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5/11に緊急事態宣言を解除したらどうなるか、素人予想してみた

前回の近未来予測から1か月経ってしまいました。

この1か月の近未来予想で書いた「4/30に8,000人/日を越える新規陽性者」という最悪の予想はまん延防止等重点措置や緊急事態宣言の発出を受けて、なんとか回避できています。(4/30の実績は4,658人)

ただ、4月に入り、各所で変異株への置き換わりが進んで来たことで、状況がかなり悪化し、それを受けて政府は「短期集中的対策」の緊急事態宣言を発出する事態になりました。これが成功するかどうか、という近未来を予測してみたいと思います。

重症者数や死亡者数の近未来予測を簡易計算する方法を考えてみた

政府がめざす「『短期集中的対策』により5/11に緊急事態宣言を解除」したらどうなるか?

これを予測するために、これまでも新規陽性者数と入院療養者数を簡易的な計算式で予測していましたが、加えて、重症者数や死亡者数の近未来予測をする簡易的な計算式も考えてみました。

①新規陽性者数から入院療養者数を予測する計算式

これは過去の記事でも何度か紹介しましたが、

「入院療養者数」≒「過去X日の新規療養者数の和」(X=9〜13日程度)

という計算式で、かなり正確な近似計算ができます。過去の実績についてグラフ化したのかこちらです。

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このように、入院療養者数は、X=9の予測線(過去9日間の新規陽性者数の和)を下回ることはなく、X=13(過去13日間の新規陽性者数の和)を越えることも、(第1波の時を除いて)ありませんでした。

第1波の頃に大きく上ズレしているのは、ウイルスの特徴が分かっていなかったため、退院にPCR検査2回陰性をルールとしていたため、感染性のなくなった方が病院に留まり続けた結果です。その後退院に陰性2回ルールはなくなり「軽快してから3日」となって以降は、この簡易計算式でかなり正確に入院療養者数を予測できることが分かります。ただし、第4波、つまり変異ウイルスへの置き換えが進んできてから、入院療養者数が上ズレし始めている事に注意が必要です。そこで、今後を予測する際にはX=12日を基準に近未来予測を行いたいと思います。

②入院療養者数から重症者数を予測する計算式

続いて、重症者数を予測する簡易計算式を考えてみました。重症者は発症してから1週間程度で出始めると言われていることや、第3波では入院療養者数のピークと重症者数のピークが7日ズレで、その後第4波に向かう谷のピークが14日ズレで訪れたことが分かっています。

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これらのことから、7〜14日前の入院療養者の数が、重症者数の数に影響を及ぼしていると仮定し

「重症者数」≒「7〜14日前の入院療養者数×重症化係数」

という簡易計算式に数値をあてはめて一番近い近似ができるアタリを探してみました。その結果、7〜14日前については「8日前」、重症化係数については1.5〜2.7%が、最も重症化率を近似できそうなことが分かってきました。

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第2、3波の傾向から、感染者数が多い時期は重症化係数が下がり、少ない時期は重症化係数が上がる傾向が見て取れます。これは、感染者数が急増したときは生産年齢層の感染が急増するため重症化するひとが相対的に少なくなること、逆に少ない時期では高齢者層が多いため、重症化率が増すことが影響していると思われます。

つまり、重症化数を予測する式をより実態に近づけるには、各時期の年齢構成と、年齢層ごとの重症化係数を分けて考えれば良いと思われますが、今回そこまで精密な事をしなくても、増減の大雑把な傾向は読み取れるので、重症化係数を中間値である2.1%に仮置きして以後の話を進めます。

「重症者数」≒「8日前の入院療養者数×重症化係数(2.1%)」

③重症者数から死者数を予測する計算式

入院療養者数から重症化数を予測する計算式と同様の考え方で、重症者数から死者数の傾向を予測する計算式を出すことができそうです。

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その結果、近似できる計算式は以下のように考えると実際の死者数の傾向を捉えていました。

「死者数(7日間平均)」≒「12日前の重症者数×死亡係数(8%)」

つまり、12日前の重症者の8%(実際には4%〜12%)の方が亡くなると仮定することができます。

近似式で近未来を予測してみる

これまで考えてきた近似式を再掲載します。

「入院療養者数」≒「過去12日の新規療養者数の和」
「重症者数」≒「8日前の入院療養者数×重症化係数(2.1%)」
「死者数(7日間平均)」≒「12日前の重症者数×死亡係数(8%)」

このnoteを書いている5/5深夜の時点で厚労省HPには5/4までのデータが公開されているので、その数字を利用します。また、5/5以降の日々の新規陽性者数については、以下のような傾向を示すと仮定します。

①4/25以降の1週間増減率(R)≒1.10(7日間で新規陽性者数が1.1倍になる)
 (4/12に東京・京都・沖縄にまん延防止等重点措置が適用されて約2週間)
②5/7以降のR≒0.90(7日間で新規陽性者数が0.9倍、つまり1割減となる)
 (4/25に東京・大阪・兵庫・京都に緊急事態宣言が適用されて約2週間)
③5/26以降のR≒1.25(東京等にまん延防止等重点措置が適用される前のレベル)
 (5/11に緊急事態宣言が解除されると仮定し、その2週間後)

①4/25〜5/6のR≒1.10は、概ね現状の数値から類推した値です。
②5/7〜5/25のR≒0.90、および、5/26〜のR≒1.25は、緊急事態宣言発出の効果を概ね2割減(R≒1.1→0.9)、解除による反動を4割弱の増加(R≒0.9→1.25)と予想している、と言うことです。

実際には違うと思いますが、この1年以上の経緯からみて、倍半分(2割減±1割、4割増±2割)といった範囲に収まると思っています。

では、具体的に予想結果を見てみます。実数グラフにすると死者数の推移等が見えにくくなるので、対数グラフに書いてみました。

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これを見て判るとおり、仮に5/11に緊急事態宣言を解除して、その後、6月末まで何も手を打たない場合

新規陽性者数は5/6に一旦山を越えて減少に転ずるが、5/25頃から再度上昇し始め、6月上旬には再度5/6の頂点を越えて増え続ける
入院療養者数は5月末に向けて5.4万人程度(現状の1割減)になるが、その後また増え始め、6月末には現状の倍以上、13万人を超える
重症者数はIOCバッハ会長の来日中(5/18)に最大を観測した後、微減に転ずるが、6月上旬以降再度増え続け、6月末には2,000人を超える
死者数は5月末まで増え続け、100人/日を上まわる状況が6月末まで常態化する

という予測が立ちます。これは、はっきり言って「ムダ足」「焼け石に水」といった状況になる事がかなりの確度で想像できました。

(各数値予測を実数グラフにしたものを以下に掲載しておきます)

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(入院療養者数は新規陽性者数の推移からかなり正確に予測ができる)

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(重症者数の傾向は入院療養者数の推移から予測できるが、感染者数の年齢により重症化率に違いがあるため、特に感染者数が増えて生産年齢の陽性者が増えると相対的に重症化率は下がる傾向にある)

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(死者数は重症者数の推移から概ね傾向は予測できるが、重症者数が多い時ほど死亡率が上がり、少ないほど下がる(救命率が上がる)傾向にある)

緊急事態を延長して、充分解除できるまでにどの程度必要か?

このnoteを書いている時点で、2週間〜1か月の延長が検討されている、という記事が出てきました。

つまり、5/11の期限を5/25〜6/11に伸ばす、と言うことですが、そこまでになんとか結果を出すにはどの程度の対策が必要なのかも、最後に想定してみましょう。

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この予測図は、4/25に始まった緊急事態宣言(5/7頃から効果が数字に表れ始める)の効果により、R≒0.70(第3波減少時の1週間増減率の値)を達成し、それを6月末まで続けた場合の予測です。

現在の感染は変異株への置き換わりが進んでいるので、第3波時の緊急事態宣言と同じ対策ではR≒0.70は達成できません。現在の対策より更に踏み込んだ対応が必須と思われます。(5/7以降の新規陽性者数の推移を見ることで、今の緊急事態宣言の効果をおおよそ判断できると思いますが、おそらく0.7は達成できていないと思います)

これくらいの減少率を達成できていたら、6/9頃に新規陽性者数が1,000人(第3波での緊急事態解除時並み)。これでは第3波の時のようにすぐ次の波が来るので、もう一段下げる事を想定すると、6/23頃に500人(2020年9、10月頃の値)を達成できます。

入院療養者数や重症者数、死者数などからも、R≒0.70というかなり強い対策が維持できたと仮定しても、6月末ぐらいまではかなり強めの対策を維持することが社会の立て直しには必要ではないか、と感じます。

まとめ:緊急事態宣言は内容を更に強化した上で6月後半まで必要

まとめます。

・5/11に緊急事態宣言を解除すると、ほぼ効果見込めない。6月には緊急事態宣言の再発出が必要になると思われる
・効果を求めるなら、6月後半(1.5か月)を目処に延長し、更に強力な対策をセットにする必要がある

かなり悲観的な状況ですが、mRNAワクチンという光も射しています。これが大きなゲームチェンジャーになりますので、とにかくワクチンを国民の70%が打ち終わるまで、腐らず焦らずコツコツと感染対策を行うことが大切になりそうです。

最後に、この予測が大きくハズレ、感染する人が少なく、多くの方が命を奪われることなく終わることを、心から願っています。

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