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【心配不要!】不景気の時の会社の財務的な耐久力に関して超ザックリカンタンにご説明します


えー、景気がどうだのメディア周りが騒がしくなってきましたね。
僕はオリンピックやウイルスは心配していませんが、
世界同時に株価が下がる不況になるのはイヤだなぁ。。。
とやや心配をしています。

今日は日曜日。
週明け明日の月曜日からの1週間で、
おおよその方向性が見えてきることでしょう。


不景気になったら?
会社の経営ってどうなるの??
自分の雇用の安全は??

初体験だと「不安」になるものですので、
ザックリと数字を出しましょう。

不景気の時の会社経営の財務耐久力に関して 単純な算数でご説明します
数字で知っておけば、そんなに怖くありません。

まあ、2008年~2009年にはそりゃ~大変なことが起きました(遠い目)

株価が暴落しようがあれよりはマシですから大丈夫です。
あの頃を思い出しながら筆を執らせて頂きます。

財務構造って、業種によってもかなり違うのですが、
すんごーーーーくざっくり言うと、

【1】1か月間売上がゼロになると、4.5ヵ月間で貯めた利益分が損失として出ていく


【2】年間売上(年商)の50%の保有キャッシュ(貯金)があれば、
売上が半額まで落ちても2年間は貯金を切りくずしながら耐えられる



です。
それ以上でも、それ以下でもない。やみくもに怖がっても意味はないし、数字を見ながら冷静にやればいいだけです。

【1】 に関しては、
「売り上げゼロ(営業停止)は、4.5倍速で資金を溶かし倒産する」
だから、
「たとえ半額でも売上を作って頑張ることにすごく意味はある」

と覚えれば良くて、

【2】に関しては
「売り上げ半減(不振)は年商の半額の貯金があれば、24ヵ月間耐えてフツ~に乗り越えられる」

と覚えて頂ければ嬉しいです。

今回の趣旨は、結論、そんだけ。

え?もう少し具体的に書けって???

僕は財務の専門家や講師ではないのでザクッと書きますが
(実際のベンチャー経営の12年選手ではある)
経営って割と単純な算数の問題です。
四則演算ができればOK です。


では、

・1か月間売上がゼロになると、4.5か月間貯めた利益分が損失として出ていく





とはなんぞや??
からいってみましょうか。



このnoteをお読みいただける方は、
銀座の僕のお店にお越し頂いているお客様も多いと思いますので、、、
僕のお店を例に出しましょう
(小さな金額だし、単純な商売ですので分かりやすいと思います)





銀座のBARが、
月商200万円 営業利益20万円 原価率30% だとします。
すごく簡単に言うと、
毎月200万円の売上げがあって、毎月180万円支払いがあって、
毎月20万円が社長の手元に利益として残る事業
ということです。


では、売り上げに応じた財務構造のモデルをいくつか出してみましょう。

※数字は読み手の方に想像がつきやすいように、
「年商2400万円の小さな飲み屋さん」を取り上げさせて頂きますが
10倍の年商2億4000万円
100倍の年商24億円にしても構造は大体同じです。
サービス業には大体適用できます。




【平常時のBARのP/L構造】
<売上の部>
200万円
<支出の部>
仕入れ原価60万円
家賃30万円
光熱費5万円
人件費85万円(正社員60万円 アルバイト25万円)

営業利益 20万円(もうけ) 営業利益率10%


※営業利益率は、ま~良くある、まぁまぁ健全 な事業です。
0を1つ多くつけて数字を10倍にすると、
年商2億4000万円。で営業利益2400万円
社員数10名~25名くらいの新しめのベンチャーや中小企業でよく見かける数字になります。。よね??

原価の部分をゼロにすれば、大抵のサービス業、人材紹介会社やコンサルティングファームやIT企業や生命保険会社や営業アウトソース会社と財務構造ほぼ同じです。仕入れ原価の部分が広告などの「販売管理費」に入れ変わるくらいかな。。)


【売上がゼロ(営業停止)の場合】
<売上の部>
0円
<支出の部>
仕入れ原価0円
家賃30万円
光熱費0円
人件費60(正社員60万円 アルバイト0円)

営業利益 マイナス90万円 

危機的ですね。
このBARのマスターは、毎月90万円貯金を切り崩して経費を支払います(僕ね!w)
1年分の利益240万円 ですら3か月持たずに飛びます。
言い換えると、1ヵ月閉めると、1ヵ月働いた場合の4.5倍の速度で貯金がなくなっていきます。

「売上がゼロになる」というのは、企業にとってむちゃくちゃキツいことなのです。
お店の営業を止めても家賃や、正社員の人件費は削れません。支出として出つづけますからね。。。

だから、コロナの影響で売り上げが90%減 
みたいなインバウンド主体の旅館業などは直撃弾。
1~2か月程度でも資金繰りに窮し、
倒産してしまう企業は、出てしまうことでしょう。

好きな旅館がある方は、ぜひ泊まりに行ってあげましょう。
ほおっておくと、あっという間に倒産します。

休業して閉まっている飲食店や、ディズニーランド、ライブイベント会社などの財務状況もこの状態です。


【売上が半額(業績不振 かつ無策の場合)】
<売上の部>
100万円
<支出の部>
仕入れ原価30万円
家賃30万円
光熱費5万円
人件費85万円(正社員60万円 アルバイト25万円)

営業利益 マイナス50万円


売上マイナス50%でしょうか。
これもけっこー危機的です。
丁度今のアパレル業や百貨店、飲食業がこの状態です。

1年分の利益240万円が5か月弱で飛びます。
言い換えると、1ヵ月売り上げが半減すると、1ヵ月働いた場合の2.5倍の速度で貯金がなくなっていきます。

これはかなり苦しい。
回復の見込みがなければ、傷が浅いうちに閉店(廃業)するのも冷静な判断です。


でも、実際の経営だと、、、
経営者たちは必死でコストカットの努力をして生き延びることを図ります。
取引先業者を切り、人を切り、コスト削減を鬼のようにやると財務構造は大体このくらいになります。

【売上が半額(業績不振 で鬼コストカットした場合】
売上の部>
100万円
<支出の部>
仕入れ原価25万円 ※30%⇒25%にカット
家賃30万円
光熱費5万円
人件費50万(正社員50万円 アルバイト0万円)※正社員給与16.7%カット アルバイト100%カット

営業利益 マイナス10万円
どうでしょう?
かなり防御できますよね?


売上ゼロ と 売上半額 は全然違う。

⇒ここ、すっごい重要



売上がゼロの場合は毎月90万円赤字になりますが、
売上が半額に落ちても毎月10万円程度の赤字(9分の1のペースの財政悪化)に抑えることは可能です。
※ただし、社員たち全員が身を切って給与を返上し、死に物狂いで努力をする前提の数字です。

だから、めっちゃくちゃ業績が悪いときに、社員みんなが
・給料下がったから諦めて売上ゼロもいいや~
となった場合と
・給料下がったけど全力で頑張って売上50%を死守してやる!!!

と奮起した場合で、会社の存続に関してはぜんっぜん結果が変わってくる(倒産に近づく速度は9倍変わる)ということです。

これね、ほんっとーーーーにリアルなので、
ピンチの時に頑張れる社員さんを大切に、しっかり強い旗本組織を作っておいた方がいいですよ。
好景気の時と、不景気の時で、
経営者が大切にすべき社員の要件ってホントに変わります(それはまた別の機会で!)


最後にこちらをシュミレーションしてみましょう。
これはけっこう全業種にとってありうる、想定できる身近な数字です。


【売上が80%(20%低下の業績不振)の場合】
売上が20%減っても
・原価率を削らない(お客様に迷惑を掛けない)
・人件費を削らない(従業員全員の給与を減らさずに守る)
で踏ん張ってみる場合。

仕入れ原価48万円
家賃30万円
光熱費5万円
人件費85万円(正社員60万円 アルバイト25万円)

営業利益 マイナス8万円 営業利益率マイナス5%

このくらいに仕上がります。

要は、会社のオーナー(非上場であれば社長)
が自分の腹を切れば、24ヵ月は無風状態で持ちこたえられます。
計算式は、マイナス8万円×24ヵ月=192万円 の出費。

言い換えると、
普段1か月で儲けてきた利益の金額20万円 の9.6ヵ月分です。
ただし、これは営業利益率が10%の事業の場合(しかも資金を内部留保
する際の税金を反映していない)
実際は9.6÷0.6(実効税率差し引き後)=16ヵ月分
くらいになるでしょうね。

BARの店主(僕ね!w)
の給料は、
元々稼いでいた20万円がなくなり、さらに貯金から8万円を支払う(貯めるときには13万3300円)
差し引き毎月33万3000円分自分の給料を減らせば会社はいつも通り。何も起こりません。(文字通り腹切りですね。死にはしないが覚悟はいる。)

これが、「経営者が踏ん張る」を具体的な金額の数字に落とし込むってこと。

「漠然とした不安」 を 「具体的な覚悟」

に変えることができます😉
「そっかー 〇〇〇万円、俺がカブれば良いのね。」と。
纏めると、、、


営業利益率10%の会社で売上が20%減の業績不振の場合、
オーナー(社長)が自分の腹を切って
過去16か月分の儲けを赤字補填に投入すれば24ヵ月の売上20%減には持ちこたえられる


ということです。
これは、非常にリアルな数字だと思います。

これ以上でも、これ以下でもない。
社長が気合いを入れて腹を括れば、2年はしんどくても、
1年くらいは割と耐え抜ける範囲じゃないかな?

みんながんばりましょう!
売上20%減の時に社員を優しく守ったってそんなすぐには死なないから!急かしたり減給したりすると一揆が起きるぞ(笑)


なお、売り上げ20%減のシュミレーションのバリエーションですが、
営業利益率が5%の会社の場合、
24ヵ月で32ヵ月分の利益が飛びます。
⇒コレはけっこうしんどいと思います。
社長が自分の腹を切るだけではおそらく済まない。
お客様と社員にも影響するコストカットが必要になってきます。



営業利益率が20%の超優良企業の場合は
24ヵ月で8ヵ月分の利益が飛びます。
⇒これはけっこう楽勝じゃね??
なので、普段お客さんと社員たちから利益を吸い上げて儲けまくっているのに(営業利益率20%ってまぁ~だいたいそういうこと)

いざ売上が20%減ったくらいで社員に対してピリピリしたり、減給したりボーナスゼロにしたり、人をクビにしたりする社長さんがいたとしたら、、、
社員が困ったときに一肌も脱がないヘタレ社長である(自分さえよければいいサイコパス社長?)

というふうに見ることができるかもしれませんね。

社長という人種は、経営が傾いて追い込まれた時に本性が出ます。
胆力も。性格の良し悪しも。誰を大切にして生きているのか、、、も。
社長をよく観察して、自分が遣える主を適切に選んでくださいねっ!

次に、、、


【2】年間売上(年商)の50%の保有キャッシュ(貯金)があれば、
売上が半額まで落ちても2年間は貯金を切りくずしながら耐えられる


とはなんぞや??


ですが、これもたいていの会社で共通です。

銀座の小さなBARのリアルな数字に置き換えてみると
年商2400万円の半額 1200万円の現金があれば、
24ヵ月は耐えれるということです。

※実際の予算は
600万円 50%を運転資金(最終防衛ライン)に残し


240万円 20%を景気回復時に巻き返しの攻めに転じる時の投資用


360万円 30%を削っていく防衛予算


くらいの配分をする経営者が多いと思います。

つまり、30% 360万円が、守りに使える防衛予算です。

【売上が半額(業績不振 かつ無策の場合)】
毎月50万円ずつ溶けるので
・防衛予算の360万円内に収まるのが7か月ちょい
・1200万円の資金が完全に枯渇して倒産するまで24ヵ月
計算すると、倒産まで2年ピッタリですよね?

そう、会社というものは、
年商の半額の現金を持っていると、
売上が半減しても、24ヵ月持ちます



言い換えると、年商の1/4 600万円しか現金がない場合は
・防衛予算の170万円内に収まるのが3カ月半
・600万円の資金が完全に枯渇して倒産するまで12ヵ月

まぁ、大抵の会社は好景気の時はこのくらいで回しています。攻め重視の配分ですね。ここからの切り返しが、「景気後退に対応する」ということになります。


年商の1/12(月商)200万円しか現金を持っていない場合は
・持っている現金を全て投入(全額が防衛予算)
・資金が完全に枯渇して倒産するまで4ヵ月
です。

このくらいになると、かなりシビアな状況です。

会社の会議のトピックスは「誰をクビにするか?」が頻繁に出るようになってきます。


さらに悪化して1/24(月商の半額)100万円くらいになると、
大抵の社長はケツに火がついて本業そっちのけで資金繰りに奔走するようになります。

これは、正気を失っている状態ですから、社長に正しい判断を仰ぐのはけっこう難しい。優しくして助けてあげてください。

優しくして助けてあげる義理がないなら、転職してその会社を去りましょう。

倒産秒読みの段階です。

僕は、この状態の会社、年商の1/24以下しか保有キャッシュがない状況で7億の赤字会社をブン回して立て直すのが「取締役」デビューだったのですが、なかなか痺れます(笑)
会社を回す運転資金が2週間分しかない中で自転車操業。

社内は地獄絵図になりますし、経営責任者であれば毎日眠れませんよ。

よっぽどのどMかつ会社に強烈な思い入れがない限りはこの財務状態の会社で働くことはオススメしません。





まとめさせていただくと、、、


・景気後退が予測される時(売上の減少が予測される時)は、
会社の保有キャッシュが年商の20%(1/6)
を切る場合は、銀行から借り入れをしたほうが良い?と思われます。

(金利が適切であれば)

・年商の50%のキャッシュを持っている場合は、浮足立つ必要はありません。キャッシュを吐き出しながらガマンする経営にはなりますが、余計なことをしなければ倒産はしません。従業員をしっかり守り、不景気が底を打つまで2年ほど待てば大丈夫。
・不景気が底を打って再浮上の気配がしてきたタイミングは攻勢に出るには最適です。                             競合企業が倒産/撤退していて数が少ないので、あらゆる面でビジネスは勝ちやすい状態になっています。これを「残存者利益」と呼びます。攻める分の余力を残しておくが吉です。


ベンチャーの社長さんや、僕より後に起業した社長さんから経営のご相談を頂くといつも必ず
年商の50%の現金を持っておくといざという時も心配ないよ
と回答させて頂いています。
経営のキホンのキ。

普段から基本をちゃんと守って経営をしている人からすると、
景気の変動は、そんなにうろたえる必要はありません

ドシっと構えて、お客様をよく見て、従業員たちに目を配り、
しっかりと会社をご経営されることが一番大切です。

手元に現金がなくて不安な経営者の方は、借りればいいと思います。
今は銀行の金利は超安いし、財務状況が悪化した後だと借りにくくなりますから、早めに借りておくことです。
コロナうんぬんで、地銀が揃ってやたら安い利率で貸し付けキャンペーンを始めています。借りれる借りれる。


明日は月曜日です。
世界同時に株価が落ちるブラックマンデーか?
それとも、いつもと変わらない月曜日か?

後者を祈り、床に就こうと思います。

とはいったものの、、、
寝れねーーーよww
  
ラーメン屋やおねーちゃんのいる飲み屋通いを辞めて自宅でインスタントラーメン食べて仕事してます。
みんながんばろ~




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