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三重県の新型コロナ感染の今後と懸念事項

遂に三重県も【真の】緊急事態に突入しました

三重県にも緊急事態宣言が適用されました。
実は今までの第1波~第4波までは、三重県は都市部から火の粉の様に陽性者が入り込んでクラスターを発生させるといった形で、市中で感染伝播が継続するような状況ではありませんでした。
しかし、今回の第5波は違います。特に北勢部の四日市市を中心に人口比で首都圏と同じレベルの陽性者が日々見つかる状況になっており、初めて【真の】緊急事態に突入したと言えます。

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各年代毎に10万人あたりの陽性者数の推移を7日間平均で取ったグラフですが、これを見ると今までの第1~4波が三重県にとっては前哨戦であったことがハッキリ分かります。

この非常事態がどの程度続くか? ですが、過去の波でも何回かの波が起こりつつ徐々に終息するまで2~3か月程度掛かっていることが分かります。それと同じ期間今回も必要と想定するなら、今回の第5波は8月前半に始まり11月前半まで続くと覚悟しておく必要があります。

ところで、この年齢別の推移を見ていてギョッとっしたのですが、第5波での70歳以上の陽性者数、すでに過去の3,4波の頃の最大数を抜き去っています。多くの方がワクチンを打っているとはいえ、レポートによれば年齢が高いほどワクチンの効き目は弱くなる傾向があるようですし、感染する人が増えれば一定割合で重症化することになります。特に福祉施設はワクチンを全員が打っていてもクラスターが起きない様にひとの出入りを減らすべき状況にあると思われます。

まん延防止等重点措置の効果は既に出ている、緊急事態宣言は? 2学期は?

ただ、上図でもわかる様に特に感染の拡がっていた10,20代では顕著に、30,40代でも確実に陽性者数は最初のピークアウトが見られています。この時期は8/14に三重県にまん延防止等重点措置が適用されると発表された2週間後にあたっており、県の呼びかけやお盆帰省の終了などの影響で全体として日々の陽性者数は減り始めてたと考えられます。
さらに緊急事態宣言を国に要請した8/21以降、県内の観光地などでも自主休業など人流を減らす取組を官民挙げて行っており、その効果が早ければ9/4頃から見え始めるはずです。

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もし、その効果が他の増加要因を押しとどめる程に成果をあげれば、うまくいけば第5波が始まって2か月の10月前半には緊急事態宣言を解除できる状況まで持ち込める可能性があります。

一方、懸念は2学期開始による学生・生徒中心の人流の増加ですが、各市町ごとに感染状況に応じて分散登校や在宅のオンライン授業実施など、かなりの取組を行っているので、急激な感染増には繋がらないのではと期待されます。
とはいえ、子ども達にとって学びや遊びの場における「対面」の重要性はとても大きいので、教師のワクチン接種促進とあわせて地域毎に感染者数の減少具合にを見ながら少しずつ対面授業を再開する、陽性者が出たらオンライン授業を併用した学級閉鎖や学校閉鎖でクラスター化を防ぐ、といった微妙な舵取りを10月終わり頃まで続ける必要があると思われます

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これは、三重県内の市町ごとの10万人あたり新規陽性者数の7日間平均推移です。四日市市や川越町、鈴鹿市など市中伝播が高いレベルで続いているところはできるだけオンライン授業の継続が必須でしょう。一方、紀北町はクラスターの発生で人口比の感染者数が急増していますが、このクラスターを封じ込め成功するか否かで学校の対応も変えた方が良いと思えます。子ども達の親世代に感染伝播が拡がるようならオンライン授業実施を視野に入れた方が良いかもしれません。

医療の負荷は今後? そして懸念される在宅死を避けるために

さて、今三重県内で最も大変な状況にあるのは新型コロナウイルス患者を受け入れている医療機関保健所救急搬送を担う消防や、それらの医療機関を支えるためにその他の患者をまとめて担っている一般診療病院を含めた医療従事者や医療機関の機能維持を担う関係者の方々です。

ご自愛頂きつつ、この危機を乗り越えるためにみなさんの専門性をぜひ活かしてください。みなさんにしかできない事です。よろしくお願いします!!

それら医療関係のみなさんの負担がどの程度大きくなり得るかを想定してみました。想定線は今まで全国の感染者数を対象に作成していたルールと同じもの(ただし、第5波で重症化率、死亡率が下がっているのでそれを反映したもの)を適用しています。

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想定陽性者数=9/1-9/3はR=0.8、9/4以降はR=0.65と仮定
想定療養者数=過去12日間の新規陽性者数(想定陽性者数)の和
想定重症者数=8日前の療養者数(想定療養者数)の1.3%が重症になると仮定
想定死者数=前日死者累計数+12前の想定重症者数の3%が亡くなると仮定
(陽性者数は三重県、療養者・重症者・死者数は厚労省公表データより)

ここから読み取れることは以下の通りです。

・療養者数は明日(9/1)以降ピークアウトする可能性が高い
・重症者数は9月前半に最大に達し重症病床(確保数54)が使用率100%を超える
・累計死者数は9月半ばには150人を突破する

重症病床が100%を越えとは、現在首都圏などで報道されている「本来人工呼吸器が必要な症状が出ているのに、必要な措置ができないことを承諾しないと入院させてもらえない」というかなりシビアな状況が生まれる可能性がある、ということです。

もう一つ、懸念すべき事項があります。それが【※】印で○を入れた想定重症者数と実際の重症者数の差、です。実は今までの全国規模での感染予測で一度これと同じ状況が生まれました。

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これは全国での重症者数と死者数の推移およびそれぞれの予測線のグラフですが、2020年末から始まった第3波の時、重症者数予測と報告される重症者数に顕著な差が生まれました。(予測数よりも報告数がかなり少なくなった)
しかし、同じ時期、報告された重症者数を前提にした死者数予測が大きく下方に外れ、実際の死者数が多くなりました。これはつまり【本来は重症の治療を受けるべき人が見落とされ、適切な治療を受けられずに亡くなっている】状況が生まれたと考えられます。

再度、三重県の今後の予測グラフを掲載します。

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療養者数から想定される重症者数は35名程度。しかし実際に重症と診断されて治療を受けているのは20名です。つまり、三重県内で今この時、10人単位で適切な治療に繋がっていないひとが出てきている可能性があります

これら隠れ重症の方をいかに見つけ、適切な治療ができる病院を確保し、そのふたつを繋ぐ事ができるか? それができないと今後も在宅死が頻発し続け、予想線を越えて死者が増える可能性があります。

三重県では先日、県内94病院と緊急web会議を開催し、総力戦での対応を行うため感染症法に基づいて最大限の病床確保や入院患者の受け入れ等について協力を要請しましたが、その背景はこのような

・重症病床の満床が近づいている状況
・本来医療を受けるべき人が受けられず在宅死しかねない状況

をなんとかするためと思われます。

なお、このような医療における災害対応は私たちが頑張って見込み通り10月上旬に非常事態宣言を解除できる程度に陽性者数を減らすことができれば、9月末までには医療災害状況を脱することができると思われます

残念ながら、それまでは一般の入院や手術の延期など、かなりの負担を県民全体で背負う必要があります。

私たち市民にできることは、たくさんあります

一つはとても当たり前のことですが、新型コロナに感染しないことです。
そのために、可能な限り努力して他者と会う機会を減らすこと、同居のひと以外との食事は避ける、どうしてもひとと会うときは不織布マスクを付け換気を確保して間合いをとること、場面が変わる時は常に手指消毒すること、などマナーといって良い感染対策を改めて徹底する事です。そしてなにより、チャンスがあればワクチン接種をしましょう。ワクチンのリスクはゼロでは有りませんが、感染するリスクと比較すれば格段の違いがあり、ワクチンを打っておくことで得られる安心感はプライスレスです。

二つ避けられる事故を徹底的に避ける安全思考で行動することです。現在は救急救命の機能も可能な限り新型コロナ対応に振っており、ちょっとした事故のケガでも対応が困難な状況になりつつあります。医療全体の負荷を減らすために、いつも以上に交通安全を意識した行動を取りましょう。

三つ薬の服用など医療者の指示をいつも以上に丁寧に守ることです。医療者の負担を減らすためには、彼ら彼女らの指示に素直に従うことが何よりも大切です。一つひとつの負担を減らし、受診時間を短く終えられるよう小さなことでも協力する姿勢を心がけましょう。
そして、感謝の気持ちを言葉で伝えることに取り組みましょう。医療に従事するみなさんがその専門性を心おきなく発揮してもらえる様に心を伝える。

たったひとことの「ありがとう」がコロナに打ち克つ力を生みだします。

みんなで頑張りましょう!

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