見出し画像

クルンクルンの世界9

"おお、コジロウ!"
"久しいなアネール。ついてきたのか!"
"あなた。ザンジロウですよ。抱いていただけませんか?"
ラーネルはザンジロウをコジロウに渡した。
"おお、ザンジロウか!オレが父だ。ううむ。武士の顔をしている。良い子だ。よく頑張ってくれたな。ラーネル"
ザンジロウは泣かずにキョロキョロとコジロウを見ていた。
"へぇ〜泣かないんだ。さすが父親なんだね"
アネールは感心していた。
"早速だが、オレは今からオロチを鎮めなければならん。そのためにはお前たちとザンジロウの協力が必要なのだ"
"で、何を協力すればいいの?"
ラーネルは言った。
"うむ。オロチがいるのは、あの山の麓の滝壺に住みついているのだ。そこに酒壺を用意してヤツに奉納する。酒に酔ったオロチを俺一人で封じ込めるのだ。お前には城下の者どもから酒壺を集めさせでもらうぞ"
"分かったわ。ザンジロウはどうするの?"
ラーネルは言った。
"俺が背負ってゆく。コイツにはオロチを黙らせるチカラがあるようだ"
"えっ!どういうこと?赤子だよ。オロチのとこまで危険だと思わないの?なにオロチを黙らせるチカラって?あるわけないじゃない。ラーネル!なんとか言って!"
アネールは言った。
"いいえ。アネール。私は気づいてました。ザンジロウには竜族をも鎮めるチカラがあることを。あなたの子どもですもの。私はコジロウの妻です。あなたを信じてゆきます!"
ラーネルは言った。
"では、頼んだぞ!"
"待って!私はザンジロウを見守っていたいの。一緒に行っていいかしら?"
アネールは言った。
"好きにするがいい。お前が選んだ道だ。ザンジロウに惚れるなよ"
"抱いていっていい?"
"もちろんだ。ラーネル!コジロウの名を出せば酒壺を滝壺まで運んでくれる住人もおるに違いない。今宵の明け方までに準備してくれ!"
"分かったわ!アネール!ザンジロウをよろしくね"
ラーネルはそのまま街中に向かい、コジロウたちは滝壺を目指した。

#クルンクルンの世界
#小説

西野亮廣さんのモノマネみたいに夢が広がってゆけばいいなと信じてやってゆくよ!