見出し画像

雑記 114 旅人

旅人かへらず 西脇順三郎

旅人は待てよ
このかすかな泉に
舌を濡らす前に
考へよ人生の旅人
汝もまた岩間からしみ出た
水霊にすぎない
この考へる水も永劫には流れない
永劫の或時にひからびる
ああかけすが鳴いてやかましい
時々この水の中から
花をかざした幻影の人が出る
永遠の生命を求めるは夢
流れ去る生命のせせらぎに
思ひを捨て遂に
永劫の断崖より落ちて
消え失せんと望むはうつつ
さう言ふはこの幻影の河童
村や町へ水から出て遊びに来る
浮雲の影に水草ののびる頃

先週、大切な人を亡くした。突然だった。本人もそのつもりではなかっただろう。
また、先週、別の人からこう言われた。
先のことは分からないから、さようなら、を、言っておく、君達は長生きしてくれ、と。

永遠の別れは、挨拶があってもなくても、残された者にとっては辛いものだ。人は生まれてくる時もひとり、死ぬ時もひとり。孤独な存在だということを認めて、気持ちを強く持たなければ。私達は孤独な旅人。

昨日3月11日は、東日本大震災が起こってから、10年だった。この地震で、19747人が亡くなり、未だに2556人の方が行方不明となっている。沢山の方が、天災と言われるもので突然に命を落とされ、夢ある未来を奪われ、痛ましい限りである。どうか旅立たれた先の世界で安らかにあられますように。皆様のご冥福をお祈りします。

天にまします我らの父よ。
ねがわくは御名〔みな〕をあがめさせたまえ。
御国〔みくに〕を来たらせたまえ。
みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。
我らの日用の糧〔かて〕を、今日〔きょう〕も与えたまえ。
我らに罪をおかす者を、我らがゆるすごとく、我らの罪をもゆるしたまえ。
我らをこころみにあわせず、悪より救いだしたまえ。
国と力と栄えとは、限りなくなんじのものなればなり。
Amen。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?