新人作家さんがSNSを利用する場合、やらないほうがいいこと七選
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Twitterを眺めていたら、こんなつぶやきが流れてきました。
このツイートを眺めながら、「そうだよなあ」と思わずつぶやいてしまいました。
そもそも作家のSNS運用って難しいんですが(そもそも正解がない)、新人作家さんだと業界の不文律的なものにも通じてらっしゃらず、勝手がわからないんじゃないかなあと思います。
かくいうわたしもそうでした。
今でこそ、解説で自己のキャラクター化に意欲的な作家(BY 細谷正充先生)と評されるくらいアレな作家ですが、昔は各方面にご迷惑をおかけしまくり、いろんなところで恥をかいたりなんだりしながら結局今のスタイルに落ち着いてきた感があります。
まーそんなわけで、今日は「新人作家さんがSNSでやらないほうがいいこと」をわたしなりにご紹介しようかなと思います。
①「○○が嫌い」と言わない方がいい
人間、誰でも好き嫌いはあります。食べ物から人から創作物、果ては野球のチームや特定の組織などなど、わたしにだって好き嫌いはあります。けれど、万人が嫌いなものはおそらく根絶されているはずで、あなたが嫌いなものを好んでいる人はいるはずです。そうした方から反発を受けないようにするには、己の「嫌い」をSNS上に乗せなければいいのです。己の「嫌い」は小説の上で表現したほうがベターです。
②SNSコメンテーターにならない方がいい
SNSを眺めていると、世の中のニュースを取り上げて逐一コメントをつけてらっしゃる方がいらっしゃいます。わたしはそうした人々を「SNSコメンテーター」と呼んでいるのですが、あまりそうしたものにならない方がよろしいかと思います。いや、たとえばあなたが何かの専門家で、専門分野についての知識をコメントするんであれば何の問題もありません(それどころか尊敬を集めるので実に結構なことです)が、あまり詳しくないことに首を突っ込んでやけどするとあなたに変なイメージがついてしまいかねません。流れてくるニュースに対し何らかの感情が動いたとしたら、小説にぶつけた方がベターです。
③議論、言い争いをしないほうがいい
新人作家さん。あなたは今、「みなし公人」とでも呼びうる立場です。これから本を出す、あるいはもうすでに本を出しておられるかもしれませんが、いずれにしても、あなたは今、おいそれと名前を変えたり逃げ出したりすることのできない公の人になっています。
そうした「公の人」は、SNSにおいては相対的に弱い立場に陥りがちです。失うものが何もない匿名の人物による攻撃に脆い面があるのです。そして、「公の人」になるとそうした攻撃にさらされるリスクが高まります。
攻撃されたら反撃や議論をすることなく、ブロックやミュートなどの機能を使いましょう。
また、攻撃された際の悔しさは、小説にぶつけましょう。
④お金の話はしないほうがいい
新人作家の皆さんはこれから印税を手にすることになります。印税というのは本を刷った際に作家に支払われる使用料のことですが、こちらについては喋らない方がいいと思います。また、これに絡み、印税率(何パーセントか)といった話や、部数(何冊本を刷ったか)という話もしないほうがよいでしょう。特に部数に関しては作家によって千差万別なものでして、変に公開すると●●●●(自主規制)なことになります。
お金とその周辺の話は仲のいい作家との酒の肴にしましょう。そして、格差を感じたらその悔しさを小説にぶつけるのです。
⑤アマチュア時代のエントリは残さない方がいい
WEB小説などの発展で新人作家さんもアマチュア時代からSNSを利用している例が増えました。けれど、過去のSNSでの発言が問題になることもあるので、アマチュア時代のエントリは消しておいた方が無難とお伝えしておきます。アマチュアの時代には大目に見られていたことも、「みなし公人」となったあなたには大きな足かせになるということもありえます。
過去のバズりツイート? そんなもの、銀河の彼方へ捨ててしまうのです。消した時、あなたの頬に伝った涙はきっとあなたの小説を輝かせることでしょう……(知らんけど)。
⑥個人情報に連なるようなことを書かない方がいい
「明日は休みだから映画を見に行く」、「明後日は新宿で作家仲間と飲みます!」などなど。ついSNSで喋ってしまいがちですが、こういうたぐいのエントリもしないほうがいいでしょう。繰り返しますが、あなたは「みなし公人」です。もしかしたら、新人作家のあなたに興味をもって後をつけてくるやばい人があなたが酒を飲んでいる横の席でニタニタ笑っているかもしれませんし、家を特定してくるかもしれません。そうした情報はできる限りSNSからシャットアウトしてやった方が無難です。
まあ、そうした体験も芸の肥やしと言えば芸の肥やしですが……。おすすめはしませんよ。万が一そうした事態に陥ったら、克明にメモを取りつつ警察に相談しましょう。メモは事実関係の復元にも役立ちますし、小説のネタにも使えます。
⑦自慢に見えかねないことは書かない方がいい
変な話ですが、作家になると色々といい思いができるようになると思います。他人の金で飲み食い……とか、出版社さんのお金で取材旅行……とか。まあもちろんこれは作家の業務の一環なので何もやましいことはないのですが、SNS空間だと自慢にも見えかねず、「いい思いしやがって!」みたいな反発を抱かれかねないので、こうした「自慢に見えかねないこと」はあまり触れない方がいいかもしれません。
おいしいご飯を食べさせてもらったら、それはあなたの小説の中で描写しましょう。
とまあ、ここまで書いてきたのですが、実はここで挙げた七つの「しないほうがいいリスト」、かなり保守的な内容です。
実際問題、現在ご活躍中の作家さんの中でこの七つを厳格に守っておられる方は(わたしも含め)そう多くはないと思います。作家さんはそれぞれ試行錯誤をし、「自分だったらここまで話していい」「自分はこういうことは話さない」と自己ルールを微調整して運営なさっておられるのだと思います。
こちらは新人作家さんがSNSを運営するときの最初の注意でしかありません。出版業界のことが見えてきて、仕事に慣れてきたら自分なりにチューンナップしていくとよい気がします。
「〜しないほうがいい」というわたしの言葉選びにもご注目ください。基本的に作家は自由な生き物、誰の言うことを聞く必要もありません。また、このエントリは新人作家さん向けのもので、現在ご活躍中の作家さんたちに向けたものではないという点もご注意。このエントリはSNS利用に不慣れな新人作家さんに向けたものなのです。
ぶっちゃけたことをいうと、作家にとってSNS活動は「おまけ」にすぎません。趣味の領域とまでおっしゃる作家さんもいらっしゃるくらいです。もちろんSNSがお好きならいいのですが、あまりしっくりこないということであれば、淡々と刊行本の紹介をするだけでもいいとわたしは思っています。むしろ、こうした「おまけ」の活動でのトラブルに足を引っ張られる方がリスクとさえ言えます。
この辺は、あなたの作家としてのスタンスに関わってくることなので、しばらくSNSを運用してみてから考えてみてもよろしいかもしれません。
(それにつけても今日のエントリ、誰が読むんだ……?)
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