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ポール・ギャリコ『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』の解説書きました

 文庫の解説を書きまして──昨日、見本が届きました。ポール・ギャリコ『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』(角川文庫)です。4/24発売。

61歳のハリスおばさんと親友バターフィルドおばさんは夫を亡くしロンドンで家政婦をしている。お隣のヘンリー少年が里親に殴られていると知り、彼を実の親がいる米国につれていきたいと願うが、貧しい2人には無理だった。ところが得意先の社長夫妻のニューヨーク転勤に同行することになりチャンス到来。無謀にも少年を密航させようとするが…。

『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』文庫あらすじ

 ポール・ギャリコは、私がもっとも愛する小説家です。

 というようなことは、以前のブログにも書いたことがありますが──。

 これを書いた時は、自分がギャリコ作品の解説を書くだなんて、夢にも思いませんでした。

 それもこれも、去年映画化した『ミセス・ハリス、パリへ行く』のおかげだー。

 ディオールのドレスに恋をして、それを作るためにパリへ行くロンドンの家政婦ミセス・ハリス──ハリスおばさんの物語です。
 原作も読み直したし、映画も見ました。映画のディオールのドレスがすてきだった。モデルのナターシャ役の人もきれいでとてもかわいかったなあ。ハリスおばさんを演じたレスリー・マンヴィルもよかった。優しさと人のよさを体現していて、だからこその秘めた強さがにじみ出ていました。
 原作と映画の感想は別ブログに書いてます。(両方ともちょっとネタバレかもしれない)

『パリへ行く』も『ニューヨークへ行く』も新訳ではなく、昔、講談社文庫から出ていた亀山龍樹さん訳の再販です。なつかしい! まさに私が読んでいた文庫だ!

 高校生の頃の自分に言いたい。

「あんた、今読んでるその本の解説を、40年後に書くよ!」

 ……作家になれるとも思っていなかった頃だから、何を言われているのか全然わからないと思いますが。

 これでまた、ポール・ギャリコの作品を再販してくれないかな、と思ってます。創元推理文庫がかなり出してくれていますが、ハヤカワ文庫とかで出ていたものが読みたい。『ハイラム氏の大冒険』とか『銀色の白鳥たち』とか『愛のサーカス』とか。どうせなら『ポセイドン・アドベンチャー』も! そういえば、私『ポセイドン・アドベンチャー』の続編を読んだことある。確か、ギャリコの作品なんだけど、原作ではなく映画の続編、という不思議な設定の……あまりにも不思議なので、本当に読んだのか不安になって調べたら、一応情報あった。映画『ポセイドン・アドベンチャー』のWikipediaに書いてあった。

 ハリスおばさんのシリーズは短めで軽妙なコメディなので、ギャリコ入門にもぴったりです。私の解説が読めるニューヨーク編からでもよいと思いますが、パリ編もぜひ!

『ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く』文庫
『ミセス・ハリス、パリへ行く』文庫と映画DVD、ニューヨーク編

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