猫日和 295 生まれ変わる予定の猫

昨日は五山送り火だった。

お盆になると御先祖様がお戻りになる。
迷わず帰ってくるために迎え火を焚く。
無事に帰れるよう送り火を焚く。

ある夏のお盆の時期、夢を見た。
あの世からこの世に長い長い道が伸びている。
その道を、男も女も、たくさんの人が、流れるように静かに歩いてくる。

ああ、これが、御先祖様が帰ってくる、ってことか。

人の波の中に我が家の猫と思しき白猫が混じっている。
見ていると、白猫は、近寄って、人間のようにお辞儀をした。

お久しぶりでございます。
実は、私は、この度、四国の方で生まれ変わることになりました。
そのため、ここに戻って来られるのは、今年が最後でございます。
もうここに来ることは出来ません。

その間にも、人々の流れは止まず、どんどんと、無言でそれぞれの家に戻っていく様子である。

え〜もう来てくれないの？

はい、四国の方で、生まれ変わることになりました。
今回が、最後でございます。
ごきげんよう。

そこで、目が覚めた。

生まれ変わるなら、そんな素敵なことはない。

でも、もう、魂として、私のところには戻ってきてくれないのね。
寂しいような、悲しいような。

猫に九生あり。
9回生まれ変わると言う諺があるが、今回が最後なのだろうか。
でも、生まれ変わるなら、もしかして、実際に会えるかも知れない。
四国に行って、似たような猫がいたら、迷わず連れて帰ろう。