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5年後に生き残るメディア

「読者なんて誰でもいいから、とにかくPV数を増やせというメディアはあります。でも、そういうメディアにはそういう人しか集まらないので、うちはやらないです」

数年前、あるメディアの編集長さんに取材したときに話してくれた言葉だ。
記事の品質にこだわって、企画段階から相当に時間をかけているメディアで、「そんなに手間や時間をかけなくても、読者を集められるんじゃないですか?」というぼくの質問に対して返答してくれた。
丁寧で、強い意志が感じられる言葉だった。今でも、印象に残っている取材の1コマだ。

実際、短期的にPV数を稼ぐことだけを考えれば、いくらでもサイトは立ち上げられる。

でも、「この世に悪の栄えた試しなし」と誰かが言ったように、そういうサイトは不思議と長く続かない。5年後、10年後に残るのは、読者に信頼されることを積み重ねたサイトやメディアだ。
ファンになってもらい、何度もリピートされる関係を築けるかどうか。ぼくは、そういうサイトをいくつも知っているし、そうありたいと思っている。

不思議なことに、信頼されるメディアには誰かを傷つけるようなコンテンツや発言がない。「当然じゃないか」と思うかもしれないけど、最近Twitterを見てると強い言葉が多いしそれを助長するメディアもある気がする。

その強さ自体をエンターテインメントというか、芸風として昇華してる天才も中にはいるので、それはもうお笑いのわっはっはと楽しませてもらえばいいのだけど、見よう見まねで振り回すには、その芸風は切れ味が尖すぎる。

そして、そういうメディアや人のまわりには、切り合い・果たし合いに楽しみを見出した侍のような人が多く集まる。遠くで「やってるな」と見る分には十分に楽しいかもしれないのだけど、もし自分がその天下一武道会のような場所に行ってくれと言われたら、全力で断る。自分が憧れる人、仲良くなりたい人は、そこにいない。

せっかくインターネットで楽しく遊ぶのであれば、自分が本当に憧れていた場所へ行けばいい。今すぐには無理かもしれないけど、5年もがんばればきっと道はつながる。もし5年も続けられるかわからないというのであれば、その前にひとつだけ考えてほしい。

5年後に、憧れていた場所は変わらず輝いて見えるのか?

もし自信を持って答えられないなら、別に無理して行かなくていいんじゃないかと、ぼくは思う。

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