見出し画像

365日の10日程しか咲かない「桜」と日本人の美学

この季節、関東から西日本は
桜開花から満開のニュースが毎日のように流れます。
今年は特にコロナ禍明けということで
4年振りに飲食が許されたり、お祭りがあったり。
桜は日本の国花でもありますが
よくよく考えてみると
365日の10日ほどしかこの花を見ることができません
桜の種類にもよりますが、
殆どが淡い少しピンクがかった白。
写真に撮影しても、実際に目で見ているように
リアルな美しさはなかなか表現できません。

10日くらいしか咲かない、
写真にもきれいに残せない。。。
何故に、日本人は桜にこんなに心を奪われるのでしょう。

私なりに考えてみたことを書いてみたいと思います。

春の新たな始まりを告げる花。

桜の木は特に学校に植えられている木。
昔は入学式の季節に桜が咲いていました。
入学式・新生活・・・
桜が新たな始まりを祝う象徴でもあったでしょう。
つぼみが花になって、新たなスタート。
桜のつぼみから花に成長する様子は
人の成長を示すようなイメージもあったのかもしれません

海外は9月が新学期のシーズンで、
日本がグローバル化しない理由の一つに
新学期のスタートは桜と共に、
という慣習があるとも聞きました。
日本人の美学がここにもあるのかもしれません。
近年は地球温暖化の為、
入学式ではなく卒業式の花になりつつありますね。

川岸にしだれる桜はまるで日本人のお辞儀

桜の木の中でも、
特に川にしだれる桜の木は、
さらに美しさがあります。
その姿は、まるで日本人がお辞儀をしている姿に似ている気がします。
頭を下げて感謝やお礼の気持ちを表しながらも、
きちんと自身の尊厳を保つ

サービス業の方など、お客様がお店から出て
道の奥、お客様が見えなくなるまで
お辞儀で見守るということもあると聞きます。
日本人ほど、お辞儀に気持ちを込めている人種はいないと思います。
桜が川にしだれている様子は
まるでお辞儀をする日本人のよう。

花が散るときの美しさ。滅びの美学。


桜は10日程の開花を過ぎると、
あっという間に花びらが1枚1枚散っていきます。
春の風の中、
この桜の散る様子を「花吹雪」
という言葉で表現するほど。

花吹雪(はなふぶき)とは、花びらが、あたかもがふぶいているかのごとく舞い散るさまのことである。

日本では、古来「花」の一語が、特に俳句や和歌の世界においては「」を意味する例が見られ、とくに「花吹雪」といった場合には、満開の桜が吹雪のように散る様子を指す。

俳句の世界においては、桜が花吹雪の態で散る様子が、春の季節感(とくに春の終わりから初夏へ向かう時季)の特徴的なさまであるとして、花吹雪は春の季語とされている。

wikipedia より

のどかな春の日に咲き、
あっという間に散ってしまう桜は、
日本人にとって
人間の生と死の象徴とも言われています。
武士道では、咲いてはすぐに散ってしまう桜は、
現世に執着せず、義のために命を捧げる
という武士の生き方の象徴とされたそうです。
「花は桜木、人は武士」とは、
武士の生き方理想を言い表しています。

平安時代の古今和歌集の中、
紀友則が
「久方の ひかりのどけき 春の日に
しづ心なく 花のちるらむ」
と詠んでいます。
散る姿にも日本人の美学が深く込められています。

桜という花は、
日本人が古くから愛でてきた
文化的・思想的象徴
の一つであり、
だからこそ、我々は今でもその美しさに心を奪われ、
感動を覚えるのではないでしょうか。
私は、桜は、日本独自の美学の象徴として、
愛でられているのだと強く感じています。

東京は今が満開のシーズン。
今週末は雨が続いていますが、
来週は晴れてきれいな桜が見られるのを
今から楽しみにしています。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
心に何か残れば、とても嬉しいです。

この記事が参加している募集

#桜前線レポート

3,640件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?