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鶴子-つるこ-

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オムニバス小説、鶴子-つるこ-のシリーズ。
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#松里鳳煌

鶴子-つるこ-#1.証言

 脱サラして探偵になった。  手に職をつけたかったからだ。  ブラック企業はもう真っ平。  ほとんど衝動的だったが案外馴染んでいる。  こういう職業をやっていると色々な人がやってくる。  人生色々なんだと毎度考えさせられる。  最も印象的な案件が何かと問われたら間違いなくアレだろう。  ”鶴子 ”  女性の捜索を依頼。  偽名だ。  結論から言えば、見つけられなかった。  今でも依頼者の落胆した顔が思い出される。  彼の顔は「絶望」の二字を示していた。  真の絶望を初めて見た