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「なんかのえび」というアカウント

私がそれと初めて出会ったのは、ある日の水族館であった。世間的にも有名な巨大水槽にたどり着く前にある小さな展示コーナーに、ちんまりと1匹佇んでいた。
それは無口で、岩の上で静かに水の流れを感じているようだった。
挨拶程度に私は持っていたミラーレスで写真を一枚撮り、1分ほど見つめて、その場を後にした。




やわはみをフォローするとどうやらおすすめに度々顔を出してくるらしい謎のアカウント、「なんかのえび」(@nankanoebi)について、あれは何?となっている人がちらほらいるという話を聞いたので、説明できそうなところまでしておこうと思う。


まず第一に、アカウントを作ったのは私である。
開設は2018年10月、つまりは高校2年生の時に事を始めたというわけだ。

理由は明確には覚えていない、というか多分あんまりないんだと思う。
今の推察では…なんやかんやあって転校した通信制高校での生活も2年目に入った頃(生徒の新規流入・流出が多い通信制の特性上)初年度に得た友人が全員転校して失われ、やることも特になくくすぶっていた現実に対して、癒しの手段として別人格RPを思いついた勢いで作ったものだろう。

対象をエビにした理由は、おそらく当時のカメラロール内で新しい方にあった写真(それがそのままアイコンになった)が目について「あ、この子いいな」と思ったこと、あとは小さくてかわいらしい水生動物に対する個人的な嗜好である。


そこに特にオーディエンスは求めていなかった。当時の知り合いにはアカウントの存在を知らせず、ずっとFF0人でやっていた。自分の中で「飼育」されている、何の種類かも調べていないからよくわからないままの「えび」が、たまに小さな物音を立てるのに耳を澄ませる、それだけの自己完結の営みをひたすら続けているだけであった。

そして、忘れられた。




…気がついたら、私は大学生になっていた。
続くレポート課題や噛み合わないグループワークに追われてまた疲弊していた中であっただろうか。休憩中にTwitterを見ていたら、削除されぬまま使われなくなったアカウントを発見した。
その中に、「なんかのえび」があった。

私は「なんかのえび」に数年振りにログインした。すると、程なくして私の中で眠っていた「えび」の姿がふわりと泳ぎ出し、口を開いた。

わ。

久しぶりに目の前に現れた「えび」と私は、裏で少し会話をした。
「えび」は、えびの持っている言葉で自分のことを教えてくれた。

・えびは、「すいぞくかん」にいる。(私が写真を撮った、あの水族館かもしれないが、敢えて断定はしない)
・「すいぞくかん」では、およいだり、えさをたべたり、同じ「すいぞくかん」のおともだちとおしゃべりしたりして、すごしている。
・「すいぞくかん」には、よくおきゃくさんがくる。そのおきゃくさんと、えびはなかよくなりたいとおもっている。

改めて「えび」のことを知った私は、再び飼育とTwitter運営を担当することにした。
オーディエンスも近くの人くらいなら、と思い、少し開放することにした。

もしかすると、おすすめアカウントとして流れてくるのは、「えび」がぜひ「すいぞくかん」に来てほしい、というお誘いをしているのかもしれない。

最近はTwitterからのおきゃくさんが少し増えて、えびもノリノリである。

皆さんにおかれては、私と一緒にえびの声に耳を傾けてもらって、まあ、そこそこ可愛がっていただけたら幸いだなと思っている。
それくらいかな。以上。


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