読書メモ『星を継ぐもの』J・P・ホーガン

読んだ本星を継ぐもの』ジェームズ・パトリック・ホーガン 創元SF文庫

昔から宇宙には好奇心をくすぐられっぱなしで、子供の頃は宇宙の謎を題材にした、「ホーキンス博士のなんたら」みたいな海外の児童小説がお気に入りだった。

SF小説を読みたいと思ったのは、映画「メッセージ(arrival)」や「インターステラー」を見た時に、やっぱ宇宙やべえ!SFやべえ!「おれSF好きかも?」と思ったからだ。二作とも見たのかなり前だけど。

本の紹介

そんなこんなでやっと手に取った「星を継ぐもの」は、SF小説の中でもトップクラスに有名で、誰もがおすすめする名作と名高い作品。

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。

『星を継ぐもの』創元SF文庫のあらすじ

面白かったところ

なんといっても、謎が謎を呼ぶ展開からの、怒涛の謎解きと、作中の人物と自分とで作り上げた仮説が次から次へ覆されていく驚きが最高。
推理小説のような爽快感があって、最後の方はバーッと一気に読めた。

この作品は未来を舞台にしているけれど、主題となる謎、月で見つかった死体「チャーリー」たちのたどった歴史は、過去のもの。
もしかしたら、自分が生きてる世界でも過去に「チャーリー」はいて、今も月面に眠っているのかも?なんてロマンが止まらない設定にも感動した。

読みにくかったところ

40年も前の、翻訳本なので、文体がなじめないところが多かった。

さらにハードSFとあって、意味の分からないカタカナ語がずらずら並んでいることや、知らないアメリカやイギリスの地名、まったく笑いどころがわからないアメリカンジョークが時折浮かぶなどして、眼が滑りまくる。

幸い、驚きのあるところ、謎解きの部分は博士たちの会話で進行することが多いので、そこはスラスラ読めた。

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読んだ人向けの感想(ネタバレ)

個人的には、ハント博士とダンチェッカー博士が、他の学者たちの説になびかず一人で思惑を巡らせている姿がなんとなく好き。
終盤、月がどこにあったかの問題についてはたぶんこうじゃない?と自分で推理できてしまったので、ハント博士以外がその説にたどり着かなかったのがなんとも都合がいいなぁと思った。

あとは、月が地球の軌道に偶然乗ったとしたら、月の自転周期が公転周期と同じ(ずっと同じ面を地球に見せている)ことが不自然かなぁと思った。これはまぁフィクションだからね、って感じだけど。ルナリアンが地球に来た時、すでに言語があったはずだし、農耕の文化とかもなかったのかな?他にも説明のつかないことある気がするので、突き詰めると全然破綻している気はする。

冒頭でコリエルが巨人とされているのは誤訳では?という意見をみたし、自分もコリエルはガニメアンだったの?とか考えてしまったんだけど、途中にあった「ルナリアンの慣用句で、巨人はたびたび強大な力、卓越した知能をもった存在のたとえに使われる」(ルナリアンにとってのガニメアンは古代文明を作り上げた巨人)という説明が、この伏線をこっそり回収していたという意見をみて、うわっと納得した。

チャーリーにとってコリエルは「巨人」だったんだな。だから彼は地球にたどり着けた。
我らが祖先コリエルさん、あっぱれ。

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