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オーナー社長業や会社役員経験者が「誰も雇わず誰からも雇われない」ワークスタイルに切り替える経済合理性

こんにちは。

今年の4月から、同一労働同一賃金法 施行されますね。

人材大手、派遣料1~2割上げ 同一賃金に対応
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54305270Q0A110C2MM8000/?fbclid=IwAR3MJ49WCL4naDGDfyw9VYA8kzNYNQ81h694AtaGhg2ppECyENggA8yiwFE

営業利益率が5%を切るような
レガシーな産業の中小企業や、零細ベンチャーにとっては、
人件費が10%~20%上がるだけで直撃弾。
消費税率も10%に上がったし、人手不足の採用市場な上に働き方改革で残業も規制が入った。

オーナー社長業をやるのはますますキツくなっていく。

油断している経営者なんて周りに1人もいない。



そんな中で、、、
僕の同年代〜少し上の世代ではバリバリ働く友人たちの
「誰も雇わないし、誰からも雇われない 独立」が増えています。

彼らは、いわゆる「雇われ経営者」や「オーナー社長業」経験者。
人を雇用して経営する手腕はあるし、1億~10億くらいのサイズの会社ならば自分で作った経験や力はあるが

あえてやらない。

または、一度自分の会社を10人~20人規模くらいにしてみてから
「やっぱやーめた」と小さく絞り直す(前向きに退却w)

あえて人を雇わない形態に事業をデザインする理由はなぜか?
これには一定の経済合理性があります。

・人をたくさん雇う起業(自分がオーナー経営者)
・雇われ社長として働く(オーナーに雇用される経営者)


の2パターンと比較してみましょう。


まずは、いわゆる普通の起業。


〇「人をたくさん雇う起業(自分がオーナー社長)」の場合

若手社員や業務未経験の社員をたくさん採用するとたくさんの教育コストがかかります。

経営者は、
自分の懐から給与を支払う 
かつ 
自分の時間を社内メンバーの教育に割く。

つまり、お金がかかる かつ 時間も取られ
仕事の生産性とクオリティが下がる






というとても非合理な謎の現象が起きます。

これは、実際に人を雇ってみるとわかるのですが(小さな小さな事業ですが、累計3億円以上は自分の口座から人様にお給料を実際に支払ってはきました)


支払い給与分のパフォーマンスを出さない赤字の部下を雇用した場合、
「俺はこの人にお金を支払ったうえで、さらに毎日苦労してビジネスを教えて、これはいったいなんなんだろう??」
という風に、自分のお金で会社を経営すると感じる瞬間は必ずやってきます。(そう感じないとしたら、それは従業員にgiveせず、takeしかしていない経営をしているのかもしれません)

そこを乗り越えて、たくさん仲間を増やして会社を大きくしてスケールメリットを出していくのがいわゆる「経営者になる」ということだと思われるのですが、



・組織が大きくなればなるほど、ストレスと仕事量が比例して増える

・経営の権限を移譲しまくって、部下に経営スキルを教えて立派な雇われ経営者に育てた結果、、、事業責任者が「独立したい」と言って部下たちを引き連れて去っていく(ペイしないw)




という現象もけっこうよく起きます。

これは、起業した経営者あるあるのハナシで、
よっぽど組織運営が上手な人でないと難しい、
できる人でも、継続して何十年も続けるのはかなり疲れます。
性悪説の雇用契約やフランチャイズ契約でガチガチに縛るやり方もあるけど、それはやりたくないという経営者も少なくないしね。


「会社を大きくするのが俺のやりがいだ!がんばる!」と燃えて頑張っている社長さんもいますが(とてもとても尊敬します)
感情を差っ引いてクールに経済合理性だけを俯瞰をすると、、、
リスクとリターンが釣り合わないクソゲーだったりします。

法改正、増税、働き手不足、人口減少による経済の縮小でクソゲー度は年々上がり続け、これからさらに上がり続けるのは人口統計と政府の財政状況を見れば明らかです。


え?人を育てるやりがいもほしいって??
自分で雇わなくたってできるできる!


たとえば



「オーナー経営者」⇒「社員教育研修の顧問業」
に形態を切り替えると、

「給与を渡しながら 若手を育てる」⇒「給与を貰いながら 若手を育てる」
という「いいとこどり」の構造に切り替わります。



後者のほうが経済合理性が高く、リスクもストレスも少ない。
僕はこの構造転換をやってみて非常に良かったです。
僕の元部下たちも、オーナーの僕が抜けた分、給与の貰いも増えますしね。

「自分ちのコ」を育てて事業をbuildする仕事は最高に面白いけど、オーナー経営者1人が財務的なリスクを全面的に負うのでけっこうしんどいです。
一度自分ちのコを育てる経験を積んだらその経験を活かして、
「人んちのコ」を育てる仕事 をしたっていい
わけですよ。
経営にまつわるお金の指標にピリピリしない分、より「人の育成」に意識をフォーカスして人に対して優しく取り組むことができます(少なくとも僕はそう)



次に、
〇雇われ社長として働く(オーナーに雇用される経営者)場合


について解説します。

※いわゆる、オーナーのもとで働く社長職や、取締役COO。事業部経営をすべて任せられる場合は事業部長職や支社長職も含みます)

これは、一言でいうと、
成果を出しても自分の貰いが少ないのでうま味が薄い
ということに尽きます。




個定年俸1200万円を貰って
年商5億円(売り上げ=100%粗利益のコンサル系の事業としましょう)
25人の営業部隊を雇われ経営者として率いて、
自分の力でその年商を20%増し、6億円に伸ばしたとしましょう。

会社としては1億円利益が増えて儲かっているのですが、
雇われ経営者の場合、給与の上積み金額はいいとこ1000万円(まあ、大抵は500万円)くらいが相場です。

残りの9000万円はどこに行くのか?
オーナー(株主)の懐に入ります。
会社に内部留保されるか、投資が必要な別の事業や新規の採用や社員育成費用に使われることもあるでしょう。
いずれにせよ、働き盛りの雇われ社長個人の銀行口座には入ってきません。


1億円の利益を出した場合、
自分でオーナー社長をやっていた場合は年収9500万円増(配ったり貯めたって3000万くらいは残せる)
雇われ経営者の場合は1200万円+インセンティヴで500万円増

オーナー社長と比べてあまりにもうま味が薄いw
しかも、「最終決定権は自分にない」
という2重のデメリットを負います。




これも、苦労するわりに、貰えるリターンが少ないクソゲーである
と考える経験者たちが増えています。
チカラのあるベンチャー役員たちが辞める辞める(笑)


※独立して自分一人で1200万円以上の黒字を出し続ける自信/実績がある人にとって、雇われ経営者として貰える固定年俸の1200万円など無価値に等しい。

結果出なくなったら大抵即クビ。安定とは程遠く固定給なんてあってないようなもの。
大企業の年収1200万円の安定度とは全く比較にならない。

※一方で支払う側のオーナー経営者からすると、、、年俸1200万円って社内の他の社員と比較したら相対的に高額だし、それなりに期待値は高い。側近メンバーとして使い倒す気で雇うケースがほとんどどではなかろうか?


つまり、双方にとってアンマッチ(雇用契約が成り立たない)
という現象がいたるところで発生しています。






雇用の形態をビジネスモデルとして、

お金の流れのプロセスを整理しましょう。


〇オーナー社長業のお金の流れ
顧客⇒部下⇒自分
2工程 
・ハイリターンだが、「部下」のプロセスに非合理性とリスク要因のボラティリティが高い。
・儲かった場合は「結局は部下たちが稼いだお金を吸い上げる搾取システムの運営でしかない」とも言えてしまう。

〇雇われ社長業のお金の流れ
顧客⇒部下⇒オーナー⇒自分
3工程
・プロセスが多すぎて自分の取り分が薄すぎる。
・上下の板挟みになるもめ事が起きやすい 
・自分の権限が弱い

〇誰も雇わない自営業のお金の流れ
顧客⇒自分
1工程
・シンプルでブレず、リスクとリターンが高いレベルで釣り合う
・誰とも揉めない




という構造であるということです。

ミニマルで合理的、ロスが少ない1工程のモデル

「誰も雇わないし、誰からも雇われない」

という働き方の存在に気付き、好んで選択する人がこれからたくさん出てくるのは必然の現象かもしれません。




ってわけで、人手不足社会で労働者側の権利が強くなるので昔ながらの
「オーナー社長はエラい!神です!従います!」
みたいなピラミッド型の組織の形態を作るのって時代遅れだし(市場価値の低い人しか雇えない)
そういう会社ってどんどん減っていくと思います。
なぜなら、練度の高い精鋭がALLフラットな関係値で集まるティール型組織と比べるとコミュニケーションや社員の動きにロスが多く、生産性も悪い。
自然淘汰されていくか、うま味の少ないロースキルのビジネスのマーケットに押しやられていくことでしょう。


仕事のできる賢い人は引く手あまた。
働き口なんていくらでもあるのだ。
高スキル、高所得レンジにおける雇用は、経営者が従業員に頭を下げて働いて頂くことをお願いせざるを得ない時代に既になっています。




とはいえ、、、
誰も雇わないし誰からも雇われない自営業者(元会社役員たち)
たちが、ずっと1人で仕事をしているかというと、、、

実はそーーーーでもなかったりします(笑)
一人だとさびしいしね。
流行りはコレです。
こちらは、助家を創業以来助けて頂いている先輩スケさんのnoteを拝借。




おっさんベンチャーのジャズセッション
https://note.com/miraif_sukesan/n/n90120396b0c0?fbclid=IwAR2nbEeiaNK7ybx79QI7s5Bmz5Mfl1Me0d-GN1-OhR6ETSlTCE0BKDAycKo
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正直、このおっさんベンチャーがめちゃめちゃ面白い。よくよく考えてきたら、リクルートで28歳でマネージャーにしてもらってから、ずっとマネジメントの道を走ってきた。自分も大したことないのに、若いメンバーを育成とかしてきた。でも、今はマネジメントしている感じが全くしない。いうならば、ジャズのセッションしてる感じ。みんなが好きな楽器持ち寄って、それぞれに反応しながら即興で音楽やってる。
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おっさんベンチャーって、たぶん僕が言い始めた言葉(笑)なのですが、
その名の通り、即戦力の人たちだけでやる、ストレスの少ないハイクオリティベンチャー。
大切なセンパイもこの言葉を使ってくれたし、結構気に入っている言葉です。

ゆうすけさんの仲間たちは、3人合わせて人材紹介業経験45年。
一人一人が自営業でも十分に食べれる実力者さんたちがあつまって、
助け合うことで相乗効果が生まれる組織。


これはほんの一例で、

独立して一人でも十分自分で食える実力を持った(食ってきた)
元社長、元ベンチャー役員や、元大手の部長さんたちが、
100%自己資本の無借金経営の小さな会社を作ってでゆるやかに一緒に働くパターン
(その形態は正社員だったり、時給制だったり、アライアンスだったり、プロジェクトベースで組みチームだったりする)
はこっそり増えてきています。
(なぜこっそりか?というと、営業も、採用も、事業提携も、それまでの信用力のリファーラルだけで足りるから派手なPRも不要。貯金もそれなりに持ってるから資金調達も不要なのです)


現在の僕のお店の相方 こーすけもこのパターンで一緒に働いてくれています。(5店舗を統括運営経験のある元取締役COO)

僕は彼を雇用はしていないし、部下とは思っていない。
彼も僕を上司とは思ってはいない。
お互いの得意分野を活かしてお互いの背中を守り合い、
心配事なく存分に仕事をし、ベストの価値提供をお客さまにしていきたい
という「役割分担」で一緒に働いて頂けている仲間です。



二人合わせて7店舗も経営をしていたおっさんが小さな1店舗に集まり、
一緒に働いてくれる同僚さんたちも全員即戦力の精鋭部隊であれば、、、
ムリ ムラ ムダ のない事業が出来上がって健全に経営はしやすく、非常にストレスは少ない。

マネジメントラインや指示命令、営業目標や詰め合いなんていらない。

意味のないもの、不快なものは全て撤去できる。


全員が並列の関係。肩の力を抜いてアドリブでやれる。
お互い勝手に吸収して学び合える。
即興のジャズのセッションを毎日楽しくやっている感じです。

お互い他の会社の顧問業もそれぞれ復業でしてる。それも自由。

これも、ある意味、
誰も雇っていないし、誰からも雇われていない


という新しい働き方、組織の形かもしれないし、
ゲームでいえば「裏面」のキャリアなのかもしれませんね。


「裏面」に行くために必要な
「表面」のキャリアのお話ですが、
会社員としてのキャリアの仕上がりが甘いうちにフリーランサーになっても各自が自由に演奏する「大人のジャズセッション」の仲間には入れてもらえません。(必ずしも「年齢」や「経験年数」とは限らない。能力とメンタリティの問題


時期に関しては、「なりたい!」とか「いつからやる!」と目指してなるというより、自然とそーゆーお仕事の声が周囲の人たちからたくさんかかるようになってくるものかもしれません。

おそらく、その時がタイミングでしょう。




本チャンの雇われ社長業や役員業は「胆力」を鍛える意味では非常に有効で、経営も学べるし視座も上がります。
人材のポテンシャル能力を極限まで引き出せる機会ですので、まだ未経験の方はもしも就任のチャンスに恵まれたらぜひ1度はやってみることはオススメはします! 重い職責を背負ってやり抜くと、アホでもそれなりに仕上がるww

が、1社ずっぽり専任の役員業を2度も3度もやって、「ビジネス戦闘力」が毎回上がるかというと、、、、
案件によっては必ずしもそうではないっぽい(顧問業で複数社で働いたり、自由な立場で自由に仕事をした方がインプット量が多いこともある)

というのが、27歳からの12年間で2社の雇われ役員or事業責任者、2度の自社事業の起業、フリーランスで3社のガッツリ顧問業
をそれぞれ手探りで必死にやってみた現時点で感じていることです。

ルパン三世は、誰にも雇われないフリーランサー。
子分はいないし、誰も雇っていません。
でも凄腕の仲間はいて(次元や、五右衛門、たま~に峰不二子ちゃん)
仕事があればプロジェクトベースで集まりたいときに集まり、集まりたくないときは集まらない。
ワクワクする楽しい仕事だけを、一緒にいたい並列関係の仲間とだけやる。

そんな「裏面ゲーム」的な生き方、働き方が、一度表面ゲームのキャリアを頑張ったアラフォー〜アラフィフおじさん界隈でトレンドとして既にかなり流行っています。
僕のこれから先の人生も、しばらくの間はそーゆー生き方をしていきそうな気がするかなぁ。。


今日はこのへんで!


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