豚野郎事件

ある日のこと、一緒に音楽を制作しているmidorimi氏と共に、楽器の聖地「御茶ノ水」へと降り立った。

厳密にいうと新御茶ノ水で待ち合わせをし、そこから御茶ノ水にある楽器店街へと繰り出そう…という話だった。

予定通り新御茶ノ水で落ち合い、「では参ろうか」とおじゃる丸ばりのやんごとなき心持ちで歩いていると…。

私はふと、あるモノが視界に入り、咄嗟に、

「あ、ねぇ!みて!豚野郎!豚野郎!ほら!」

と、隣を歩くmidorimi氏にその「あるモノ」を指さしながら声音を高めた。

しかし、なぜかmidorimi氏は私の振りを無視してズンズンと歩いていく。

「ねぇ、ちょっと!ほら…あそこ!豚野郎!」

聞こえてないのかな?と思い、私はもう一度midorimi氏に話を振ってみた。

すると、midorimi氏はどこかソワソワした様子で、

「うん…そうだね」

と小さな声で返答するだけだった。

なんでこんなに小さな声で、しかも変に周りを気にしながら話してるんだろう?と疑問に思った私は、再度、

「ほら、あそこ!豚野郎って!看板がある!」

と、遠くからでもわかるぐらい大きな文字で「豚野郎」と書いてある看板を指差した。

すると、

「ああなんだ!そういうこと…!」

と、midorimi氏は安堵の表情を浮かべて、私の振りを無視した理由を説明した。

どうやら、道を歩いている他人に対して、私が唐突に「あそこに豚野郎がいる」と、豚だけにトンでもなく失礼なことを大きな声で言い始めた…と思ったらしい。

うん…いや、そんなわけないだろ。

そんな唐突に知らない人に対して「この豚野郎!!」なんて言うわけがないんですよ。んなことしたらそれこそ豚だけにこっちがフルスロットルでぶたれるよって話なんですわな。

midorimi氏の勘違い理由もわかったところで、私たちは楽器店街へ颯爽と向かったのであった…。

ちなみにであるが、その「豚野郎」の看板は豚丼のお店らしい。

さらに余談だが、どうやらコンゴ民主共和国には「ブタ」という名の町があるらしい。

おっしまい!

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