大阪で一夜を過ごした彼と5年後の東京で。①
「ちょっと思い出しただけ」という映画をご存知でしょうか。
去年ぐらいに公開された主演伊藤沙莉さん、池松壮亮さん、音楽がクリープハイプという全方向からエモい恋愛映画です。
(エモいってまだ使う???)
当時付き合っていた恋人たちの別れから出会いまでに遡って展開されるお話です。
ストーリーも音楽もいいんですが、タイトルがいいですよね。
「ちょっと思い出しただけ」。
私は現在齢36で田舎の独身実家住まい、両親と犬の3人と1匹で隠居生活のような暮らしをしています。
今の生活は低刺激で心が浮つく出来事もないので、ふと過去の恋愛や異性関係に想いを馳せることが多くなってきました。
素人ながら、これらを「ちょっと思い出しただけ」風に昇華して書いていけたらいいなぁと思い、noteを開いてみました。
しかし書き進めて読み直してみたところ、私にはとてもエモを表現できる能力はなかったので、ただの思い出を綴った駄文になってしまいましたが、せっかくなのでここで供養させてもらえたらと思います。
大阪の一夜と5年後の東京
22歳。
私が新卒で証券会社に入社した歳のことです。
就活していた際に配属先の希望調査があったのですが、第一希望に関西、第二希望を東海にしていました。
大学が関西で地元も関西寄りなので当然のごとく第一希望にしたのですが、第二希望の東海は全然なじみのない土地でした。
なぜ第二希望にしたかと言うと、当時付き合っていた彼氏の地元が東海だったので、ゆくゆく結婚するなら配属が東海でもいいかな…
とお花畑な頭で選択したのです。
が、その彼氏とは就職前に破局。
でも、まぁ配属先って普通は第一希望にしてくれるでしょと思っていたのでそれに関しては何も心配していませんでした。
そしたらなんと、配属先は名古屋。
元彼の地元に近いところになってももう意味ないのにwww第二希望を東海にした自分バカすぎwww
と失笑しつつ、しばらくは己のお花畑脳を恨みました。
結果としてこれは持ちネタになったし、名古屋はめちゃくちゃに楽しかったので良かったのですが。
前置きが長くなってしまいました。
えっと、
とりあえず誰も知らない地に来て彼氏もいない、友達もいない私は、同期と先輩たちとたくさんの時間を過ごすことになります。
特にその頃よく行っていたのが合コン。
先輩や同期にセッティングしてもらって月に2回ぐらいは行っていました。
で、そんな私が大学時代の男の先輩とたまたま連絡を取ることになって、その先輩と合コンをしようという話になりました。
先輩は大阪で就職だったので、私は大阪まで遠征して合コンすることになります。
女子の参加者は研修で仲良くなった関西の同期を集めて、先輩も同期や課の先輩を集めて4:4で開催しました。
先輩の勤務先は大手IT関連会社で、参加していたのは名の知れた大学を卒業したスマートな方達でした。
幹事のときの私は基本盛り上げ役に徹するので、大荷物を持って「名古屋から来ました〜!」と出会いに貪欲な痛い子になって話題を作ります。
斜め前に、男性グループの中でも特におしゃれに気を遣ったイケメンが座っていました。
名前は須藤さんとします。
彼は私に積極的に話しかけてきました。
でもそんなイケメンが私を狙うわけないので、
あーイジりやすいからかなーと思って喋っていました。
みんなで会話をしているとき、ふと斜め向かいの彼の脚が掘りごたつの中で私の脚に当たりました。
「えっ、これって合コンでよくある秘密のボディタッチ!?」
と思ったけど、まさかイケメンが私にそんなことしてくるはずないだろうと思ってスルーしていました。
そして一次会が終わり二次会があって、女の子たちの終電ギリギリの時間に解散しました。
私は宿を取っていなかったのでとりあえずネカフェにでも泊まって翌日のんびり帰ろうと思っていたのですが、
須藤さんに「どうするの?」と聞かれて
ネカフェに泊まる〜と言ったら、
「うちの寮に泊まりなよ!」
と打診されました。
「えっっ、寮に入っていいの???」
と聞くと
「たぶん大丈夫!」
と言うので、22歳で怖いもの知らずだった私はお言葉に甘えることにしました。
「会社の寮なんてワクワクする!」
とか言いながら、須藤さんと私と、同じ寮に帰る木村さんという方と3人でタクシーに乗り込みます。
タクシーでは私が後部座席の真ん中に座って、両端に須藤さんと木村さんが座りました。
木村さんはメガネをかけた色白で細身の穏やかそうな男性でした。
彼とは合コン中に話す機会があまりなかったので、せっかくだから須藤さんを交えて色々喋っていました。
3人で話していると、須藤さんは私の太ももに触れて持ち上げ、自分の膝の上に乗せるという大胆な行動を自然にしてきました。
私は何が起きたか分からず内心驚きながらも、動揺したら負けだと思って淡々と会話を続けました。
そして寮に到着。
他の人には見つからないようにこっそり施設を案内してもらって、ふたりの部屋を見せてもらうことになりました。
須藤さんの部屋は、行きがけに服をいくつか選んだ跡があり、ベッドに選ばれなかった服がいくつか打ち掛けられていました。
テーブルには食べかけのパンが置いてあり、合コン前に小腹が空いたから食べたとのことでした。
木村さんの部屋は、シンプルで片付けられていて、何もない印象。
ひと通り部屋を見渡した須藤さんが急に
「木村さんの部屋初めてきたなー。いつもどんな感じで寝てんの?」
と木村さんに謎の振りをします。
木村さんは天然のいじられキャラなのか「こうだよ〜」と淡々とベッドに横たわって布団に潜り込みました。
須藤さんは更に私に
「添い寝してみたら?」
と謎の振りをします。
何でそんな振りをするのか意味が分からなかったけど酔っていた私は
「え〜??木村さんいいー??おじゃましまーす」
と軽いノリでベッドに潜り込んで木村さんの隣に横たわりました。
当時の私は、その場の空気を壊して人から見放されるのが何より怖かったし、おもしろい奴だと一目置かれたかったので、汚れ役になっても盛り上がるなら何でもしようという精神で生きていました。
すると須藤さんは
「ちょwwwじゃあ木村さんに覆い被さってチューしてみてよwww」
と更にエスカレートした振りをしてきます。
私は断ってこのノリを潰してはいけないと思い「木村さん失礼します…!」
と言って木村さんに覆い被さって、鼻と鼻を合わせる鼻チューをしました。
須藤さんは
「ヤバwwww木村さんがその気になっちゃうからやめたげてwww」
とひとしきり笑って満足したみたいで、私も木村さんから離れて起き上がりました。
そしてそろそろお開きの空気になったので須藤さんが
「で、どっちの部屋に泊まるの?」
と私に聞いてきました。
私は須藤さんの部屋に行くのは何かヤバそうだなと直感的に思ったので
「このまま木村さんの部屋で寝まーす。」
と宣言したら、須藤さんは
「そっか。おやすみー」
とだけ言って自分の部屋に帰って行きました。
残された木村さんと私。
「木村さん、すみません…。泊まってもいいですか??」と改めて聞いてみたら
「全然いいですよー。もう遅いし寝ましょうか。」
と言ってくれたので、私たちはさっきの流れで同じベッドで隣同士になって寝ることにしました。
私はひとこと二言木村さんに質問をして、10分ぐらい雑談をしてからすぐに眠りにつきました。
「おはようございます。」
何事もなく朝を迎えました。
その後は木村さんに最寄駅まで案内してもらい、私は昨日終電を逃してサウナに泊まっていた男性幹事の先輩と梅田で合流して、お茶して名古屋に帰りました。
木村さんには帰ってから「ありがとうございました」のメールのやりとりをしただけで、結局この遠征合コンでは彼氏ゲットという収穫はなかったけど、寮に潜入してその日出会った異性と寝るという不良みたいな体験が出来たのでよかったなーとホクホクしていました。
出会いは相変わらず名古屋でもたくさんあるので、須藤さんも木村さんのことも忘れて引き続き合コンと仕事に明け暮れる毎日を送っていました。
さて、そんなもう二度と会うこともないと思っていた彼でしたが、5年後の東京で…。
長くなりましたので続きはまた次回。
ここまで思い出話にお付き合いくださりありがとうございました。
※
そういえば寮に勝手に泊まるって「不法侵入」とかに当たるんか!?と思って調べてみたら、住居侵入の時効は3年となっていたので時効を援用します。何卒よろしくお願いします。
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