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クルンクルンの世界11

今までトグロを巻いて滝壺に眠っていたオロチはうねりながら地上を這い出してきた。木々をなぎ倒しズリズリと音を立てながら酒壺に近づくオロチは不気味さを放っている。
コジロウはものおじすることなく酒壺の後ろに仁王立ちしていた。
"あっ、ダメよ!"
アネールはさけんだが、ザンジロウがラーネルから離れて、コジロウのもとに四つん這いで向かっていった。
"アネール。ザンジロウは私の子だけど、代々竜を鎮めてきたクルーグル国の子なのよ。見守ってあげてちょうだい"
ラーネルは言った。
ザンジロウがコジロウのそばまでゆくと、コジロウはザンジロウを抱き上げた。その目の前でオロチは分かれた8つの首から8つの酒壺に首を突っ込んで酒を呑んでいた。
コジロウにとってオロチと対峙するのは一度や二度ではない。ただいづれも0ヒデミツと2ムサシが一緒であり戦ったことなどなかったのだが、コジロウがオロチが外の生き物であるとクルドーラを探し当て、宝玉の剣を手に入れたことでこの決戦に挑んだのだ。
"おお!ザンジロウ。お前もコイツに惹かれたようだな。いよいよオロチが我が手中となるのだ!武者震いもするわ!"
オロチは一通り酒壺に手を出し、飲み干してゆくとその場で眠りこけてしまった。
"よし!ゆくぞ!"
コジロウが宝玉の剣を抜くや否やオロチが眠りから醒めてコジロウめがけて襲いかかってきた!
さすがに20メートルはあろうかの巨体にコジロウの剣がたちゆくはずがない。たちまち剣を残して崖の下に引きずり降ろされた!
"ああっ!"
アネールたちはただ見守るしかなかった。
そこにザンジロウが宝玉の剣のそばまでいき、剣を持ち上げて宝玉の光をオロチに浴びせた。その瞬間オロチは目が眩んだかのように暴れ始めてそのまま滝壺に落ちていった。
"な、なにっ!やったのか?"
コジロウは崖下からザンジロウを見た。
ザンジロウは宝玉の剣をクルクルと回して、オロチを呼び寄せていた。オロチはザンジロウと宝玉の剣に呼応するかのようにすり寄った。
"おおっ!まさにクルーグルの守り神じゃ!"
村の民たちはザンジロウを崇めていた。
ザンジロウはオロチにまたがり、コジロウの所にゆくとニッコリ微笑んでオロチに乗せた。
#小説
#クルンクルンの世界

西野亮廣さんのモノマネみたいに夢が広がってゆけばいいなと信じてやってゆくよ!