【記事紹介】世界初、腕運動学習と視線の関わりを解明~視線の向け方を考慮した効率的なスキル獲得への道筋~

超重要な知見だと思いましたので紹介です。FPSに関係しすぎワロタと思ったのです。

にしても天下のNTT様がマニアックな研究してるなw

以下、気になったところだけ抜き出してます。

視線(見ているところ)が、腕運動を行う際に新たな運動スキルを学習することと密接に関係することを、世界で初めて明らかにしました。

私たちは日常動作において、例えばテーブルの上のコップなどを掴む際に、コップを見つめながら手を伸ばすことが多くありますが、視線をすこしそらして周辺視野で見えている状態でも同じような腕運動を行えます

本研究では、視線を一定に保った状態で腕運動学習を行い、その後に様々な視線状態で学習結果の想起再現率(獲得した運動スキルを再現する度合い(※1))を評価する実験パラダイムを考案しました。その結果、学習中と異なる視線状態を用いると、学習結果を効果的に想起再現できないことが明らかになりました。すなわちこの結果は、視線状態と腕運動学習の間に強い連関が築かれていることを意味しています。さらに従来難しいとされてきた、相反する腕運動スキルの同時学習が、運動学習中に視線状態とスキルをペアにして試行毎に切り替えるだけで可能であり、視線状態毎に運動スキルが脳内で(ある程度)分離的に表現されることが示されました。

本研究の成果は、「腕運動学習は"腕の動かし方"のみを覚える」という従来の考え方に対して、「腕運動学習は"腕の動かし方と視線状態"を覚える」という新たな考え方を提案します。これら知見は、運動学習の統一的理解に向けた足がかりとなることに加え、スポーツやリハビリテーションにおける視線に着目した効果的な学習デザインや、デジタルツインに向けた人運動スキル表現の設計指針などにつながる可能性があります。

1.研究の背景

様々な視線状態で適切な腕運動を実行するためには、脳は、視野のどこで目標をとらえているかという"視線状態"を考慮した上で、目標位置の表現や腕の動かし方を計算する必要があります。しかしながら、視覚入力に対する腕運動学習においては、目標を中心視で捉える優位性のみが強調・議論され、「中心視や周辺視を含めた"視線状態"が腕運動学習とどのように関係するか」という問いについては、見過ごされてきました。それゆえ現在の運動学習の理論では、視線状態と腕運動学習は独立したものとみなされてきました。

2.研究の成果

脳は腕運動学習を行う際、学習時の視線状態も含めて表現・記憶していることが示されました。つまり、中心視で学んだ腕運動スキルと、周辺視で学んだ腕運動スキルは、ある程度異なる運動記憶として、脳内で分離表現されていると解釈されます。

相反する二つの腕運動スキルを同時に学習することが、運動学習中に視線状態とスキルをペアにして試行毎に切り替えるだけで、可能となることが明らかになりました。これらの発見は、視線状態と腕運動学習の密接な関連を示しており、腕運動学習が、従来考えられてきた以上に、多様な身体状態との関連によって表現されていることを示唆しています。

3.研究の内容

(1)視線状態と腕運動学習の関わり

学習の進み具合、最終的な学習の到達度は、中心視と周辺視、両視線条件で同程度でした。

「中心視で運動をすることの優位性」に主眼を置いていた従来の考え方とは異なり、周辺視であっても中心視であっても、腕運動学習を行う際の視線状態が、学習結果の想起再現率を決定する重要な要素であることを意味しています。つまり、脳は腕運動学習を行う際、学習時の視線状態も含めて表現しており、学習時とは異なる視線状態を用いると、学習結果を効果的に想起再現できないことになります。

視線状態と腕運動学習との強い関連は、異なる視線状態で学んだ腕運動スキルは、脳内で(ある程度)異なる運動記憶として表現されることを意味しています。私たちは、より詳細な実験条件の設定とそこから得られた結果の解析により、「中心視、右周辺視、左周辺視」という3つの視線状態が、腕運動学習の分離表現に関与することも確認しました。

(2)異なる視線状態を利用した相反する運動スキルの同時学習

学習後に、ある試行を中心視運動で行うのか、周辺視運動で行うのかに応じて、適切に運動記憶が切り替えられていることを示唆します。この相反学習は一見簡単に思われるかもしれませんが、本研究では、視線状態の代わりに、視覚情報(背景色や位置関係)と回転変換の方向をペアにした場合には、同時学習は進行せず、ある特定の条件でしか成立しないことも明らかにしました。以上の結果は、環境との相互作用を実現する腕運動にとって、視線状態は常に考慮されるべき重要な情報であり、「腕運動学習は"腕の動かし方と視線状態"を覚える」という新たな考え方を示唆しています(図1右、本研究)。

まとめ

ここからは自分なりの解釈です。

・中心視運動と周辺視運動どちらを使っていても上達速度は同じくらい。

 研究の内容を信じるなら周辺視運動でのAIM練習をするべきだと思います。 周辺視は反応速度と追従性、情報収集能力が中心視より優れているからです。

・インゲーム中における視線状態が中心視か周辺視かで発揮されるAIM力が変化する。

 これはしょっちゅう体験することです。 ターゲットに対する周辺視から中心視への変化によって腕運動パターンも変化してしまうから、周辺視では合っていたAIMが中心視への変換でずれてしまうのではないでしょうか

この研究内容を実際活用しようということで昨日ヴァロラントしました。 1ゲーム程度ですがスコア1.5倍くらい向上しました。 

実戦で活用してみるといろいろ見えてくるものもあると思います。