本番の日、意識がないと思わせていたニナは観客として累の舞台を見に行く。

偽物の口紅を使わせていたつもりだったニナだったが、累はその思惑に気づき、先に対応していたのだった。

累が舞台袖に戻った時、屋上に行く累の後を追うニナ。

何食わぬ顔をして顔をリセットしようとする累を前に、自分の顔に傷をつけようとするニナ。

揉み合いになり、最終的にガラスが割れ下に落ちてしまう。

頭を強打したニナは意識を失い、顔を累に取られてしまうのだった。


ニナも累同様、可哀想なキャラだと思います…。

元々劇団に所属していたニナはあまり演技の才能がなく、急に連れてこられた大女優の血を引く累を鬱陶しく思っていたのだと思います。

丹沢ニナという名前を売れさせるには、累を代役として表に出すしかなかったニナ。

累は顔、ニナは才能に対して執着心を持っており、結局人間はいくら手に入れても次の別のものが欲しくなったり、傲慢になっていくものだな…と思いました。


まとめ

感情移入しやすく、とてもいい映画だと思いました。

(後味はあまりよくないですが…)

私の持つ劣等感を埋めても、別のものに執着してしまったりだとか、人の恨みを買ったりだとか、あまりいいことはないのかもしれませんね…。

ニナの台詞にありましたが、どんな自分でも大切にしてあげたいと思います。


個人的に羽生田さんと淵透世の繋がりが謎でした。

作中では一緒に移った写真や、羽生田さんの部屋に大量に貼られた淵透世の写真が出てきましたが、どういう関係であったかは明言されていないと思います。

この点では羽生田さんも淵透世に執着していましたね。

あと累とニナがキスするシーンが美しくて凄く好きでした。笑


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