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vol.27 疲労回復のためのアイシングの注意点

こんにちは
梅雨も明けて、夏本番って感じの気温ですね…冷たいもの食べたり、保冷剤で首を冷やしたりして、暑さを凌ごうと思っている方も多いと思います。

今回の内容は、この真夏の暑熱環境下で、スポーツ選手が、「冷やす」という行為によって、どのようなメリットがあり、デメリットがあるのかを見ていきたいと思います。練習後、ハーフタイムと、場面場面において、正しい冷やし方について、論文を参考に考えてみました。

参考文献

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/54/1/54_1_19/_pdf

○冷やす方法

参考文献の実験では、氷を入れて冷やしたアイスバスを用いていました。アイスバスのメリットは、一気に全身を冷やすことができることです。氷嚢のように、局所的なものでないため、全身を冷やすにはとても有効なものです。ただ、人が全身つかれるような浴槽とかドラム缶を用意して、水に氷を入れて12度ほどに冷やす必要があるので、準備が大変です。

○アスリートが冷やすメリット

まず、冷やすと言っても、何を目的に冷やすか、が大切です。参考文献の実験では、ハーフタイムのアイスバスの検証をしていました。そして、ハーフタイムにアイスバスをした後のyo-yoテスト群と、何もしなかったyo-yoテスト群とで、前半との運動量の差を調べました。つまりは、持久力の低下を防ぐという観点でアイスバスを用いました。

結論から言うと、暑熱環境下において、持久力を回復させるためには、深部体温が関係していると考えられます。体温の上昇は、運動パフォーマンスに悪影響を及ぼすそうです。
その理由は以下の3点になります。

・高体温による脱水
・心肺機能への負荷が大きくなる
・中枢系が疲労を感じやすくなる

これらによって、パフォーマンスが下がる訳です。なので、体温が上がりすぎるのは良くないことが分かります。

○アスリートが冷やすデメリット

暑熱環境でも、冷やすと良くないこともあります。それは、筋温の低下により、筋収縮能力が低下するということです。筋温とは、筋肉の温度のことです。運動する前にウォーミングアップをみなさんすると思います。ウォーミングアップは、筋温を上げて、筋肉が100%のパフォーマンスを引き出すためのものです。なので、夏場は割と早めに筋温が上がるし、冬はなかなか上がらないので、ウォーミングアップの時間も寒いと長めに取られることも多いです。筋温は、上げれば上げるほどいい訳ではありません。上がりすぎると疲労してしまうため、ウォーミングアップもやりすぎには注意です。

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この実験結果を見ても分かるように、筋温を皮膚温で測っていますが、筋温の低下により、垂直跳び、30m走のタイムは低下してしまっていますね。
何を取って何を捨てるかということになります。


○ハーフタイムの冷却について

アイシングの話に戻ると、ハーフタイムに、アイスバスに入ってしまうと、深部体温を下げられるため、後半の持久的パフォーマンスは下がりにくいですが、後半開始時に筋温が下がっているため、筋力パフォーマンスは低下してしまうということです。なので、アイシングをするタイミングというのも重要になります。

○試合後の冷却について

試合後は、なるべく早く冷やす方が、疲労感が抜けやすくなるし、体への負担も減らせると思います。しかし、あったかいお風呂に入ることは大事です!
直後は冷やしてもいいですが、お風呂でも冷やす必要はないと思います。お風呂に関しては、今度、アスリートにとってとても有効なものとして、紹介したいと思いますが、体を温めることにも良い効果があります。ゆっくりお風呂に入りましょう。

○冷却のまとめ

体温を下げることで、持久力を回復させることが分かりましたが、アイスバスの場合、同時に筋温も下げてしまうため、筋収縮能力が低下し、瞬間的な筋発揮が低下してしまうことも分かりました。
最近では、筋温を保ちながら、深部体温を下げる方法(手のひら冷却など)が注目を集めているので、それについても調べてみたいと思います。


#アイスバス #筋温#持久力#運動生理学

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