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明けない夜と沈まない太陽

僕がこの日記を書き始めたのは、NN19と言われるウイルスが日本に上陸した日だ。歴史史上、全盛期を謳歌していた人類に一石を投じた有名なウイルス。
このウイルスを期に、人類は労働集中型、生産拡大という側面を一度見直すことになる。
なぜかというと、前者の労働集中型は感染リスクの増加を、後者は経済が止まったときの財務へのリスクの増加を呼び込むからだ。
過剰に供給しないエコシステムが世界に好まれるようになった。





エコシステム。〇〇に優しいエコシステム。母なる〇〇に優しいエコシステム。
聞こえはいいが、究極な最適化の果てに生まれた、合理主義の塊。

必要な量を必要な分だけ。
当然、僕は、望んださ。一日中ゲームができるような、好きなときにお風呂が入れるような電力を。
だけど、その必要量に見合った稼ぎが僕にはないらしい。
もちろん、僕には必要な量を決める決定権はない。
労働に見合った対価。感謝と恩返し。
自分発生の何かをしないと、何かをしてもらえない。

こういうふうに聞くと当然ではあるが、酷く冷徹なシステムのようにも思える。
あー、手が、かじかんできた。
太陽が沈まなければ、僕はずっと、自然エネルギーを享受できるのに、太陽は必ず沈み、耐えなければならない12時間がある。
自然の力は誰もが享受できるわけではない。
資本の力をなくしては、力を得ることはできない。
全員のための自然なんてないのだ。あるのは、自分の賃貸の部屋のみ

明けない夜は、ない。なんて言うけれど。未だにNN19は人類に猛威を奮っている。
うん、まぁ。長い長い戦いの始まりに日記を書いたと思うと、なんだか僕が偉人になったみたいで嬉しい

でも、突然、ウイルスが出てきたくせに、突然居なくなることなんてない。
突然、ドラえもんが友達になったり、超能力が身につくわけでもないのに。マイナスなことは突然起こるんだから。
不条理だよな。まったく。

PS
この物語はフィクションです。
明けないの対義語ってご存じの方、いらっしゃいますか?
意外と調べても出てこない言葉ってあるんですね

ー祝!ー
インスタントフィクション10本目
10月から初めて、このくらいの分量なら毎日更新で書けるだろうと思ってたけど、全然できなかった。
職業作家さんは、本当にすごいなというのと、自分はまだまだだと痛感しています。

ー作品に対してー
今回は、いまだ収束が見えないウイルスと未来の社会に対して、焦点を向けてみました。友達のようで友達みたいに優しくない社会、ウイルスによる日常生活への不条理。人生って苦しかったり、そのぶん、楽しかったり。喜怒哀楽があるもので、今苦しければ、来年は楽しくなると私は信じています。
これからもまだまだ活動を続けていきますので、読者の皆さんどうぞよろしくお願いします!!

ではまた。

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