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もし適切な対策ができなければ新型コロナウイルスの感染拡大はどうなるか? 中学数学で予測してみた(11/20編)

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が政府に対してかなり強く、国による新柄コロナウイルス対策の見直しを求める提言を出しました。

毎日の新規陽性判明者数は2,000人を超えて社会的な雰囲気も変わってきた所での提言です。3連休の直前金曜深夜の公表と言うことで、正直もう数日早く出せなかったかな?という気もしますが、やっと専門家から「この状況はまずい」「ブレーキを踏むとき」という意見が出たのは良かったです。

もし、このままブレーキを踏まなかったらどうなるか?

今、政府の分科会に「8割おじさん」こと西浦先生がいらっしゃったらモデルを使った予測をきっと出してくれたでしょうが、今は残念ながら政府(その近く)から信頼できる予測は出なくなってしまいました。しかし、ウイルスは極めて「数学的」なふるまいをすることは第1波の頃からはっきりしているので、久しぶりに中学数学レベルでこの第3波の未来予測をしてみたいと思います。

日本で初めて感染が見つかった1/16以降の、日々の陽性者数と7日間平均のグラフを作ってみました。元データは厚労省のHPにある新型コロナウイルス関連のオープンデータをそのまま利用しています。(直近の11/20の陽性者数のみニュース素材より引用)
7日間平均とは、その日とその日からさかのぼった6日間の感染者数(7日分)の平均値を取ったものです。感染者が増えているときは後追いで増えていき、減り出すと後追いで減っていきますが、土日祝日の検査数の減少による陽性者数のばらつきを均す為に1週間(7日間)を平均に取っています。

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1〜3波の感染拡大期に近似曲線が重なっています。これ(R)は、1週間で陽性者数が何倍になるか?(ある日の陽性者数が20人だとして、7日後に30人になっているならR=1.5、40人になっているならR=2.0、逆に10人に減っているならR=0.5となる)を示していて、1よりも大きい数字なら陽性者数は増え続け、1未満になると減っていることを示します。

第1波(R=2.3)、第2波(R=1.6)ともに、立ち上がりの時期は近似曲線に非常に近いふるまいをしていることが見て取れます。

このことからも、現在拡大している第3波も当面は近似曲線を引けるだろうと予想できるわけです。

直近では、全国平均で7日間の間に約1.5倍増(R=1.5)している

ということで11月初旬からの7日間平均のフラフに近似曲線を描いてみると、R=1.5の曲線に概ね沿っていることが見て取れます。ただ、曲線同士の比較は目視では分かりにくいので、同じデータを対数グラフに書き直してみましょう。

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縦軸を対数にしてみると、日々の陽性者数の感染拡大期における増え方が「直線」になり、近似線も直線に変わりました。それぞれの相関関係が分かりやすくなりましたね。

では本題です。「8割おじさん」西浦先生に代わって初歩数学を使った予測を立ててみましょう。簡単です。この対数グラフを将来に向けて伸ばしたらどうなるか? 線を延ばしてみればいいのです。

それがこちら。

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今日(11/20)の2週間後にはR=1.5線は3,872人になると予想ができました。なぜ2週間後を見るか?というと、今日から感染にブレーキをかける対策を実施しても、その効果が現れるのは2週間後以降になる、つまり、2週間後の12/3までは現在のR=1.5で増え続けると予想できるからです。
改めて12/3の3,872人という数字の意味を考えます。拡大期には7日間平均の数値より日々の陽性者数は多くなる場面があります。つまり、12月初旬には、一日の新規陽性者数が3,872人を大きく上まわる人数(おそらく5,000人超に達すると思われる)の日があり得る、と言うことです。

ただし、今日からみんなで協力して対策を徹底すれば、一日5,000人超を頭打ちにして新規陽性者数は減っていくはずです。

もし、12月末まで何も対策を打たなければどうなりえるか?

既に分科会から対策を打つよう強い要請が出ていますのでこの先は「if」の世界ですが、もし今後もGoToトラベルやGoToイートを継続し、国民の自主的対策のみに委ねる、という現状の日本政府の対策が12月末まで続いたらどうなるでしょう? その予測も先ほどの対数グラフに載っています。(単にR=1.5の直線を伸ばしただけです)

それによると、12/31一日で見つかる陽性者数の7日間平均は19,606人‼
日々のばらつきを考慮すれば、多い日では27,000人を超える状況になります。

対数グラフで見ても陽性者数の増え方がピンと来づらいと思うので、この対数グラフを普通のグラフに戻してみましょう。陽性者はどんなペースで増えていくのでしょうか?

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ご覧の通り、第1波、第2波は波と呼ぶのも馬鹿馬鹿しいようなグラフになってしまいます。あと1か月そこそこ無策に過ごしてしまうとこうなり得る、という瀬戸際にいることがこのグラフから読み取れます。1日に7日間平均19,606人の陽性者が見つかるという事態の大変さが分かりますでしょうか?

第3波を早期に収束させるのは”今”

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国の分科会は少し前にこの「5つの場面」がコロナウイルスのクラスター対策をする中で見えてきた、と紹介してくれています。ぜひこれを読んで、自分の行動の中からこういう危険な場面を減らしていきましょう!!


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