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緊急事態宣言から1週間、今リスクが高まっている都道府県を確認してみた

4/7に7都府県に緊急事態宣言が発令されて1週間経った今、リスクが高まっている都道府県がどこか確認してみました。

緊急事態宣言の効果が現れるのはまだ先(のハズだが…)

新型コロナウイルスは感染から発症〜受診〜PCR検査〜陽性判明〜公表の間におおむね2週間程度のタイムラグが発生します。よって緊急事態宣言の効果はまだ見えてきていない、ということになります。いつものように片対数グラフは目に見える変化なく直線の様に推移しているはずです…が……

00日本

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、ここ2日間の新規感染者数の伸びが抑制されています。

00感染者数推移

実は以前から毎週末は検査数が減るからか、感染者数も減るという傾向があります。(毎週末(縦主軸線前後)は毎回傾きがなだらかになっている)
しかし、今回の伸びの抑制はいつもより強くでている様に感じます。
4/14(火)のデータを加えても目に見えて伸びが抑制方向に向かうなら、2週間前頃に日本国民の行動変容を強烈に促すできごとがあったことが考えられます。3/30前後です。

そう… 志村けんさんが4/29に亡くなったという衝撃ニュースが日本全土を走ったのが4/13の2週間前、3/30でした。

この二日間の新規感染者数の減少は単に土日で検査件数が抑制されていただけの可能性もあります。明日になればこの傾向が恒常的に続きそうか、毎週末と同じ一時的なものなのか分かると思います。
もしこの傾向が本物であったとしても、私はその理由は日本人一人ひとりの意識が変わり行動変容が起きたからだと考えようと思います。
志村けんさんはきっとこのような形で日本人の心に残るのではなく、新たなコメディを生み出し続け、笑いの記憶とともに日本人の心に残りたいと考える人だったと思うからです。合掌。

都道府県別の感染者数の変化を確認してみた

話を本筋に戻しましょう。緊急事態宣言発令時に分かっていた感染者数(前日4/6のもの)と、直近の感染者数(4/13)とを見比べてみます。
感染者数そのものが多い地域ほど、地域内で多くのクラスター連鎖が生じており、更に爆発的な拡大が起こりえるリスクを抱えた都道府県であると言えます。

01都道府県別の感染者数

黄色に塗っているのが国が緊急事態宣言を発令した7都府県です。発令されたとき、福岡県はまだそれ程多くない状況だった一方、福岡県の倍以上の愛知県や大阪府と生活圏が重なる京都府からは「なぜ自分たちが入っていないのか?」という疑問が出され、愛知県は後に独自の宣言を発するなどの状況が起きました。
しかし、この1週間の推移を見るかぎり厚労省の専門家会議の判断は正しかったのだな、と分かります。
福岡県の感染者数が激増していますが、一方愛知県の伸びているものの他県ほどではなかった結果、国が指定した7都府県が順に感染者数WORST7に名を連ねる、という形になりました。

この結果から分かるのは「専門家会議の見立ては短期的にはかなり信頼できる」ということです。

緊急事態宣言の発令時に、人と人の接触を削減する目標は6割でも良いのか、7割なのか、8割必要なのか? という目標値が話す人によってふらふらする、という事が起きましたが、専門家会議の西浦先生が「8割必要!」と言い切っている以上、それをどうにかみんなで実現できれば、危機的状況にある体勢の立て直しができる、という見立てを信じて頑張ってみる価値がありそうだと、この結果は感じさせてくれます。

人口比で見ると違う道府県のリスクが見えてくる

ただ、新型コロナウイルスのリスクは感染者数そのものとは別に、地域医療にどの程度負担が掛かっているか? という点で評価することも重要です。その場合、人口比で感染者数を見てみることで、大雑把な地域医療への負担度合いが測れるはずです。以下の表では10万人あたりの感染者数で並べ直してみました。この数が多いほど地域医療に負担が掛かっており、新型コロナウイルスで重症になった人への医療提供が不十分になったり、別の疾患で通院・入院している患者へも医療が提供できなくなるリスクが高まっていることになります。

02人口10万人あたりの患者数

人口比という指標でも緊急事態宣言が出た5都府県はもちろん状況が悪いのですが、それ以外にも、福井県・石川県・高知県・京都府・岐阜県・北海道の状況が思わしくないことが分かります。これらの道府県では医療に対する負荷がかなり高まっている可能性があります。

05病床の利用率

covid-19 Japanというサイトではより具体的に、入院者数と病床数との比較(病床利用率)を掲載してくれています。これで黒くなっている都道府県ではすでに病床が不足が生じていることが分かります。

増加率という指標も注目が必要

以上のように、感染者数(今後の感染爆発のリスクが分かる)、人口あたりの感染者数(地域医療への負担度が分かる)、病床利用率(高度治療への負担度が分かる)などを総合的に見ると地域での新型コロナウイルスの状況がおぼろげに見えてきますが、もう一つ、感染者の増加率も見ることで近未来を予測して備えることができるようになります。

03感染者数増加率

(島根県、鳥取県は4/6段階は0人のため増加率は計算できませんが、4/13時点での感染者数からそれぞれの位置が適用と判断している)

なんと、WORST20中に17県が緊急事態宣言の対象外の県となっています。香川県、島根県はまだ人数そのものが少ないため変動幅が大きくなってしまった可能性はありますが、沖縄県、静岡県、富山県、広島県、群馬県は7日間で3倍以上に膨れ上がっており、クラスター連鎖が起こっている可能性が危惧されます。これらの県の感染者の出方には最新の注意を払ってください。弧発例(感染のリンクが追えない感染者)が増えているようなら市中での感染連鎖が起こっているので命や生活に不可欠な外出以外は徹底的に控えるどうしても外出する場合も家族から1人に限定する、外出中は「換気の悪い密閉した部屋に入らない」「沢山のひとが密集した場所に出向かない」「知りあいでも密接して立ち話はしない」何かを触ったあとや帰宅時には石けん手洗いを徹底するなどの徹底が必要と思われます。

三重県は幸い落ち着いているが…

他の都道府県に比べ、三重県は幸いなことにまだ本格的な感染が始まっていない状況です。(感染者数17名、10万人あたり換算で0.95人、1週間増加率1.31)

市中に隠れたクラスターがあるかもしれない、という不安はもちろんありますが、厚労省が公開している都道府県ごとのPCR件数と陽性者数の割合を見ると、三重県は検査人数995人、陽性数17人(陽性率1.7%)となっています。

04pcr県別件数

つまり、疑いの目を持って995件も検査したのに、たった17件しか陽性が見つかっていないのです。市中に見つかっていないクラスターがたくさんあるなら、東京都の34.3%や大阪府の27.2%のように、もっと陽性率が高くなるはずです。

加えて、感染者の内訳を見ても公表されて分かる範囲では県外外出中の感染、県外来訪者からの感染、家族内での感染といった内容で、ほぼ感染のリンクがたどれる状況で落ち着いています。

PCR検査の陽性率が低いこと、感染のリンクがたどれること。この二つの理由から、現時点では三重県は市中で目に見えないクラスターが連鎖しているという状況はなさそうだと考えられます。

日本国内はどこでも油断できる状況ではない

しかし、他県でも見られていますがひとたび病院や高齢者施設での感染拡大が始まると、一気に1週間増加率が4倍以上に跳ね上がります。つまり、三重県でも来週には感染者が70名近くになっていてもおかしくない状況なのです。
その際に心配されるのは三重県内にある感染症病症数です。約180万人という人口に対して24床というのはいかにも心細いと感じます。
24床とは今回のコロナウイルス拡大以前より三重県内で整備されていた第1種、第2種感染症病床の合計で、臨時の増床が反映していない状況です。
拡大が始まっていない今のうちに、無症状者や軽症者を受け入れる施設を整え一時的に在宅療養可能な方を自宅に戻して病院の負担を減らしマスクや防護服など資機材を準備し、消毒用アルコールは県内酒造メーカーに製造を依頼するなど、万全の体制を整えておく必要があると思います。
専門家会議から最悪の想定(感染拡大時の重症者数の想定)はすでに県に届けられているはずなので、ぜひ余裕を持って倍の人数でも耐えられる病床確保を目指しましょう。この感染症の大津波を乗り越えるには、災害時の被害想定でよく行われる「倍半分」の考え方(想定の倍の被害が起こりえるという前提で計画をすること 想定の半分の被害で済むことがあっても油断しないこと)が必要だと思います。

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