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プロが自分の価値を高めるためにやっているコミュニケーション

もし、あなたが給料ではなく報酬制の仕事をしているとして、自分の所得を上げるにはどうしますか?

契約時の報酬額を上げる?まず思いつくのはそれですが、それは先方の予算やビジネスモデル及び社会情勢次第なところもあり、自分の決意一つではままなりません。そこで、自分の意識だけでできる別の方法があります。

それは、一つの仕事に時間を掛けない、というやり方です。

一つの仕事にかける時間を減らした場合、
同じ報酬額ならば、時給としては増額になります。
つまり、短時間で仕事をすると自分の価値が上がるわけです。

ケースバイケースですが、私の知るプロ達は仕事に時間を掛けません。
特にコミュニケーションは大きなコストがかかる行為です。何も決まらない打ち合わせや、だらだらと返信が続くメールなどは、プロにとっては自分の価値をひたすら下げられていることと等しいです。

なので、コミュニケーションをなるべく減らします。クライアントからの要望に「それはちょっとどうかな」「こういう案もあるけどこっちの方が良くない?」と思わなくも無い話に「はい、分かりました」とだけ返してぐっと実行します。もしくは、言うことを聞かずに全く違う物を提出することもあります。チャゲ&飛鳥がストリートファイターの曲を頼まれた時に、YAH YAH YAHみたいなやつというオーダーを完璧に無視したというエピソードは、きっとそれなのかなと思ってます。

勝手なことをしてどうするんだ、もしコミュニケーション不足のせいで失敗したらどうするのか、という恐れはあります。しかし端的に言えば、失敗しちゃダメです。失敗した時は死ぬ時です。

ある現代のアーティストの話を聞いたことがあります。
その人は名家の方と仲が良く、表に出せば重要文化財間違いなしの逸品、いわゆる「名物」を沢山みせてもらっていたそうです。
ある日、安土桃山時代の見事な絵が入った貝合わせの名物を見たそのアーティストは、その貝を手に取ると、金箔をガリガリと削りだしました。
もちろん持ち主は驚きましたが、「これは、貝を合わせた時にはみ出る金が中身を見せびらかそうとしているみたいで嫌らしい。端の金は無い方が良い」という彼の言葉と、できあがった名物を見て納得されたそうです。

いやぁ、怖い。でも崖の間際に自分が居ることを忘れたらアーティストとして死んでしまうのでしょうね。

プロには武器が在ります。絶対自信が持てるまでに育てたその武器で一刀両断し結果を出す、それがプロです。私が知る限り、多くのコミュニケーションを取ろうとする人ほど、学芸会レベルの出力をする傾向があります。

ただしこれは攻撃力だけの話。世の中、自分の身を守る必要はあり、コミュニケーションは防御力として役に立ちます。極端な話、クライアント(お客様)と全ての事項で合意を取っておけばゴミを出力しても社会人的には死なない訳です。そうやって世の中には安心感と引き替えに、多数のゴミが出力されています。

結局の所、盾では無く刀で戦える関係を持つためには相手も侍である必要があり、仕事って相手を選ぶのが大事だよね、という落ちでした。

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