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なぜゲーム依存になるのか③どうすれば回復できるのか

こんにちは。
矢田の丘相談室の田中です。
今日は②の続きで、ゲーム障害の治療について、述べたいと思います。

最近の依存行動の治療は、認知行動療法が第一選択になる事が多いです。具体的に依存行動を避ける工夫を重ねる中で、ストレッサーを依存行動の結びつきを徐々に消去(弱める)事ができるからです。いきなり止めさせるのが得策でないのは、②で述べたとおりです。

しかしながら、どうやってご本人に、治療に行ってもらうのか、がどの依存行動でも難しい点だと思います。
②で述べたように、自己治療のために行っている可能性が高いので、そもそも本人はやめたくないことが多いからです。

そこで、依存行動では、ご本人に治療につながってもらいやすい関わりを学ぶ、家族会が有効であることが多くなります。特に、ゲーム障害の場合、ご本人がひきこもり状態を伴っていたり、学齢期であったりで、同居家族がいるケースが多いため、有効でしょう。

近年多くの家族会ではCRAFT的なテキスト(応用行動分析的なテキスト)を用いて、望ましい行動が発現した時に積極的に関わることで、望ましい行動のボリュームを増やすことを目論みます。例えば、「昨日よりもゲームの時間が減ったね。」と言った、ゲームをしていたとしても、その中でポジティブな点を見つけて褒める、という感じです。

家族会は、依存症を治療する病院や、都道府県や政令指定都市の精神保健福祉センターに多くあります。また、ダルクなどの中間施設が持っている場合もあります。どこで行われているのかは、精神保健福祉センターに問い合わせてみましょう。

このような関わりを続けていくと、数ヶ月で関係が改善される事が多いようです。関係が改善されたら、治療を提案する、という流れです。

さて、認知行動療法はどこで行われているのか。
いつの日か提案するその日のために、どんな相談機関があるのか、これも調べておく必要があります。
関東地方には、他の地方に比較して、ここ数年で、治療期間が増えてきました。
依存症を治療している病院では、ゲーム障害外来を設けている場合がありますし、精神保健福祉センターにグループ療法がある場合もあります。
また、民間のカウンセリングルームでも、家族システムや依存行動を専門とするところでは、個別面接で引き受けてくださるところがあると思います。

さて、認知行動療法は治療のゴールではありません。
長く止めるには、自己治療していたご本人の問題を癒す必要があり、それこそがより良く生きる、治療の本題です。

ではどうすればよいでしょうか。
認知行動療法の役割の一つに、「依存行動の頻度を減らしながら、本人に合った治療を探る時間稼ぎ」があると思います。
ご本人にあった、長期的な治療には、ご本人のアセスメントが不可欠なのですが、これが結構時間がかかります。
認知行動療法は、私の知る限り、心理的性質にあまり左右されずに、安全に適用できる治療ですので、認知行動療法を行う中で、ご本人のアセスメントを進めていくのがおすすめです。
こう考えていくと、とりあえずで良いので、認知行動療法を行っている専門治療に繋げて、そこで専門家と相談するのがよい、となると思います。

この項であげている情報は、精神保健福祉センターに問い合わせるのが一番確実です。
また、精神保健福祉センター自身が、家族会を持っている場合もあります。

(田中 剛 矢田の丘相談室)



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