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「本を囲んだ語り部屋」2024/5/26ブロニー・ウェア『死ぬ瞬間の5つの後悔』

日曜朝のX(Twitter)スペース「本を囲んだ語り部屋」
5/26はブロニー・ウェアの『死ぬ瞬間の5つの後悔』を取り上げました!!

本書は、介護職として患者に寄り添ってきた著者が多くの患者と接する中できいた「死の直前に人々が感じる5つの後悔」をまとめたものです。その5つの後悔とは以下のものです。
「自分に正直な人生を生きればよかった」「働き過ぎなければよかった」「思い切って自分の気持ちを伝えればよかった」「友人と連絡を取り続ければよかった」「幸せを諦めなければよかった」

冒頭では後悔の意味するものについて語り合いました。この5つの後悔から感じるのは、自分を大切にできなかったという後悔、そして今を大切にできなかった後悔かもしれないというお話は印象的でした。前回からのテーマにもつながりますが、人間は集団の中で生きていく生き物だからこそ他者との関係性を大切にしていきます。一方で他人からの期待に添いすぎてしまい、自分の本心に従うことの難しさもあります。

また今以上に過去や未来に目がいってしまうのも人間ですね。要約でも触れられているジョンの「働き過ぎなければよかった」という後悔。より良い暮らしを求めようと今よりも未来を求めてしまったがゆえに、妻を亡くし、本来大切にしたかった妻との暮らしに対して後悔を抱え続けたというエピソードに胸が痛みます。

その語り合いの中で出てきた「何かしら後悔してしまうのが人間なのかもしれない」という問いも印象的でした。多くの選択の中で、選んだ選択があれば選ばなかった選択は必ずあります。選ばなかった選択に対して何かしら後悔を感じてしまうこともあるように思います。その中でつながったのは自分が先日参加していたマインドフルネス・セルフコンパッションのプログラムです。セルフコンパッションとは自分に対し温かい感情や優しい言葉をかけていくことで「自分のあるがまま」に認めていくものです。人間は自分に対して優しさよりも厳しさを求めてしまう生き物のようです。他者に対して優しさを向けるのと同じように自分に対して優しさを向けて自分を認めていくためにはトレーニングが必要であることをこのプログラムを通じて感じました。一方でこのトレーニングを続けていくことが自分の人生をあるがままに肯定していくことにつながるように思い、今回のお話につながると感じました。

最後には参加者の方に上がって来ていただき、赤塚不二夫さんの「これでいいのだ」という言葉をつなげていただきました。改めて「これでいいのだ」という言葉を味わってみると、その言葉の奥にある深い意味を感じるとお話いただきました。

調べてみるとまさに赤塚さんの葬儀の際にタモリさんが弔事としてこの言葉に触れられていました。

『あなたの考えはすべての出来事、存在をあるがままに前向きに肯定し、受け入れることです。それによって人間は、重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また、時間は前後関係を断ち放たれて、その時、その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち、「これでいいのだ」と。』

「これでいいのだ」という心持ち。すべての事態をあるがままに受け入れて今という瞬間を生きることを大切にしていきたいと感じる味わい深い時間となりました。


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