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「本を囲んだ語り部屋」2024/7/7ジョン・グレイ『一人になりたい男、話を聞いてほしい女』

日曜朝のX(Twitter)スペース「本を囲んだ語り部屋」
7/7はジョン・グレイの『一人になりたい男、話を聞いてほしい女』を取り上げました!!

本書は心理学博士であり恋愛・結婚分野の専門家であるジョン・グレイによる、ベストセラー『ベスト・パートナーになるために』に次ぐ著作です。

社会の変化の中で男女の役割も変化していますが、それでも生物学的な違いは存在するというのが著者の大きなメッセージです。「男らしさ」につながるテストステロン、「女らしさ」につながるエストロゲンというホルモンの影響を踏まえて、一人ひとりの適切なバランスのとり方を学ぶことでより良い関係性が築けると言います。
そして真の男女平等というのは、男女の性差をないものとしてとらえることではなく、違いがあることを認めそれを尊重することだと言います。人にはそれぞれ男らしさと女らしさのバランスがあるというメッセージは印象的でした。

語り部屋では冒頭、「男らしさ」「女らしさ」は何から生まれるのかについて語り合いました。モデレータ仲間のお子さんがいろいろな経験の中で「男らしさ」「女らしさ」を学んでいく様子をききながら、生物としての性認識と社会環境として性認識があることを理解することができました。その中では以前読んだことのある文化人類学の本につながりました。その本では5つのジェンダーがある「ブギス社会」が紹介されており、身体的な男女という二分ではなく、心のあり方も含めたジェンダーのあり方が社会の中で形成されていました。社会環境としての性は場所によって異なり、また常に変化していくものであり、固定化して考えない姿勢は大事だと感じました。

そして多様性に対する向き合い方についても語り合いました。日常の中でどういう時にモヤモヤするかを考えると社会的環境に対するモヤモヤとともに、他者からの「押しつけ」「思い込み」に対するモヤモヤを感じることもありますね。だからこそ自分のコミュニケーションが相手に対する何かしらの「押しつけ」や「思い込み」になっていないかという疑いを持つことは大切だと感じました。嫌かもしれないという可能性への気づき、そして一人ひとりに対して型にはめないというスタンスは常に持っていたいと思いました。そして自分から相手に対してリクエストしていくというスタンスも大事というモデレータ仲間の話も印象的でした。違いを前提にあくまで私個人としてこういう傾向があるということを丁寧に説明していくことは大切な態度だと感じました。

最後はフランスでシェフをされている参加者の方に上がってきていただき、多様な人が働いている社会の中で体験されてきたことを伺いました。バックグランドが全く異なる人間関係の中で「分かり合えない」ことは当たり前であり、それは決してネガティブではなくポジティブなことだと感じているというお話は非常に印象的でした。分かり合えないけども、時間をかける中で分かり合える奇跡の瞬間もあり、日々分かろうとしていくことが大事というお話は非常に深いものでした。

そのお話を伺い、以前『100分で名著』で伊集院光さんが言われた言葉を思い出しました。

「『諦める』ということは、『この人のことをもう知らなくていい』ということなので、完全な分断だと思うんです。そして、『答えが出た』ということは、そこで『偏見』が完成することだと思う。だから、一番大切なことは、『問い続ける』ことで、『よかれと思って言ったことがもしかしたら傷つけているかもしれない。じゃあ、こういう言い方をしたらどうなんだろうか』と思い続け、自分をバージョンアップし続けることではないか」

問い続け自分をバージョンアップし続けていくというメッセージはすごく響きますね。


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