【夜ノ記述④】

「一月の蜜蜂が食べるのは月」
A介がたっぷりの牛乳をあたためている。近くでは池の水が黒々と揺らぎ、底を注意深く隠している。くぉんくぉんと呼吸の音が響いているが、A介にはそれが普通なので気にもとめない。
ふわっと、おそろしく急に沸き上がった牛乳を火からおろす。半透明のコップですくい、彼はそれを口にふくむと、ぷーっと吹き出した。
小さな星雲が生まれて、消えた。


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