子供が細菌性髄膜炎になった話。その4

お医者から今から上の入院病棟に移ってから髄液の検査をしますという事で看護師に連れられ移動した。

子供センターの扉には時世柄面会時間の設定やルールが貼ってあった。過去に面会者からの院内感染があったようだ。
「今から髄液を採取しまうのでお子様をお預かりしますね」と看護師に子供を渡す。「よろしくお願いします」と伝えた。
しばらくするとさっきのお医者がやってきて扉の中に入っていく。扉越しに電話で新生児の髄液検査をするから応援を下さいと聞こえてくる。
小児であれば麻酔をして行うが乳幼児は大人2人で抑えて3人でやるとのこと。
おそらく他の部署と思われる看護師がやってきた。

既に他の子供の泣き声が聞こえていたが看護師到着から15分後にウチの子供の泣き声が聞こえてきた。
妻と「あっ、うちの子の声。今やってるんだろうね」「大人でもなかなかやった事ないよ。きっと強い子になるよ」なんて話していたら先生が出てきた。
「髄液を採取中に血液も混入してしまいましたが一回これで培養検査にかけます」
髄液検査の説明中に血液が混入する可能性も聞かされていたのでそんなもんかぁと思った。検査中に結構暴れて大変でしたーみたいな事をいわれたのとそのタイミングでコロナ、インフルエンザ、RSウィルスの検査は陰性だった事も教えてもらった。

今日はできる事がもう無いという事で子供と面会して帰る事に。妻が先に会い俺が後に。
子供はベッドの上でウニウニと手足を動かしていつもの感じでいた。ただ右手には点滴のルートが入っていてそこから抗生剤と思われる薬を入れる機械が繋がれていた。万が一なんて起こることのない万が一だろうけど仕方ない。抗生剤も副作用や良くないこともあるだろうけどと自分を納得させた。
「検査がんばったね。どうせすぐ帰るんだろうけど初めての他所のお泊まり寂しくないか?お母さん心配しちゃうけどあっちはまかしとけ。こんな元気そうなのにねぇ。ちょっと夜の2人の時間もないけど俺も休憩させてもらうからお前も身体なおせよー」
なんて事を言ってお別れし看護師に他に何か必要な物はあるかききオムツとの事だったので駅のドラッグストアで購入し病院を往復した後に妻と病院をあとにした。
もう18時30分を超えていた。
病院からバスで駅に着いた時にお腹が減ったのと精神的な疲れもあるので近くのラーメン屋にいった。ラーメンを待つ間に病院から妻に電話が来ていたのがわかり店の外で電話をかけにいった。

その間にあまり詳しくないので細菌性髄膜炎についてネットで調べてみた。もしそうだったら酷い風邪みたいなもんでちょっと入院すんのかなぁ?育休終わっちゃうのかなぁ?なんて考えつつ検索したらそんなあまいものでは決して無かった。
治療を受けない場合の生存率は0。治療を受けた場合でも0-20%は亡くなるらしい。
かつ、生き残っても後遺症が残る可能性が40%
そのうちに重篤な後遺症はそのうち50%
それをみて怖い病気だからあんなに厳重なのなと思った。まぁ医者も病院来たのに帰されて実はとかだったら大変だしなぁとか思いつつも妻が帰ってくるのとラーメンがくるのが同時くらいだった。
妻から「髄液の中から細菌が出たって」と言われて自分の中の時間が止まった。

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