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Typora+Pandocで電子書籍(EPUB)を実際に作ってみた

まだ販売まではこぎつけていませんが、きちんと動作するepubファイルができ、チェックも通ったので、そこまでに苦労した点を書きたいと思います。

Typora+Pandocの何がいいかって、とことん手軽なところです。詳しくは別の記事に書きましたので、そちらをどうぞ。

YAMLフロントマターについて

Typoraでは「YAMLフロントマター」というブロックが作成できますが、ここにPandocのユーザー会に掲載されている「YAMLメタデータ」の記法をそのまま使用しても反映されません。

じゃあYAMLフロントマターってどうやって書くの、と日本語情報を調べてみたら極端に情報が少なかったです。ある程度参考になったのはこちら。

ですがこのページでも不充分だったので、結論として電子書籍に必要最低限の情報が記述できる内容をご紹介します。

title:電子書籍のタイトル
author: 著者名
date:YYYY-MM-DD
publisher:発行者名
rights:著作権表示

dateは数字で記入します。YYYY=年、MM=月(2桁)、DD=日(2桁)です。2021年1月3日なら2021-01-03と記述します。

著作権表示は、例えば「© 2020 (お名前をローマ字で) All rights reserved.」のような感じです。以下のサイトが詳しいです。

このほかにも使用できるものはあると思いますが、ほとんど英語文献なので、調べる方は頑張ってくださいね!

epub:type属性はTyporaからの変換だと使用不可

Pandocではepub3を出力するときに{epub:type=prologue}などのようなパラメータをつけられるのですが、Typoraからepubに変換する場合、これらのパラメータは使用できません。

この機能をご利用になりたいときは、コマンドラインでPandocを使いましょう。

目次の作成はTyporaで簡単

Typoraのメニューから目次ブロックが作成できます(YAMLフロントマターブロックを作るときと同じような方法です)。そうするとアウトラインの内容がそのまま目次になり、クリックするとジャンプできるようになります。

私の正体.md - Typora発行者修正

目次ブロックが存在する状態でepub変換をすると、作成したepubファイルにも目次がついています。

この辺はPandocだけでやろうとすると面倒くさいので、Typoraと連携させるメリットですね。

注意点として、不具合防止のため、目次ブロックの前後には空行を入れましょう。

私の場合は「YAMLフロントマター」の直後に空行なしで「目次」を入れたら、一番上の目次がうまく動作しませんでした。空行を入れると動くようになりました。

epubファイルでも目次をクリックすると移動できますので、動作をご確認ください。

epubファイルのチェックと動作確認

epubファイルのチェックには以下のツールが定番のようです。ドイツ語(?)のサイトですがダウンロードする分にはそんなに困りません。

validと出たら問題なし、invalidと出たらどこかに問題点があります。エラーメッセージの解説はこちらのサイトをどうぞ。

完成したepubファイルがきちんと動作するかチェックしたいですよね。動作確認用のソフトがいろいろありますので以下に並べます。

Kindle Previewer:Kindleで販売したいならこれで充分かと。端末の大きさや向きを変更したり、色を変更したりして動作を試すことができます。「品質チェック」というエラーチェック機能もあります。

calibre:Kindle以外も検討するWindowsユーザーはこれがいいかも。私も最初はこれを使いました。複数フォーマット対応の電子書籍管理ソフトです。Pandocによる電子書籍作成のページでおすすめされていました。

Murasaki:MacでおすすめのEPUBリーダーだそうです。私は使ったことはないですが、calibreと同じくPandocによる電子書籍作成のページでおすすめされていました。

縦書きの本を作りたいとき

ここまでの情報で横書き本はすんなり作れると思いますが、問題は縦書きのときです。

諦めてWYSIWYGにするか、あくまでマークダウンで頑張るかによっていろいろ変わります。

TyporaはLaTeXファイルを出力できるので、LaTeXを経由してPandocでEPUB化というのも案のひとつですが、工程が多いので少々面倒です。

コマンドラインで動かすツールですがこういうものもありました。まだ試していませんが、後々使ってみたいと思います。ここまでマークダウンで書いてきたので、作業のしやすさなら一番のような気がします。

まぁ、こだわらず横書きで出してしまってもいいかなぁという気もしますけどね。横書き本としてはほぼ完成しているので……。

まとめ

シンプルな横書きの本を作るなら、TyporaとPandocで非常に簡単に作れます。縦書きはちょっと面倒なのですが、できれば縦書きにしたいので今後もいろいろ模索してみます。

画像を入れることもできるらしいのですが、今回はその必要がなかったのでやっていません。後々必要になるので、そのときに試してみます。

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