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遠くを見る目になぜか惹かれるー舟越佳 森へ行く日

先日箱根の彫刻の森美術館を訪れた理由の一つに
2024年3月に他界された 舟越佳さんの「森へ行く日」を見てみたい。
という気持ちがありました。

舟越さんの作品は丸の内のストリートギャラリーで
初めてお会いしました。

遠くを見つめる目、
そしてその頭に具現化された数々の思い出。
それはまるで自分自身であり
今と未来を見つめる、
凛とした美しい女性の姿でもありました。
なぜにこんなにこの像に惹かれるのでしょう?
遠くを見つめる透き通った目、
そして頭にあるオブジェ。

人が持っている「記憶」や「想い」というものについて考えていて、それらを象徴するものを人の頭にくっ付けちゃおう、というアイデアがありました。

丸の内ストリートギャラリー  HPより

彫刻の森美術館にオマージュとして飾られた数々の作品は
木彫りの舟越佳さんの軌道、そして生前に見つめた彼の思いでした。

作品は撮影禁止でしたので、
作品にご興味あるかたは、ぜひ↑をご覧ください。

彼の作品のモチーフ女性はいつも変わらないのに
その表情、姿によって人間の思いは変わります。
特に印象的なのは、
スフィンクスシリーズの戦争に対する思い。

スフィンクスシリーズは、
それまでの彼のモチーフをベースに、
男女を超えた風貌。
そして、いつも穏やかなモチーフの表情が
明らかに違う。
眉間に皺をよせ、苦しそうな表情は、
戦争自体への嫌悪感だけではなく
人間の愚かさを表しています。

舟越佳さんのモチーフ女性は、同じものが多く
それでも、
それを木彫りで女性のやわらかさを表現しながらも
(胸部は、本当に触りたくなるくらい
やわらかい印象です)
脳裏の風景を具現化したり、感情を表現している。

人間の想像力は、海や山よりもはるかにスケールを超えるということを
木彫刻で表現されながらも、
女性の丸みややわらかさを決して忘れない。
「舟越佳、森へ行く日」というタイトルが、
時空を超えて、我々人間に訴えている気がして。
さらにそれが箱根の山々や
自然の中で展開される意味を
改めて噛みしめていた私がいました。

舟越佳さん、ありがとうございました。





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