見出し画像

コロナ禍で「さくらサーカス」がまさかの旗揚げ

この令和2年のこのコロナ禍において、新しく伝統的サーカス団が立ち上がったという話を聞きました。早速、和歌山へGotoTravel(ギリギリ間に合いました)。

画像1

800名規模のサーカステントが、宮前駅前の空き地に立っていました。ショウの内容は、本当にごく普通の伝統的サーカス。演出も徹頭徹尾オーソドックス。その中で、一番の目玉はスペインの国際サーカス大会や世界最高峰モンテカルロサーカス国際フェスティバルで金賞を受賞した「イカリオス」という足技。

他にも、デスホイール・エアリアル・空中ブランコ・コントーション・綱渡りなどなど、一通り素晴らしい伝統的アクトが揃っています。売り子も空中ブランコのネットを張るのも全部パフォーマーがやっていて、裏方がほとんど居ないパフォーマーのみの集団という感じでした。

画像3

画像12

画像4

画像5

サーカス好きとして特に珍しかったのは、デスホイール体験。これは世界でもここだけ。楽しくて2回乗りました。

でも、一番書きたいことは、このお母さん。

画像4

このサーカスのオーナーであり、イカリオスのマルチネスブラザーズのお母さんですが、「何人目が産まれるんですか?」って聞いたところ「自分で産むのは10人目」だそうで。連れ子が3人居て、合わせると子供が12人いる大家族がサーカスを旗揚げ。昭和40年ならまだしも、令和の出来事とは思えません。

コロナ禍だからこそ、圧倒的な生命力の差を感じます。

毎回サーカステントを建てるのも大変ですよねと話をしたら、「南米では2,3日でテントを畳むので。2ヶ月も続けられる、ラッキーって感じ」とのこと。

南米の生命力あふれる小さなサーカス団が、日本に飛び出し、ここにいる。団員が使っている言葉も多くはスペイン語でしたし、ちょっと日本の常識では測れません。

子供達とも沢山遊ばせていただきました。例え1日3ステージある本番中でもバンバン遊ぶ。ただの追いかけっこもハイレベルでとても楽しそう。

画像6

3歳児に抱っこをせがまれてデレデレとしてたら、他の子から「この子も預かってください!」って1.5歳児を受け取って、両腕の中で近づいた姉妹がお互いに、にこーって見つめあって。ああ、この二人お互いの事を大好きなんだな、その愛の中に居れて幸せだな、そう感じました。

2ヶ月ごとに移動するサーカス一家、その家族愛は圧倒的に温かく。その中で育ったからか、今日初めて会った私にもオープンに向き合ってくれます。

そして、子供達がお互いで全てを解決するところも何度も目の当たりにしました。駆けっこの途中で盛大に転んで血が出ても、兄弟だけで対応します。1.5歳児でさえしっかりと走って駆けつけてました。優しい。

画像10

表側は、ごく普通のサーカスです。ファミリー向けの安い値段で、レベルの高いアクトが楽しめます。ここ以外では滅多に観れないような芸も幾つかありますが、基本的には実に懐かしいサーカスです。

しかし、その裏側が、現代日本としては普通じゃない。

画像8

画像9

大家族と団員達が、サーカスの裏手でトレーラーハウスに住み、DIYで住環境を整え、2ヶ月ごとに新天地に行く。その伝統的スタイル、今の日本で可能なんだって想像もしていませんでした。

今回の公演場所も、何の伝手もなく飛び込み営業で交渉をしたと聞きました。本当に凄い生命力。でも当人にとっては、ごく当たりまえの感覚なんでしょう。

画像9

もっと詳しく知りたい方は、NHKオンデマンドを見てください。

そして、できれば、さくらサーカスを実際に見てください。
https://sakura-circus.com/

画像13

画像13

高度経済社会がサステナブルだレジリエンスだと言ってる最中、ごく自然に愛の中で生きるサーカス一家が日本に現れる。

自分は、人間本来が持っていたのに忘れてきた大いなる力を、そこに見たような気がします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?