桔梗の旗書影

12/5刊行『桔梗の旗』(潮出版社)はこんな話②「敵役は織田信長です」

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 前回は主人公の紹介だったので、今回は本作における敵役をご紹介しましょう。
 今回の敵役は……織田信長その人です。
 本書は明智光秀の最晩年期を扱っているので、当然クライマックスの一つとして本能寺の変が語られています。そして、一時は蜜月であった明智光秀と織田信長の間に不穏な兆しが覗くことで、徐々に明智光慶の周囲に波風が立つようになってゆくのですが……。
 つまるところ、本作は明智家を書くと共に、織田信長という人物に果敢に挑んだ小説ともなっています。

 本能寺ものにおいてよく俎上に上げられるのは、明智光秀と織田信長の「齟齬」は奈辺にあったのかという問いです。これを突き詰めていくうちに、明智光秀・織田信長がそれぞれ何を志向していたのか、二人の性格はどのようなものだったのか、本能寺の変直前の齟齬とはなんであったのかが問われていくわけです。その疑問に応えることが戯作者・小説家の務めとばかり、これまで多くの講談や小説において、様々な筋書きがこしらえられ、時代時代の読者を魅了してきました。
 そんな中、光秀と信長の「齟齬」について、わたしなりに色々考えてみていたんですよ。その結果、「もしかしてこういう解釈もありなんじゃない?」というネタが思いついたんです。しかもそれは、光秀の息子である光慶を挟むことによって成立する解釈なので、今作の趣旨にも合致しています。
(念のため言っておきますが、この解釈が歴史学の検討に値するかと言えばそういうものではありません。これは小説家が自作を面白くするための「ネタ」であり、大真面目に受け取られてしまうと困ってしまうというのが本音です)

 ともかく、織田信長という人の「個性」と、明智光秀の「古さ」がぶつかった結果、こうしたことが起こったんじゃあるまいか、そして光秀の「新しさ」と「古さ」の結晶が光慶だったんじゃないの、みたいなお話になっております。
 一体どういうことか? 12/5の発売をお楽しみに!

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