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「本を囲んだ語り部屋」2024/5/19ロバート・H・フランク『幸せとお金の経済学』

日曜朝のX(Twitter)スペース「本を囲んだ語り部屋」5/19はロバート・H・フランクの『幸せとお金の経済学』を取り上げました!!

本書では、人々の幸福に重くのしかかる経済的圧力の正体が解き明かされるとともに、あらゆる人が幸せに暮らすための政策が提案されています。

本書で印象に残るのは「コンテクスト」という言葉です。人は消費をはじめとする選択においては、その人が置かれている状況や背景、他人との関係であるコンテクストに左右されると言います。中間層にとって富裕層の消費は無関係のように感じます。しかし著者は富裕層が今までよりも大きな家を建てることによって、中間層が建てる家も大きくなると指摘します。
そして周囲との比較によって満足を得る「地位財」、それ自体に価値を見出せる「非地位財」を取り上げて、地位財への支出を抑制させていくことが幸せにつながると書かれていました。

語り部屋では冒頭、「なぜ人は比較するのか?」というモデレータ仲間からの問いから始まりました。その語り合いの中では「ふさわしさ」というキーワードがありました。人は何かしらの集団に属しています。その集団においていかに自分が「ふさわしい」状態にあるかを考えるのは人間としての習性なのかもしれません。一方で現代は複数の集団に属しながら毎日を過ごしてもいます。この本になぞらえると「多重コンテクスト」の中で過ごしているとも言えます。そのような中で自分はどんな「ふさわしい」状態を目指そうとしているのか、自分を振り返る良い機会となりました。

そして「コンテクスト」を考えている中では、周囲から影響を受けているという作用と共に、自分から周囲へ影響を与えうる可能性についても思い当たりました。先日自分はウェルビーイングを高めるお金の使い方を知り、学ぶことができる「from Me」というカードゲームを体験しました。自分の行動が社会に対して様々な影響を与えていくことを学べると共に、自分とは違う価値観の人を理解し、それぞれが持っているもの・持っていないものをつなげていくことで価値を生みだすことができることを感じることができました。他者との相互作用の中でより良い状態に向けて「コンテクスト」を生み出しうる可能性を感じることができました。

そして収入に対する多様な意味合いについての語り合いも印象に残りました。収入にもコンテクストがあるように思います。単一の軸で収入を捉えるのか、複数の軸で収入を捉えるのかでは喜びの形も変わるように思いました。例えば収入の多寡という軸とは別に、仮に金額が少なくても自分の提供価値に対してダイレクトに喜んでいる人がいるかどうかという軸もあると思います。収入に対しても自分の中で多様な軸を持つことで、より豊かな喜びや幸せを感じられるように思いました。以前の語り部屋では「幸せとは選択肢があること」という言葉がありました。お金を得る選択肢、お金を使う選択肢を多様に持つことが幸せにつながるのかもしれませんね。


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