マガジンのカバー画像

中村天風 一日一話

6
運営しているクリエイター

2021年5月の記事一覧

気を込めてやる

明瞭な意識を持続するための最も適当な訓練法は「何事を行う際にも決して気なしに行わぬこと」である。毎日、時間と仕事とを特定して「気を込めて物事を行う練習」をする。
たとえば手紙を書く間とか、または読書する間だけは絶対的に真剣になって行う。あまり興味を持たぬこと、気乗りのせぬことや、気の急くようなこと、大して値打ちのないこと、または、慣れ切って熟練していることなどを行う際は、特に気を打ち込んで行うよう

もっとみる
衣服に関する注意

衣服に関する注意

健康生活の現実かを求めるものは、できるだけ自然に背反しないような心がけを、衣服に対する基本観念として、衣服を着けることである。そのためには、
一、常に、決して過度に厚着をしないようにすること。
ニ、あまりに皮膚に密着するもの、また、圧迫の強い衣服をできるだけ避けること。
という二つの事項を注意深く実行することである。

人間は一個の小宇宙

人間の生命の中には、この宇宙の中に存在するありとあらゆる一切のものが、ことごとく存在しているという不思議な事実がある。この宇宙は、いわゆる物質によって形成されている。そしてその物質は大別して動物、植物、鉱物の3種に分かれる。しかるにわれわれ人類の生命の中には、以上の一切の物質が、各種の形態の下にことごとく存在しているのである。
哲学者が人間を1個の小宇宙なりと形容しているのもその理由はここにある。

言葉は人生を左右する

万物の根元である気が、人間の心の中に入って観念となり、その観念が思考となる。そしてその思考が、一方において行動となり、他方において言葉となって現れる。これは人間のみが造物主から与えられた恩恵であり、他の動物にはない。言葉というものは、思考が結集し、それを表現するためのものである。言葉には人生を善くも悪くもする力がある。だから言葉は、人生を左右する力のある哲学であり、科学であると言うことがいえる。