「依存症はいつ止まるのか」は、思ってるのと順序が逆
『アルコール依存症の本人が自分の酒に問題があるといつ気づくのでしょうか』全く問題を感じていないように見える本人について、ご家族から私に、幾度となく投げかけられた質問です。
アルコールだけではないです。ギャンブル、ゲーム、薬物、などなど。
ところで、ご家族はどうして本人に、問題に気づいて欲しいのでしょうか。
ですよね。当たり前でしょ、って聞こえてきそうです。
と、普通は思いますよね。
ところが、研究によると、アルコール依存症のご本人が、酒を止める時は
だとわかってきたのです。
こんな体験が、断酒への動機付けになるのです。止めるタイミングは
ではなかったんですね。
つまり、断酒した方が良いと気付くのは、断酒した後なのです。
さらに言うと、アルコールをはじめとした依存症のご本人は、両価性とよばれる葛藤を抱えています。(両価性については、別の項で説明する予定です)簡単に言うと、「右を向けと言うと左を向く」心理状態です。したがって
というと、飲酒欲求が上昇してしまうため、ご家族にとっては、願いと逆方向に行ってしまうのです。
従って、素面でいたら楽だと感じてもらえるコミュニケーションが重要になってきます。そのテクニック集の一つが、CRAFTです。(これも別の項目で取り上げる予定でいますのでご覧ください)
気付かせようとすると悪化する、と知るだけでも、ご本人とのコミュニケーションが円滑な方向に進むと考えられます。
(2023/12/08加筆 矢田の丘相談室 田中剛)