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クルンクルンの世界1

クルーン公国の3賢者
クルーンはクルンクルンの世界では唯一の公国だ。それは3賢者であるアランとアーナとアサトが円形であるクルーンの城壁を三等分にしてそれぞれが首長として民を率いていたからに他ならない。
"父上はご健在だろうか?"
アランはアーナに聞いた。
"うーん。いいとは言えないわ。これまでの苦労がたたってるとは思うけど、お母さまが亡くなってからは部屋からあまりお出にならなくなってしまって"
"そうだな。我らもまだこの国を統治して一年余りだ。早く父上には安心してもらえるよう城壁の整備をさらに進めていかねばな。アサトはどうした?"
"あいかわらずよ。首長の公務をなんだと思ってるのかしら"
"自覚が足らんのだ。あの泉になにがあると言うのだ!今さら願ったところで母上が戻ってくることはないというのに"
ところ変わってクルーン公国内の中央にある泉にはアサト卿がいた。そこには彼らの母であるアレーナの墓地があった。
"母上、我らクルーン公国を護り給え。兄者たちはこれから来る悪魔の存在を知らんのだ。ただの戯言に片付けてしまう。城壁ではどうにもならんと言うのに。必要なのは武器なのだ。守備力の向上なのだ"
"アサト卿!アラン様がお呼びでございます"
兵士がひざまづいていた。
"わかっている。今向かうよ"
アサトは答えた。
"母上の言い伝えだと、この泉には精霊が住んでいるというが、一体・・・"
その言葉を残し、アサトはクルーン城に入った。
"遅いぞアサト!我らが密に話し合ってこそ、この国は平穏でいられるのだ!忘れるなよ"
アランはアサトの姿が見えたとたん叫んだ。
"分かっているよ。で、なにかあったのかい?"
"父上が部屋にこもりがちなのよ。明日の式典には民の前で演説もあるんだから、覇気のあるところを見せてもらわないと民も不安になるわ"
アーナはアサトに伝えた。
"わかったよ。様子見てくるよ。兄者はまだケンカしてるのかい?"
"まぁ、そんなとこだ。ふさぎかちなところは気になるがな"
アランは言った。
アサトは父親のクルーン8世の間の前に立ち言った。
"陛下、入ります"
アサトが部屋に入ると辺りは散らかっていて荒らされたようだった。アサトは冷静になって辺りを見回した。
"族のように仕込まれているが、これは悪魔の仕業に違いない。証拠を探さないとな"
辺りに血の痕跡はなく、連れ去られたにしても羽根がなければ外には連れ出せないほどの高さがある。空を飛んで来たなら衛兵が気づかぬはずがない。
"父上、どうしたんだ!せめて痕跡だけでも残せなかったのか?待てよ。これか!"
クルーン家に伝わる精霊の文字は泉から湧き上がることができる。それを父親の指輪から思い出したのだ。
"兄上、姉上!父上が連れ去られたぞ!"
アサトはアランのもとに駆け寄り、指輪とともに事情を伝えた。
そして三人は精霊の泉に入っていった。

#クルンクルン

#小説

西野亮廣さんのモノマネみたいに夢が広がってゆけばいいなと信じてやってゆくよ!