モブサイコⅢの感想と自己受容(ネタバレあります)
自己受容について
モブサイコⅢを全部見ました。唯一Ⅰ〜Ⅲのシーズンまで見たアニメでした。
途中で見るのが止まっていたのですが、しばらくアニメを見ることから遠ざかっていて、たまたま7話の途中で止まっていたのに、アマプラで出てきたので見ようかな、と思いました。
モブサイコの総監督さんは、今作の劇場版探偵コナンの監督も務めている方です。立石譲監督です。映画BLUE GIANTも手がけてらっしゃいます。最近新たにお名前を知った監督さんなのですが、凄い方を知れて嬉しいです。
モブサイコの作者ONE先生の漫画は心理的な葛藤や、言語化しにくい部分を漫画で表現してくれる部分に、深く考えられてる方だな、と思うと同時に他者へ伝える表現力がお二人ともあるところを尊敬しています。
お二人とも我が、という主張じゃなくてキャラクターであったり、表現の方法でいかに見る側・読む側の人に伝わるものを作られるのか、というところが「客観視」する力と、感情であったり、物語の中の核として奥にあるものを世界観の中で表現していく力、見る側を中に引き込む力が圧倒的だな、と感じます。モブサイコはどのシーズンを見ても、スタッフの方が丁寧につくられているのを感じて、なおさら好きだなぁ、と感じさせてもらえる素敵な作品です。
お二人とも尊敬する方です。
モブサイコⅢでは、主人公が無意識下で押し殺してきたもう1人の凶暴な自分と分かりあう、共存していくことの受け入れることがテーマでした。
暴れると手がつけられなくなるような力を持って、見てわかる超能力という形でアニメはわかりやすいです。
ただ、普段生活している平凡な私たちの中にも、社会で見せる顔と、家族に見せる顔と、もっと内側で分けてみると欲深さを自覚している自分と、制御できない自分、など。清く正しくありたいと思っているけれど、例えば面倒なことからは逃げたい、汚い仕事はしたくない、本当は良くないけれど見過ごしてしまおう、という人間らしい醜い部分がどちらもあります。どのくらいの程度のものなのかは人それぞれで、どこまで受容するのか、自分を律することで生活していけるのかも人それぞれです。
ただ、どちらの面も兼ね備えている自分がいることを自覚しておくこと、自覚というのはただそうだよね、と分かったつもりになるのではないです。実感や経験や努力や失敗を踏まえて、多少の泥水を啜った状態で生きてきた中で自分だと自然に受け入れができている状態のことです。
目を背けがちなのですが、まずは成長するには自分の今の状態を受け入れることが一歩、といいます。
その一歩には結構負荷がかかります。他人と比べてしまうからなのもありますし、ありのままの自分の頑張ってこなかった、向き合ってこなかった、逃げてきた部分と向き合うことは簡単なことじゃないからです。
痛みを伴う場合が多いように感じます。
けれど、足りない部分を自覚して、客観視することができて、それで自分のことが見えて、やっと、やるべきことが素直に見える、自分にあったハードル、等身大というものが分かるんだ、ということです。
早熟している方は羨ましいですし、得意な方向を素直に伸ばしていける人も羨ましくなることもあります。環境を言い訳にするな、とはいいますが、人の置かれた状況も、生活環境も、情報や人とのつながりがどこまで求めていけるかも、都会と地方でも、特にこどもの場合は格差があります。都心と地続きの環境と家庭の状態は差を生み出しやすいと感じます。
どういった状況であったとしても、土台として大切なことは今存在する自分と、理想と現実のギャップをきちんと把握できている客観性を身に付けられているかということが大切なことだな、と感じました。
アニメの感想から言えば、まだ中学生の主人公はトラウマの部分をいろんな友人が介入しようとしてくれる過程があります。だんだん、内側のもう1人の自分との葛藤も合わせながら、最終的に師匠として慕っている大人が素の本性を涙や鼻水まで垂らしながら、情けない姿を中学生の主人公に打ち明けます。でも、それでもそのままの自分もいてもいいじゃないか、と話します。
頑張っている姿も、理想を追って背伸びする姿も、誰かのための無理する姿であっても、その姿も自分であって、怠けることももちろんあるけれど、それも踏まえていろんな面を持ちつつ関わっていくことは、時々傷つくこともあるけれど、関係性を築けた友人や、周りの人との関係は自分がコツコツ地道に作り上げた居場所でもあるんだと、といいます。
もちろん現実の場合にはいい場所やいい人ばかりではないのが実際ですが、そうあれるような信頼できる人になること、信頼できる居場所を持てるように努力することは意味があることなんだよ、という風に受け取りました。
自分を律する勇気、弱さを受け入れて地道に成長するための習慣を続けていく努力も、時々は人だから休むけれど、ちゃんと前向いて進んでいけているか客観的に自分を見守りながら一歩一歩進んでいくことを、うまくいかない時に逃げずに反省して次に繋がるような行動や思考で自分で考えて、自分自身を見捨てないこと、根気をもって見守り続ける、自分だけは見離さないことが大事なんだよってことがとても伝わってきました。アニメの中で、その難しさや葛藤が難しいこと、そう簡単じゃないことが描かれていて説得力がありました。だけどそういう時には、他の人の手も借りて、自分だけで全部なんとかしようとしないで、困った時に相談したり、誰かの力もお互い様、で助け合う姿勢を持てることも大事なんだよ、ということも伝わってきて、素敵なアニメだなと思いました。
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