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五輪・パラ強行したら7〜10月の4か月で85万人以上に感染が拡がる可能性/五輪・パラは中止して第5波に備えよう

5/30に、もしこのままオリンピックを開催したらどうなるか?を想定しましたが、最新の状況に合わせて予想を更新してみたところ、わたし自身ビックリするくらい悲観的な結果が出てきたので久しぶりにnote更新します。

前回(5/30予想)の結果確認

最新の想定をする前に、5/30予想がどの程度当たったか?(外れたか?)、確認してみます。

<良い方向に外れた点>
特に関西圏における外出自粛が功を奏して、第3波の収束期の速度が予想(R:新規陽性者の1週間変化率=0.8)より良い方向に外れた(5/27頃から0.8→0.7に)
<悪い方向に外れた点>
緊急事態宣言解除前から人流が増えた結果、新規陽性者数が底を打つ時期が予想よりかなり悪い方向に外れた
(予想:6/20の2週間後7/4に底を打つと想定→実際:6/18に底を打って増加(R=1.1)に転じた)

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この2つの想定外れはプラスマイナス両面があるのですが、実はこのマイナス側の想定外がこの先の想定を一気に悲観側に変えました。指数関数的挙動を示すウイルスの恐ろしさを実感しています。
以下、具体的に見ていきますが、まずは以前の想定をおさらいすると、5/30予想時点での五輪期間以降の想定は以下のようなものでした。

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5/30予想では、第4波に対する緊急事態宣言が解除される6/20(の影響が見える化する7/4)までR=0.80、その後オリンピック開始までR=1.10で推移する、と予想したもので、想定される第5波も第4波と同程度と見込んでいました。

新たな予想(6/27予想)の条件

第4波が完全に収まっていない状況で沖縄を除く緊急事態が解除され、政府が五輪・パラを強行するための取組状況等から、以下のような想定をしてみました。

新規陽性者数の1週間変化率(R)が、以下のように変わると想定

①6/18以降、R=1.1(前の週の同じ曜日の1.1倍)で推移
②首都圏での緊急事態宣言解除(6/20)の影響で、7/5以降R=1.25に増加
③東京五輪開幕(7/23)の影響で、8/7以降R=1.40に増加
④五輪閉幕(8/8)を待って出た外出自粛要請と感染増による国民自身の自主的外出制限の効果で、8/24以降R=1.1に減少
⑤パラ閉幕(9/5)を待って緊急事態宣言を発出された影響で、9/20以降R=0.7に減少

太字に変えた①,②が5/30予測に変更を加えた部分です。底を打つのが2週間以上早まったことに加え、緊急事態宣言解除で更に拡大速度が加速するので、その点を加味しました。
ただし、それ以降、つまり五輪が始まって以降は5/30予測と同じ推移を辿る(五輪閉会頃に加速が鈍り、パラリンピック終了と同時に緊急事態宣言の再発出があると想定)と仮定しています。
また、過去の1〜4波の経験則から、日々の新規陽性者数に対して、今まで同様に入院療養者数/重症者数/死者数を以下の計算式で予測しています。

入院療養者数=直近12日分の新規陽性者数の和
 (陽性になったひとが平均12日で退院すると想定した)
重症者数=8日前の入院療養者数の2.1%
 (入院療養した方の2.1%が平均8日で重症化すると想定した)
死者数=12日前の重症者数の8.0%
 (重症化した方の8.0%が平均12日で死亡すると仮定した)

この計算式を過去の実績と未来に予測される新規陽性者数にあてはめてみたものがこのグラフです。(6/27以前の点線が、実際の陽性者数に基づく計算結果、6/27以降が新たな予測結果です)

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これは、第1波の頃からの陽性者数と、そこから計算式で出した入院療養者数/重症者数/死者数の推移がどの程度一致しているかを比較する対数グラフです。4つの指標を1つのグラフに入れるため、縦軸が対数になっています。かなり簡易な計算式ですが、概ね傾向を捉えることができていると感じています。

第5波が過去最大の波になる予想になった

この対数グラフでは感覚が掴みにくいので、6/27以降の予想を今までと同じ実数グラフにしてみたのが以下です。

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現状R=1.10程度で増えている新規陽性者数は、沖縄を除く緊急事態宣言解除(6/20)の影響で7/4頃から更に加速度が増し(R=1.25と想定)、五輪開幕の頃には7日間平均が3,000人/日を超え、五輪閉幕頃には5,000人/日を超える状況になっています。今までならこの段階で緊急事態宣言を発出すべき状況ですが、ワクチンの効果で高齢者の重症患者が少なく推移している可能性があること、まだパラリンピックが控えていることなどから宣言が出されない事が想定されます。しかし、実際には五輪閉幕以降、五輪会期中の影響が出始めて感染拡大は更に加速(R=1.40)します。
パラ開幕時には新規陽性者数が10,000人/日越え。五輪閉幕でマスコミの情報発信も自粛ムードになるため多少減速する(R=1.10)でしょうが、宣言を出さなければ減少に転じる程にはならないと思われ、パラ閉幕時は13,000人/日を超えるという、日本がコロナ禍始まって以来の異次元の状況に突入します。
パラ閉幕の時点で急いで全国的な緊急事態宣言が発出(R=0.70)されますが、その効果が出始める2週間後の9/18頃には日々の新規陽性者数が15,000人/日を超え、入院療養者数は17万人を超える状況になっています。(過去最大の入院療養者数の倍以上になる)

予測精度は入院療養者数ほど高くありませんが、重症者数と死者数も予想グラフを見てみましょう。

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関西で完全に医療崩壊が起こった第4波では、全国の重症者数は最大1,400人程度でした。今回の第5波ではその数字をパラ開会前に突き抜けて、最大3,500人を超える重症者が日本中に溢れ、300人近いひとが日々命を落とす状況が出現する可能性が示唆されています。

不確定要素はワクチン接種の拡がりとデルタ株への置き換わり

ただ、この予測にはワクチン接種による感染/重症化抑止効果が加味されていません。ワクチン効果で山の高さは少し下がる事は期待できます

一方、デルタ株への置き換わりにより、特にワクチン未接種層において感染が今まで以上の拡がりを見せる可能性もあり、(ワクチン未接種層と五輪で盛り上がる層が重なるために)逆に、さらに山が高くなる事も想定しておかなければならないでしょう。

7月〜10月の4ヶ月間でコロナ禍が始まって以来の累積被害を越える規模の感染拡大が起こる

今回の非常に簡易な計算式による予測は非常に精度の低いものではありますが、第4波までの結果からみても、大雑把な傾向を掴む上では充分機能していると思っています。

その簡易計算式による予測の結果、なんと、7月〜10月のたった4ヶ月間で
 新規陽性者数合計:855,811人
 死者合計:16,154人

という結果が導かれました。厚生労働省のデータからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-によると、6/25時点での
 累積陽性者数は789,735人
 累積死者数:14,621人

ですので、この第5波による感染者や死者は、今までの累計を上まわる事があり得る、まさに異次元の事態だ、ということです。

東京五輪・パラリンピックと第5波が同時進行する日本を想像してみる

おそらく、私たちはこんな生活を送ることになるのではないでしょうか?

・東京や札幌などでは五輪やパラリンピックが開催され、テレビや報道では連日、選手達の活躍が流れる
・一方、足元の私たちの生活は、ちょっとした交通事故でも盲腸でも、傷病者を搬送できない事態が常態化
・まちの内科や小児科、総合病院では発熱患者が途絶えることなく、しかし病床の空きがないので多くの方が自宅待機という医療放棄状態が続発
・保健所は、経過確認すべきひと達に電話を一巡させるだけで数日かかり、次に掛けた時には電話に出ない、つまり自宅で亡くなる方がたくさん出て、五輪ニュースの影でひっそり報道される……

今からでも遅くない、五輪・パラリンピックの中止を!

まさかこんな事が…… と、想定をしたわたし自身がまだ半信半疑です。
しかし、指数関数的挙動を示す感染症は、これほどまでに状況を激変させるパワーを持っていることを、私たちはこの1年半で実感してきました。また、諸外国ではこのような【あっという間に手の打ちようのない状況になる】事態が頻発してきた事を、私たちは知っています。

今は「正常化の偏見」に囚われず、起こりえる悲惨な近未来を変えるためにできることをすべて実行すべき時です。

○オリンピック・パラリンピックは中止して、最悪の第5波の被害抑止に全力を傾けましょう
○どうしても開催するなら、今すぐ無観客開催を決断しましょう

○五輪報道の方法についてすべてのマスコミに「感染拡大抑止」のための共通ルールつくりを呼びかけましょう
○ワクチン接種をできるだけ加速しましょう
○私たち国民一人ひとりが、7月以降、国の旗振りを待たず、できるだけ同居しているひと以外とあう機会を減らしましょう。不特定多数のひとが行き交い密が生まれる場所への外出は極力避けましょう

今までも、日本に住む私たちはそれぞれに力を出し合って、最悪の想定を現実にすることなく、ウイルスの感染を抑えてきました。

この第5波がおそらく最後の波です。7割以上の国民が2回のワクチン接種を終えれば、年末年明けには今とまったく異なる世界が待っています。
離れて住む家族と会って思いっきりハグしたり、友達と夜集まってお酒を飲んでクダをまける日常がきっと戻ってくると信じて、もう一踏ん張りしましょう!!

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