駅前は、いつだっていい匂い

高校生。

最寄りの駅を降りたら、たこ焼きを売ってるおばちゃんが居た。

小ぶりなたこ焼きで、アツいのにパクッと食える。

そして何より、ホフホフ言いながらそのおばちゃんに話すのが好きだった。

大した話はしてない。

「今日先生に殴られてさ〜」

「今度合宿があるんだけど、県内の田舎でさ〜」

「最近、学校が楽しくない。
別にハブられてるわけでもないし、
友達も沢山居る。
ただなぜか楽しくない。」


俺がホフホフしながら言ってる間、おばちゃんは、ただ相槌を打ちながら小ぶりなたこ焼きを回すだけだった。


もう駅前に、あのおばちゃんは居ない。

別の場所で、あの小ぶりなたこ焼きを回しているのか、

それとも。

前者だといいな。


俺は学校を卒業して何年も経ったけど、

あの時より、
友達も随分減っちゃったけど、

なぜか今楽しいよ。結構。

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