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インスタントフィクション【夢と現実の間】

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筆者が2020年から約1年間、小説執筆前の助走機関として書き溜めた500字程度のショートショート集。作品に昇華していく前段階の着想が散りばめられている。
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#未来

失った時間

日曜日の昼間、日差しが差し込む電車の客席。 僕は、明け方からずっと電車に乗っていた。 どこに行くつもりかって? どこにも行くつもりはないさ。 ただグルグルしているだけ。

2020

2020年、世界各国では、感染症が流行し、人口が密集している都市は次々とロックダウンに陥った。 政府が次々と、緊急事態宣言や外出制限を行う中、人々も感染リスクを警戒し、外に出なくなった。 まさに、情報を得る手段は、ネットしかなくなったのだ。 これは、一気にパラダイムシフトが起こったと言える。 今まで、支配的だった。電車の吊り広告や、街なかの大型ディスプレイや看板は、意味のない置物と化した。 毎日、5感で感じる情報は、生きるための信号だ。 生き抜くための情報は、膨大な情報